あなぶきアリーナ香川、世界が認めた「美しさ」
〜ユネスコ公認の建築賞「ベルサイユ賞」で“世界で最も美しいアリーナ2025”に選出〜
香川県高松市に誕生した「あなぶきアリーナ香川(香川県立アリーナ)」が、国連教育科学文化機関(ユネスコ)本部により創設された国際的な建築賞「ベルサイユ賞(Prix Versailles)」において、「世界で最も美しいアリーナ2025」の一つに選出されました。
このニュースは2025年11月10日、世界ベルサイユ賞機構から正式に発表され、香川県のみならず日本全体にとっても誇らしい出来事となりました。
■ 「ベルサイユ賞」とは ― 世界が注目する建築の称号
「ベルサイユ賞」は、2015年にユネスコ本部で創設された国際的な建築賞で、「建築と芸術、文化、経済の調和」をテーマに、世界中の優れた建築物を毎年表彰しています。
カテゴリーは「美術館」「ホテル」「レストラン」「学校」「空港」「百貨店・商業施設」「旅客駅」「アリーナ(スポーツ施設)」の8部門。建築の美しさだけでなく、社会性や環境への配慮、地域との調和など、総合的な観点から審査が行われる点が特徴です。
香川県立アリーナが受賞したのは「Arenas(アリーナ)」部門。
2024年1月から2025年6月の間に新設または改修された世界中のスポーツ施設の中から、たった6つの施設が選ばれました。
過去には栃木県の「日環アリーナ栃木」が2022年に選出されたことがあり、日本の施設としてはわずか2例目の快挙です。
■ 世界が評価した「街と海をつなぐアリーナ」
世界ベルサイユ賞機構による選出理由には、香川県立アリーナの建築的な詩情と景観との調和が挙げられています。
発表文には次のような記述があります。
「香川県立アリーナ(あなぶきアリーナ香川)から発する詩情が、空間をまとまりのある独自の景観へ変貌させました。瀬戸内海を望み、高松駅や港に近接するこの開放的な建物は、既存の広場、公園、港を一体化し、街と海をつなげています。」
アリーナは3つの建物がゆるやかに連なり、柔らかくうねる大屋根でひとつにまとめられています。遠くから見ると、それはまるで瀬戸内海に浮かぶ小さな島々が水平線の上で寄り添うように並んでいるかのよう。
屋根の曲線や建物の配置は自然の地形や海風の流れを意識したもので、光の反射や時間ごとに変わる陰影が、日常の中に“建築の詩”を生み出しています。
内部は壁で仕切られすぎず、観客席や広場が緩やかに連続しているのも特徴。
この“境界を感じさせない空間”は、観客と選手、地域の人々の交流を自然に促す設計思想に基づいています。
屋内でありながら、どこか外の空気を感じられるような透明感のある空間は、まさに「開かれたアリーナ」の名にふさわしいと言えるでしょう。
■ 設計を手がけたのは世界的建築ユニット「SANAA」
この建築を設計したのは、日本を代表する建築家ユニット「SANAA(サナア)」。
妹島和世(せじまかずよ)と西沢立衛(にしざわりゅうえ)によって1995年に設立され、世界的に高い評価を受けてきた建築事務所です。
代表作には、「金沢21世紀美術館」や「Dior表参道」、「ニューヨークのニューミュージアム」、スイスの「ロレックス・ラーニングセンター」、フランスの「ルーヴル=ランス」などがあり、いずれも“光と透明感”、“軽やかさ”をテーマにした美しい建築として知られています。
2010年には建築界のノーベル賞とも呼ばれる「プリツカー賞」を受賞。世界中の建築家から尊敬される存在です。
香川県立アリーナも、そんなSANAAらしい“軽やかで人に寄り添う建築”の真髄が表現されています。
素材や形状を極限までシンプルにしながら、光・風・人の動きを建築の中に取り込む。まるで透明な膜のような空間構成は、香川という穏やかな土地に実に調和しています。
■ 「あなぶきアリーナ香川」という地域の新しいシンボル
香川県立アリーナは2025年2月に開館。
