2025 11 19

恣意的な偏向報道はYouTubeの切り抜きと変わらない?

“情報の信頼性”をどう考えるべきか

近年、世界中で「報道の信頼性」を揺るがす出来事が相次いでいます。その象徴のひとつが今回の BBC会長辞任問題。英公共放送として長い歴史を持ち、世界中から「信頼できる報道機関」として見られてきたBBCで、トランプ大統領の演説内容が誤解を生む形に編集されていた――。この事実が発覚したことで、メディアのあり方について改めて考えさせられる人は多いのではないでしょうか。

そして、こうした出来事は「メディアの偏向報道」という問題が、決して一部の国や特定の時代に限定されない、普遍的な課題であることを示しています。

この記事では、ニュースや情報があふれる現在の社会で、 私たち受け手がどう情報と向き合えば良いのか を、やわらかい視点で整理してみたいと思います。


■ そもそも“偏向報道”とはなにか

ニュース報道は、本来であれば「公平・中立」を目指すものです。しかし現実には、どれほど客観性を保とうとしても、 人が選び、人が編集する以上、完全な中立は不可能 というのが実情です。

・どの部分を取り上げるか
・どの順番で伝えるか
・どんな専門家にコメントを求めるか
・どの言葉を、どのトーンで紹介するか

これらは全て「選択」つまり“切り取り”です。

こう聞くと少し構えてしまうかもしれませんが、実はこれはテレビだけの問題ではありません。

私たち自身も、SNSで写真を投稿するとき、ベストな1枚を選んで載せますよね。それと同じように、メディアも膨大な情報を前に、何かを選ぶことで構成せざるを得ません。

とはいえ、今回のBBCのように 意図的に誤解を生みやすい編集をした可能性がある 場合は話が別です。公共放送という立場からすれば、当然ながら大きな問題です。


■ 「切り抜き」とテレビ報道はどこが違う?

現代はYouTubeやTikTokなどの短尺動画が主流です。
切り抜き動画はその代表で、「一部だけをわかりやすく、インパクトの強い部分だけピックアップする」という文化がすでに一般化しています。

しかし、ここで気になるのが、

「大手メディアの報道と切り抜き動画って、結局は同じなのでは?」

という疑問です。

もちろん、報道機関には「公平性を守るルール」や「検証体制」がありますし、社会的責任も非常に重い立場にあります。しかし構造だけを見れば、

・膨大な情報の中から一部を選び
・編集し
・ひとつの“作品”として視聴者に届ける

という点で、仕組みそのものは切り抜き文化と驚くほど近いのです。

これは「報道は信用できない」という話ではありません。
むしろ、

“報道にも切り取りがある”という前提で受け止めることが、これからの情報社会で必須になる

ということです。


■ 誰でも情報発信できる時代だからこそ、問題が見えやすくなった

過去の歴史を振り返ると、ニュースを発信できるのはテレビ局・新聞社など限られた機関だけでした。一般市民が意見を広く届ける手段はほぼありません。

そのため、今回のような編集上の問題が起きても、
表に出ず、議論にもならなかった可能性があります。

しかし今は違います。

・SNSで瞬時に指摘が拡散
・内部文書のリーク
・スナップショット動画の検証
・過去映像の「秒単位比較」

こうしたチェックが一般人レベルでも可能になりました。

つまり今回の問題は、
「最近になって偏向報道が増えた」のではなく、
“昔からあった問題が可視化されるようになった”

という捉え方ができます。

それだけ、社会全体の「情報リテラシーが成熟してきた」とも言えるでしょう。


■ それでも“完全な客観性”は難しい

どれほど高度なガイドラインやチェック機能を用意しても、人がまとめる以上、どこかに主観が入り込みます。

これは、情報を扱う人が悪いという話ではありません。

人間は、
・価値観
・経験
・文化的背景
・無意識のバイアス

など様々なものを背負いながら生きています。
むしろ「完全に客観的になれる人間はいない」という前提で考えたほうが、自然なのかもしれません。

だからこそ大切なのは、
受け手側が“自分で考える力”を持つこと です。


■ 情報は「複数の窓」から見る必要がある

ひとつのメディアを盲目的に信じる時代は終わりました。

・国内メディア
・海外メディア
・SNS
・専門家
・政府発表
・一次情報(動画・議事録など)

これらを組み合わせて初めて、「本当の輪郭」が見えてきます。

もちろん一般の生活を送る中で、すべての情報源をチェックするのは難しいときもあります。それでも、 ひとつの情報に“依存”しない姿勢 は、これからの時代に欠かせないと思います。


■ AI時代は“情報の精度”がさらに問われる

今後は、生成AIがニュース記事を作成するケースも増えていきます。

AIは膨大な情報を高速に処理し、整った文章を作り出しますが、
その情報源が偏っていれば、AI自身も誤った判断をしてしまう可能性があります。

つまり、AIが増えるほど、
「どの情報をもとに学習しているのか?」
まで意識する必要が出てきます。

メディアの偏向が問題視される今だからこそ、AIの時代により一層“情報の透明性”が求められると言えるでしょう。


■ まとめ:これからの情報社会で必要なこと

今回のBBCの件は、多くの人にとってショッキングなニュースだったかもしれません。しかし、ここから学べることは多いと感じています。

  • メディアの情報は“切り取りの産物”である
  • 公平性を目指しても、主観は必ず入り込む
  • 情報は複数の角度から見て判断すべき
  • SNSやAIの普及で問題が可視化されやすくなった
  • だからこそ、受け手側の「情報リテラシー」が重要

情報があふれる現代において、
私たちは“一番信頼できる情報源”を探すのではなく、
“複数の情報の中から、自分で考えて判断する力”
を育てる必要があります。

柔らかな結論になりますが――

これからの社会では、
情報と上手に距離を取りながら、賢く、しなやかに付き合っていく
そんな姿勢がますます大切になっていくのではないでしょうか。

【本日の一曲】
James Brown – Live in Rome Italy March 2, 1971