2025 11 29

香川県の鉄道行き着く先は“こんぴらさん”――香川のご当地鉄道のお話

香川県の鉄道を語るとき、どうしても欠かせない存在があります。
それが「こんぴらさん」の愛称で親しまれる金刀比羅宮です。

金刀比羅宮は海の神様として古くから親しまれ、江戸時代には「一生に一度はこんぴら参り」と言われるほどの大人気。民謡『金毘羅船々』とともに、その名は全国へ広がりました。人々が憧れを抱いてこんぴらさんを目指していた時代の名残は、今も香川県の鉄道にしっかりと受け継がれています。

実は、香川の鉄道の多くは、この「こんぴら参り」がきっかけで整備されてきました。
言い換えれば、香川県の鉄道は“こんぴらさんへ向かう道”として始まったと言ってもいいほどです。


■ 香川の鉄道は「讃岐鉄道」から始まった

1889年、四国で2番目の鉄道として「讃岐鉄道」が丸亀~琴平間に開通しました。
終点の琴平駅は、もちろん金刀比羅宮の参道の玄関口。

はじめから「こんぴらさんに行きやすくするため」に作られた鉄道だったわけです。

その後、讃岐鉄道は山陽鉄道、そして国の鉄道へとつながり、路線は西へ南へ伸びていきます。これが今のJR予讃線と土讃線です。


● 予讃線

高松から松山・宇和島へ続く、四国を代表する幹線。
香川では高松~箕浦間を通り、坂出・宇多津・丸亀・多度津・三豊などの主要エリアを結んでいます。
特急「しおかぜ」「いしづち」もこの路線で走っています。

● 土讃線

多度津を出て四国山地を越え、高知方面へ向かう路線。
県内では善通寺や琴平を通り、特急「南風」が高知へ向かって毎日元気に走っています。


■ 高松駅は四国鉄道の“玄関口”

JRの主要特急はすべて高松駅発。
城下町として、そして港町として発展してきた高松は、今も四国鉄道の中心地です。

● 高徳線

高松~徳島をむすぶ路線。
看板列車は特急「うずしお」。
高松市街地からさぬき市、東かがわ市まで、生活に密着した路線でもあります。


■ 瀬戸大橋と「マリンライナー」が変えた香川の交通

1988年、瀬戸大橋が開通し、鉄道はついに“海を越えました”。

岡山と高松を結ぶ瀬戸大橋線は、一気に香川の動脈に。
特に快速「マリンライナー」は1時間に2本と使いやすく、通勤・通学の足としても定着しました。

船で本州へ渡っていた時代を思うと、まさに大きな転換点でした。


■ 地元の足・ことでんと“琴平線”の役割

香川県民にとって身近な鉄道と言えば、やっぱりことでん

ことでんには3路線ありますが、香川らしさが一番感じられるのは「琴平線」です。

● 琴平線の目的はただひとつ

1926年に誕生した琴平線。
その目的はとてもシンプルでした。

「鉄道で人々をこんぴらさんへ運ぶこと」

JRとは別のルートで、高松築港駅から琴平駅までを結んでいます。
今も多くの参拝客を乗せて、金刀比羅宮のふもとへ向かって走り続けています。


■ 昔は琴平に“4つの鉄道路線”が走っていた

大正~昭和初期には、琴平参宮電鉄や琴平急行電鉄など、多くの私鉄が競って琴平へ路線を延ばしました。
土讃線も含めると、最盛期にはなんと**

4つの路線が琴平へ乗り入れていた のです。

それだけ、こんぴら参りが大人気だったということです。

時代が進むにつれ路線は減り、今残っているのはことでん琴平線のみですが、歴史の名残りは今でも感じられます。


■ 鉄道と“お遍路文化”が共存する香川

香川県の四国霊場のうち、志度寺(86番)と長尾寺(87番)は、どちらもことでんの終点駅の近くにあります。
そのため、ことでんに乗っているとお遍路さんと出会うこともしばしば。

JR各線もお遍路道へ行きやすく、「鉄道で巡るお遍路旅」も人気があります。
こうした鉄道と文化のつながりは、香川ならではの魅力です。


■ 鉄道と船がつながっていた「宇高連絡船」と高松駅

香川の交通史を語るうえで忘れられないのが、かつての宇高連絡船です。

岡山県・宇野港と香川県・高松港を結ぶ連絡船は、1910年から長い間、四国への玄関口でした。
船上で食べる“連絡船うどん”は、多くの旅人の思い出に残っています。

瀬戸大橋の開通とともに役目を終えましたが、高松駅の歴史を語るうえで欠かせない存在です。


■ 端式ホームの高松駅

高松駅には、他の駅とは少し違った特徴があります。
それが 「頭端式ホーム」 と呼ばれる、線路が行き止まりになっている構造です。

ホームの先には線路が続いておらず、そこが終点。
列車は必ずこの場所でいったん止まり、折り返してまた別の方向へ走っていきます。
まさに「四国の入口であり、出口でもある駅」という、特別な役割を象徴しているようです。

かつて高松駅は宇野港と結ばれた宇高連絡船の発着地で、鉄道と船が乗り換える“玄関口”でもありました。
その名残として、行き止まりの構造は今も受け継がれています。
港町としての歴史と鉄道の発展が重なった結果、自然と“終着駅スタイル”になったと言えるのです。

現在では、JR四国の主要特急がここを起点に四国各地へ出発していきます。
特急「しおかぜ」「いしづち」「南風」「うずしお」などが並ぶ姿は、まるで四国中へ旅が広がっていく地図のよう。
列車が次々と出発していく光景と、行き止まりのホームという組み合わせは、高松駅ならではの魅力です。

もし高松駅を訪れたら、ぜひホームの一番先まで歩いてみてください。
行き止まりの線路と、その向こうに広がる海風の景色が、四国の玄関口としての歴史をそっと物語ってくれます。

■ まとめ

香川の鉄道は、信仰・文化・暮らしと共に歩んできた

香川県の鉄道には、こんな背景があります。

・こんぴら参りの歴史
・海を越える交通の進化
・お遍路文化
・ことでんという地域の足
・瀬戸大橋開通による大きな変化

香川の鉄道を知ることは、香川の歴史や文化そのものを知ることでもあります。

香川を訪れたときは、ぜひ鉄道の旅も楽しんでみてください。
いつもの車窓の風景が、きっと少し違って見えるはずです。

【本日の一曲】
Calvin Harris – Acceptable in the 80’s