2025 11 07

秋の夜に灯る観音寺の物語 ― 「よるしるべ2025」で見た街の新しい表情

こんにちは、せとうち不動産です。
かなり事後報告にはなりますが、先日、当事務所すぐ横の**ハイスタッフホールから商店街〜市街地にかけて開催された「よるしるべ2025」**を少しだけ見に行ってきました。
今回は11月3日の最終日に、プロジェクションマッピングなどを中心に観覧。
夜の街に浮かび上がる光と影のアートに、観音寺の街がいつもと違う表情を見せていました。


■ 「よるしるべ」とは? ― 夜の街を巡るアートイベント

「よるしるべ」は、観音寺市中心部の商店街や路地を舞台に、夜の街をアートで照らすイベント。
2025年の今年で12回目の開催となり、今回はなんと**「瀬戸内国際芸術祭2025」秋会期の公式イベント**として実施されました。

毎回異なるテーマで開催される「よるしるべ」ですが、今年はアーティストだけでなく、市民も制作に関わり、街全体で一つの作品を作り上げるという新しい試みが行われました。
公式案内によると、今年のテーマは“実験的で幻想的な風景”。
観音寺の歴史・風土・日常をモチーフに、光や映像、音楽、造形作品が点在し、それらが“夜の道しるべ”のように街をつなぎます。


■ 街全体がギャラリーになる夜

イベントの中心となるハイスタッフホールから歩き出すと、そこからすでにアートの世界が始まっています。
建物の壁に映し出される映像、足元に灯る竹灯り、通りの先で淡く光る影絵。
静かな街並みが、まるで映画のワンシーンのように変化していきます。

11月の夜、肌に少し冷たい空気を感じながら、家族連れやカップル、学生グループなどがマップ片手にゆっくりと歩いていました。
普段は静かな商店街も、この期間だけは多くの人で賑わい、屋台やキッチンカーの明かり、音楽の響きが混ざり合って、なんとも温かい雰囲気に包まれていました。


■ プロジェクションマッピングが照らす街の記憶

私が訪れた11月3日は、建物の壁面に映し出されるプロジェクションマッピングがメインの日。
観音寺の街並みや人々の暮らし、昔から受け継がれてきた風景をモチーフに、音と映像が融合した幻想的な演出でした。

商店街の建物がキャンバスとなり、光の粒が街を包み込む。
日常の風景がアートに変わる瞬間に、観客からも思わず歓声があがります。
こうした取り組みが、単なる「アートイベント」ではなく、街に新しい誇りと記憶を生み出しているのだと感じました。


■ 市民とアーティストがつくる“観音寺らしさ”

「よるしるべ」は、もともと地元有志のアーティストや学生、ボランティアが中心となって始まったプロジェクトです。
それが年々規模を拡大し、今では観音寺を代表する文化イベントとして定着しています。

2025年の今回は、市民が作品制作や演出の一部に参加。
「見る人」だけでなく「作る人」として関わることで、観音寺の街そのものがアートの一部になるような感覚でした。
光の中に人の温もりがある――そんな印象を強く受けました。


■ 「よるしるべ2025」のみどころをピックアップ

◯ ガイドツアー

よるしるべを手がけるプロデューサー自身が作品エリアを案内し、過去15年間の軌跡を解説するガイドツアーが人気でした。
定員15名、所要時間1時間という少人数制で、深い話が聞けると評判。
案内所のスタッフも皆さんとても親切で、初めての方でも安心して回れるよう工夫されていました。

◯ 飲食・物販ブース

「山地蒲鉾」や「上市コミュニティホール」周辺には、期間限定の飲食ブースがオープン。
地元の人気店「かなくま餅」や「季節の外ごはんOkibi」、「まつむら農園」などが並び、香川の味覚を楽しむことができました。
夜のアート散策の合間に、あたたかい食事やスイーツを味わうのは格別です。

◯ ディスコ&ライブ

山地蒲鉾音楽堂では、ミュージシャン・安冨今男さんプロデュースの**「ディスコ&ライブ」**が開催。
ライトアップされた会場で音楽とアートが融合し、まるで小さな野外フェスのような盛り上がり。
地域の若者や家族連れがリズムに合わせて体を揺らしていました。