県内外から多くの人が訪れる大規模イベントが次々と開催され、すでに香川の新しいランドマークとしての存在感を放っています。
建設を担当したのは大林組・合田工務店・菅組の共同企業体。地元の技術と世界的な建築家の感性が融合したプロジェクトでもあります。
県庁所在地・高松市の海沿いという立地も見逃せません。
高松駅やフェリー港にも近く、訪れる人にとっての“香川の玄関口”のすぐそばにあります。
アリーナの周囲には公園や広場があり、スポーツイベントのない日でも人々が散歩したり、海を眺めながら休憩したりと、日常的に憩いの場として利用できる空間になっています。
■ 池田知事のコメントに込められた期待
まさに「競技場」ではなく「街の一部」としてのアリーナ。
それは“スポーツ施設の枠を超えた公共建築”という、新しい価値を提示しているのです。
香川県の池田豊人知事は、今回の選出を受けて次のようにコメントしています。
「今年2月の開館後、これまでにない大規模なイベントの開催が可能となり、多くの方にご来館いただいている県立アリーナが、このたび、建築という観点からも高い評価をいただいたことを、大変嬉しく思います。今回の選定が、国内外のより多くの方々に県立アリーナをはじめとする香川県の魅力を知っていただき、そして実際にお越しいただくきっかけとなり、本県のより一層の活性化につながることを期待しています。」
観光・文化・スポーツの融合拠点としてのアリーナが、国際的な評価を受けたことは、香川県全体のブランディングにもつながります。
うどんだけではない「文化と建築の香川」として、国内外の人々に新たな印象を与えるきっかけになるかもしれません。
■ 地域にもたらす波及効果 ― “建築”が観光になる時代へ
ベルサイユ賞のような建築賞の影響力は非常に大きく、受賞施設には世界中から建築ファンや観光客が訪れます。
たとえば、同じくSANAAが設計した「金沢21世紀美術館」も、その独創的なデザインが国内外から高い評価を受け、年間200万人以上が訪れる観光名所となりました。
香川県立アリーナも、今後そうした「建築ツーリズム」の拠点になる可能性を秘めています。
また、アリーナがあることで地域の子どもたちが世界大会や音楽イベントを身近に感じるようになり、街に活気が生まれることも期待されます。
建築が“街を変える”——そんな実例を、香川が体現していくのかもしれません。
■ 「最優秀賞」なるか、12月の発表に注目
今回の発表では、世界で6施設が「世界で最も美しいアリーナ」に選ばれています。
中国・西安の「国際フットボールセンター(ザハ・ハディド設計)」や、フランスの「ル・コリゼ」など、世界の名だたる建築が名を連ねています。
この中から12月に「最優秀賞」および「特別賞」が決定される予定です。
もし香川県立アリーナが最優秀賞を受賞すれば、日本初の快挙。
建築の世界だけでなく、香川という地方都市の存在そのものが、世界の注目を集めることになります。
■ まとめ 〜「建築が語る風景」を未来へ〜
香川県立アリーナが「世界で最も美しいアリーナ2025」に選出されたというニュースは、単なるデザインの評価にとどまりません。
それは、地域に根ざしながらも、世界とつながる新しい時代の公共建築のあり方を示すものです。
高松港の風を受け、瀬戸内の光を透かしながら、ゆるやかに街と人をつなぐあの屋根。
その下で交わされる笑顔や歓声こそが、このアリーナの真の“美しさ”なのかもしれません。
香川の海と街のあいだに、世界が認めたひとつの建築詩が生まれました。
これから先、あなぶきアリーナ香川が、どんな物語を重ねていくのか。
その姿を見守りながら、香川県の未来がますます楽しみになってきました。
◻︎◻︎出典:うどん県旅ネット 香川県立アリーナ(あなぶきアリーナ香川)
https://www.my-kagawa.jp/point/4488/
【本日の一曲】
yuandirty – 4EVER (with Naykilla)