2025 11 26

四国山地に守られている香川県

       ◻︎◻︎ 剣山山頂と私 ◻︎◻︎

― 地形から読み解く“暮らしやすさ”の理由 ―

香川県と聞くと、まず思い浮かぶのは讃岐うどん、温暖な瀬戸内海、のんびりとした時間が流れるコンパクトな地域性など、いわゆる「穏やかで住みやすい県」というイメージではないでしょうか。
しかし、この“暮らしやすさ”の背景には、じつは 四国山地という巨大な自然の盾 の存在があります。

香川県は、日本でも特に災害が少ない地域として知られています。台風・豪雨・豪雪・地震といった自然の脅威が全国的に問題視される中で、香川県はいつも「被害の少ない県」として名前が挙がることが多い。その根本的な理由を探っていくと、四国中央部を東西に貫く四国山地の存在が欠かせません。

この記事では、香川県が四国山地に“守られた県”である理由を、地形・気候・歴史・暮らしの観点から深掘りしていきます。


■ 四国山地とは何か――「日本の南の壁」としての役割

四国山地は、四国のほぼ中央を東西に貫く、標高1,500〜2,000m級の山々が連なる巨大な山系です。
石鎚山(1982m)や剣山(1955m)といった西日本最高峰1位と2位の山を擁し、地図で見ると四国を南北に完全に隔てる“壁”のようにも見えます。

この山地が香川県を含む北側の瀬戸内地域と、高知県を含む南側の太平洋側とを分け、気候を大きく変えています。

  • 南側(太平洋側)…高温多雨、台風が直撃しやすく豪雨災害も多い
  • 北側(瀬戸内側)…少雨で温暖、年間の日照時間が長い

四国山地は、まさに「自然の巨大な防波堤」。
台風や湿った空気は、この山地にぶつかり、雨を落として勢いを弱めます。そのため、香川県を含む瀬戸内側は“晴れの国”と呼ばれるほど、穏やかな気候が続くのです。

   ◻︎◻︎四国山地横断縦走vol.1  そんな四国山地を徒歩で横断するクレイジーなYouTuberさん


■ 香川県はなぜこんなに雨が少ないのか?

香川県の年間降水量は全国でも下位クラス。
令和6年にはなんと 47位(全国最下位) でした。

雨が少ない理由は明確で、

● 四国山地が太平洋からの湿気を遮る

● 瀬戸内海式気候のため、降雨の総量がもともと少ない

● 川が短く急勾配で、水がすぐ海に流れてしまう

という三点セットが揃っているため。

香川県民にとっては「雨の少なさ=ちょっと誇らしい特徴」。
晴れが多いことは、日常生活の快適さを大きく左右します。洗濯もしやすく、通勤・通学も安心。冬は雪が少ないため道路凍結の心配もほとんどありません。


■ とはいえ水不足は悩みのタネ。でも実は…?

雨が少ない香川県では、昔から「水不足」がたびたび話題になります。

取水制限、減圧給水…ニュースで聞くこともありますが、近年は

  • 香川用水(早明浦ダムからの導水)
  • 宝山湖の整備
  • 河川ダムの管理能力向上

などのおかげで、生活への影響はほとんど無くなっています。

水不足のイメージは強いですが、実際の生活では
「ちょっと給水制限のニュースが出る程度」で済んでいます。

   ◻︎◻︎四国山地横断縦走vol.2  剣山(西日本No2高さ)周辺


■ 香川県は災害が少ない――これは四国山地の恩恵

香川県が“安全な県”と言われる理由の中でも象徴的なのが、

● 台風被害が少ない

● 豪雨災害が少ない

● 地震が少ない(2020年は全国最少の7回)

● 豪雪などの冬の災害リスクもほとんどない

という点。

香川県民あるあるとして、

「台風が来ると思って身構えると、いつのまにか逸れている」

というのがありますが、これも四国山地の防御力のおかげ。

台風は南側から近づいてきますが、
四国山地にぶつかることで進路が東へずれたり、勢力が弱まったりします。

香川県民の子どもの頃の思い出としてよく語られるのが、

「明日は学校休みだ!」と期待したら
→ 台風が逸れて普通に晴れた
→ 子どもはガッカリ、大人はホッとする

というやつです(笑)


■ 山に守られた土地、そして海に開かれた県

香川県は北に瀬戸内海、南は四国山地。
つまり 「山に守られ、海に開かれた県」 だと言えます。

● 山が災害を防ぎ
● 海が気候を穏やかにし
● 地形そのものが暮らしを安定させている

地域の“形”が生活にここまで影響を与える県は、全国でもなかなかありません。

   ◻︎◻︎四国山地横断縦走vol.3  石鎚山(西日本No1高さ)周辺


■ うどんだけじゃない、香川県の「地形が生んだ文化」

香川県の食・文化・暮らしやすさの源は、大部分が瀬戸内の自然と四国山地の地形にあります。

● 讃岐うどん

乾燥した気候が小麦文化を育て、「コシのあるうどん」が定着。

● オリーブ産地

温暖で日照時間が長い香川県の気候と相性抜群。全国シェア87%。

● コンパクトで移動しやすい街

平地が多く、都市が無理なく広がっている。

どれも、地形がもたらした“必然”と言えるかもしれません。


■ 四国山地に守られた香川で暮らすということ

香川県は日本で最も小さな県です。
四国自体も日本全体の面積のわずか5%ほどしかありません。

しかしそのコンパクトさの中に、

  • 災害の少なさ
  • 雨の少なさ(=快適さ)
  • 温暖な気候
  • 豊かな海
  • アクセスの良いエリア
  • 安心して暮らせる環境

が凝縮されています。

“暮らしやすい県ランキング”で上位に入ることが多いのは、単なるイメージではなく、こうした地形・気候の特徴が積み上げた結果です。


■ 四国山地は香川県の「無言の守り神」

香川の穏やかさ、生活のしやすさは、
実はすべて“山の存在”から始まっています。

四国山地という巨大な自然の要塞があるからこそ、
香川県は年間を通して大きな災害を受けにくく、
快適で温暖な地域として発展してきました。

普段の暮らしではあまり意識しないかもしれませんが、
私たちは知らず知らずのうちにこの山々の恩恵を受けています。

もし香川に住んでいる方なら、ふと空を見上げて、

「今日も穏やかな天気だな。山に守られてるなあ」

と感じてみるのも良いかもしれません。

【本日の一曲】
Chaka Khan – I Know You, I Live You