◯ 一心寺での「竹灯り」と「よるしるべ」

お寺・一心寺を会場にした「竹灯り by EI-EI-Oh」は、幻想的な空間演出が見どころ。
また、11月2日に行われた**声明と雅楽の演奏「よるしるべ」**は、笙や龍笛の音が夜空に響き渡り、静寂の中に祈りのような時間が流れていました。
映像と灯り、音が一体となることで、観音寺の持つ“古と今”の両面を感じることができました。


■ 街の新しい魅力を見つける時間

「よるしるべ」を歩いて感じたのは、観音寺の街そのものがアート作品のように生きているということ。
古い建物、商店の看板、石畳の路地、そこを行き交う人の姿。
そのすべてが光と音で再構成され、まるで街が語りかけてくるようでした。

普段は通り過ぎてしまう場所に立ち止まり、「こんなに雰囲気のある路地だったのか」と新たな発見も。
地元の方々も「いつもより街が明るい」「久しぶりに人が多くてうれしい」と笑顔で話されていました。


■ 「夜」を通して街がつながる

このイベントの素敵なところは、“夜”という時間をポジティブに捉えていることだと思います。
観音寺のような地方都市では、夜になると人通りが減り、街が静まり返るのが普通。
でも「よるしるべ」は、その夜の時間にこそ、街の新しい魅力を見出しています。

灯りを手がかりに歩くことで、日中とはまったく違う街の姿を感じる。
それが「よるしるべ」という名前に込められた意味 ― “夜の道しるべ” ― なのかもしれません。


■ 瀬戸内国際芸術祭とのつながり

今回、「よるしるべ2025」は瀬戸内国際芸術祭の公式プログラムとして開催されました。
瀬戸芸といえば、直島や豊島、小豆島など島々で展開されるアートイベントが有名ですが、
観音寺のような本土側の街の魅力を発信する試みも年々注目されています。

観音寺はもともと、海・山・街がコンパクトにまとまった“ちょうどいい街”。
そこに「アート」を通して新しい風が吹くことで、地域の文化や人の流れにも良い影響を与えているように感じました。


■ せとうち不動産として感じたこと

不動産の仕事をしていると、街の「動き」や「人の流れ」に敏感になります。
「よるしるべ2025」を見ていて感じたのは、アートイベントが街の活力を生む力です。

夜の商店街に人が集まり、歩きながら笑い声が響く。
その光景は、地域に住む私たちにとって何よりうれしいものでした。
イベント当日、当社の前の通りにも多くの人が行き交い、にぎやかで活気のある時間が流れていました。

こうした取り組みをきっかけに、観音寺という街が“暮らしたい場所”“訪れたい場所”としてさらに魅力を発信していけたらと思います。


■ 最後に ― 夜が街を照らす日常へ

「よるしるべ」は、観光イベントであると同時に、地域の日常に光を当てるプロジェクトでもあります。
そこに住む人々が、自分の街を見つめ直し、誇りを持つ。
それが観音寺という街の未来につながっていくのではないでしょうか。

夜の街をゆっくり歩きながら、昔ながらの建物や、灯りに照らされた笑顔を見ていると、
この街が持つあたたかさと可能性を改めて感じます。

来年以降も「よるしるべ」が続き、また多くの人がこの街を訪れることを願っています。
そして私たちせとうち不動産も、観音寺という街の“道しるべ”の一つとして、地域の暮らしを支えていきたいと思います。


▼「よるしるべ2025」開催概要(参考)

  • 会期:2025年10月31日(金)〜11月3日(月・祝)
  • 時間:18:00〜21:00
  • 会場:観音寺市中心部(ハイスタッフホール・商店街周辺)
  • 主催:よるしるべ実行委員会
  • 入場:無料(ガイドツアーのみ有料)
  • 瀬戸内国際芸術祭2025 秋会期 公式プログラム

◻︎◻︎出典:よるしらべ2025 https://yorushirube.jp/

【本日の一曲】
The Timers – Day Dream Believer