2026 01 09

山陰地震で改めて考える「液状化現象」について

年初に発生した山陰地方の地震。
今回の島根県の地震では、ここ香川でも震度3〜4の揺れを感じ、さらに余震も続いたことで、「久しぶりに地震らしい揺れだった」と感じた方も多かったのではないでしょうか。大きな被害は限定的だったものの、この地震をきっかけに改めて注目されたのが「液状化現象」です。

地震というと建物の倒壊や津波が注目されがちですが、液状化は一見すると分かりにくく、しかし生活や都市機能に深刻な影響を及ぼす現象です。今回の山陰地震でも、鳥取県米子市などで液状化とみられる被害が確認されました。

本記事では、今回の山陰地震をきっかけに、液状化現象とは何か、その仕組み、起こりやすい条件、過去の事例、そして私たちが住まい選びや暮らしの中でどのように向き合うべきかについて整理していきます。


液状化現象とは何か

液状化現象とは、地震の揺れによって、固体であるはずの地盤が一時的に液体のような状態になる現象のことをいいます。

普段、私たちが立っている地面は硬く安定しているように見えます。しかし、その地盤が「ゆるく堆積した砂」でできており、かつ地下水を多く含んでいる場合、強い揺れが加わることで、砂粒同士の結びつきが失われ、地盤が泥水のような状態になります。これが液状化です。

この状態になると、重いものは沈み、軽いものは浮き上がるという現象が起こります。その結果、建物が沈下・傾斜したり、道路が陥没したり、地下に埋まっていたマンホールや水道管が浮き上がったりする被害が発生します。


液状化が発生しやすい地盤条件

液状化はどこでも起こるわけではありません。一般的に、次の3つの条件が重なると発生しやすいとされています。

① ゆるい砂地盤

液状化が起こりやすいのは、砂粒の大きさが0.03mm〜0.5mm程度の砂地盤で、なおかつ地盤が締め固まっていない場所です。海岸部、河口付近、埋立地、干拓地、扇状地、昔の河道を埋めた土地などが代表例です。

地盤の硬さを示す指標として「N値」がありますが、一般的にN値20以下の砂地盤は液状化しやすいとされています。

② 地下水位が浅い

地下水位が地表から10m以内、特に浅いほど液状化のリスクは高くなります。砂粒の隙間が水で満たされていることで、地震時に水圧が上昇しやすくなるためです。

なお、戸建て住宅の場合は建物が比較的軽いため、地下水位が地表から3mより深ければ、建物自体への影響は小さいと考えられるケースもありますが、地盤沈下などの影響がゼロになるわけではありません。

③ 強い、または長時間の地震動

一般的に震度5以上の揺れで液状化が起こりやすいとされていますが、揺れの継続時間も非常に重要です。揺れが長く続くと、震度がやや低くても液状化が発生する可能性があります。


液状化現象のメカニズム

液状化しやすい砂地盤は、砂粒と砂粒の隙間が地下水で満たされています。

  • 平常時
    砂粒同士が接触し合い、地盤としての強さを保っています。
  • 地震時
    繰り返し揺れることで地盤全体が変形し、砂粒の隙間の水が押し出され、水圧が上昇します。その結果、砂粒同士の接触力が弱まり、地盤は「泥水」のような状態になります。
  • 地震後
    水圧が抜けると砂粒が沈降し、地盤全体が沈下します。このとき、圧力の高くなった地下水が地表に噴き出し、「噴砂」や「噴水」として確認されることがあります。

この過程で、建物は沈下・傾斜し、地下の配管やマンホールなどは浮き上がるのです。


液状化による被害の具体例

液状化被害が広く知られるようになったのは、1964年の新潟地震です。県営アパートが大きく傾いた映像は、今も液状化被害の象徴として語られています。

液状化の影響は、建物の被害だけにとどまりません。

  • 上下水道管の破断や引き抜けによる断水・下水障害
  • 道路の陥没やマンホールの浮き上がりによる交通障害
  • 橋梁周辺での側方流動による橋の損傷
  • 噴砂が乾燥して粉塵となり、衛生環境が悪化

こうした被害は、地震直後だけでなく、その後の復旧・生活再建にも大きな影響を及ぼします。


東日本大震災に見る液状化の特徴

2011年の東日本大震災では、液状化被害が過去最大級の範囲で発生しました。被害面積は約42km²ともいわれ、東京湾沿岸や千葉県浦安市など、震源から遠く離れた地域でも深刻な被害が確認されました。

この地震の特徴は、**「長く、ゆっくりとした揺れ」**です。揺れの継続時間が非常に長かったため、同じ震度でも地盤の深い部分まで液状化が進み、地震後の沈下量も大きくなりました。

この事例は、「震度だけでは液状化のリスクは判断できない」という重要な教訓を残しています。


山陰地震で確認された液状化被害

今回の山陰地震では、鳥取県米子市の湊山公園などで液状化とみられる被害が確認されました。公園内では地面のひび割れや陥没、空洞が見える箇所もあり、市の担当者は「埋立地であることが影響した可能性が高い」としています。

このように、都市部でなくとも、地盤条件がそろえば液状化は発生します。内陸部だから安全、地方だから大丈夫、というわけではありません。


住まいと液状化、どう向き合うか

特に注意が必要なのが木造住宅です。木造住宅は建物自体が軽く、基礎も比較的浅いため、液状化が発生すると沈下や傾斜の影響を受けやすいとされています。

液状化被害は、命に直結するケースは少ないものの、生活再建の負担が非常に大きい災害です。建物を元に戻すための修復工事には多額の費用と時間がかかり、その間、住み続けることができない場合もあります。

土地選びや住宅購入の際には、

  • 過去の地形(埋立地・旧河道など)
  • ハザードマップ
  • 地盤調査の結果

といった情報を確認することが重要です。


おわりに

今回の山陰地震は、私たちに「液状化は決して他人事ではない」ということを改めて教えてくれました。地震そのものは防げませんが、正しい知識を持ち、備えることはできます。

住まいは、日常を支える最も大切な基盤です。地震が起きたときだけでなく、これからの住まい選びや暮らしを考えるうえで、液状化という視点を持つことが、将来の安心につながるのではないでしょうか。





◻︎◻︎出典:大林組 特集 液状化現象のメカニズム
     https://www.obayashi.co.jp/thinking/detail/pickup012.html

【本日の一曲】
XEXA – Project 8

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