住宅ローン減税を5年間延長へ 中古住宅への支援を拡充 【2026年度住宅ローン減税】
―「新築から中古」「広さから性能」へ、舵を切った住宅税制の全体像―
2026年度(令和8年度)の税制改正大綱が閣議決定され、住宅ローン減税をはじめとする住宅関連税制の内容が明らかになりました。
今回の改正は単なる「延長」ではなく、住宅取得の考え方そのものを変える転換点とも言える内容です。
物価高が続き、実質賃金が伸び悩む中、住宅取得の負担は年々重くなっています。一方で、2050年カーボンニュートラルの実現や人口減少・世帯規模の縮小といった社会背景を踏まえ、国は「どんな住宅を支援するか」を明確に示しました。
キーワードは
「省エネ」「既存住宅」「子育て」「コンパクト」「安全」。
本記事では、2026年度住宅ローン減税を中心に、制度のポイントと注意点を分かりやすく整理します。
住宅ローン減税とは
住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)とは、住宅ローンを利用して住宅を取得した場合、”年末のローン残高の0.7%”を所得税(控除しきれない分は一部住民税)から差し引く制度です。
最大の特徴は、最大13年間という長期にわたり税負担を軽減できる点。
家計への影響が大きい住宅取得において、最も利用されている税制優遇のひとつです。
住宅ローン減税、2030年まで5年間延長
今回の税制改正で最も重要なポイントは、
住宅ローン減税の適用期限が5年間延長されたことです。
- 適用期間:
2026年1月1日~2030年12月31日入居分まで - 控除率:
0.7%(据え置き)
これにより、住宅取得のタイミングを急がず、計画的に検討できる環境が整いました。
「新築より既存住宅」へ 明確な政策転換
今回の改正で特に注目すべきは、既存住宅(中古住宅)への支援強化です。
これまで住宅ローン減税は、新築住宅が優遇される傾向にありました。しかし2026年以降は、
省エネ性能の高い既存住宅であれば、新築と同等の扱いとなります。
控除期間が13年に統一
- これまで
既存住宅:原則10年
新築住宅:13年 - 2026年以降
省エネ基準を満たす既存住宅も13年控除
中古住宅+リノベーションという選択肢が、税制面でも非常に有利になりました。
借入限度額の引き上げ(既存住宅)
省エネ性能が高い既存住宅については、借入限度額も拡充されます。
| 住宅区分 | 借入限度額 | 子育て・若者世帯 |
|---|---|---|
| 長期優良・低炭素 | 3,500万円 | 4,500万円 |
| ZEH水準省エネ | 3,500万円 | 4,500万円 |
| 省エネ基準適合 | 2,000万円 | 3,000万円 |
国は明確に
「性能の良い中古住宅を活用する社会」
を目指していることが読み取れます。
床面積要件が40㎡へ緩和(既存住宅も対象)
これまで住宅ローン減税は、床面積50㎡以上が原則でした。
2026年以降は、
- 40㎡以上50㎡未満でも適用可能
- 対象は新築だけでなく既存住宅にも拡大
ただし条件があります。
- 合計所得金額が1,000万円以下であること
- 子育て世帯等の上乗せ措置を使う場合は50㎡以上
都市部のコンパクトマンションや、地方での小さな住まいにも配慮した改正と言えるでしょう。
2028年以降の「厳格化ルール」に注意
一方で、2028年(令和10年)以降はルールが厳しくなる点にも注意が必要です。
省エネ基準適合住宅は対象外へ
- 2028年以降に建築確認を受ける新築住宅で
省エネ基準適合レベルの住宅は原則対象外 - ZEH水準以上が事実上の必須条件
災害レッドゾーンの新築住宅は対象外
以下の区域に該当する土地での新築住宅は、原則住宅ローン減税の対象外となります。
- 土砂災害特別警戒区域
- 急傾斜地崩壊危険区域
- 地すべり防止区域
- 浸水被害防止区域
- 災害危険区域
※既存住宅・建替え・リフォームは対象
「どこに建てるか」「どんな性能か」が、これまで以上に重要になります。
子育て世帯・若者夫婦世帯への手厚い支援
子育て世帯(19歳未満の子がいる世帯)
若者夫婦世帯(夫婦のいずれかが40歳未満)
これらの世帯については、
借入限度額が最大1,000万円上乗せされます。
しかも今回は、
既存住宅でも省エネ基準以上なら上乗せ対象。
若い世代が中古住宅を取得し、性能向上リフォームを行う流れを強く後押ししています。
住宅ローン減税以外の関連税制も延長
リフォーム減税
- 所得税:3年延長
- 固定資産税:5年延長
- 床面積要件:40㎡以上に緩和
新築住宅の固定資産税軽減
- 戸建て:3年間半額
- マンション:5年間半額
→ 5年間延長
居住用財産の買換え特例
- 自宅売却時の税負担軽減措置
→ 2年間延長
今回の改正が示す「国のメッセージ」
2026年度の住宅税制改正を一言で表すなら、
「広くて新しい家」から
「小さくても、性能が良く、安全な家」へ
という価値観の転換です。
- 新築一辺倒ではなく、既存住宅の活用
- 面積よりも省エネ性能
- 子育て・若者世帯への集中支援
- 災害リスクの高い立地は抑制
住宅取得は「買えればいい」時代から、
**「選び方が問われる時代」**に入っています。
まとめ
2026年度住宅ローン減税は、
中古住宅 × 省エネ × コンパクトを選ぶ人にとって、非常に追い風となる制度です。
一方で、
- 面積要件
- 所得制限
- 省エネ基準
- 災害リスク
これらを正しく理解していないと、
「使えると思っていた減税が使えない」という事態も起こり得ます。
住宅購入・売却・リフォームを検討する際は、
最新の税制情報を前提にした資金計画が不可欠です。
制度を「知っているかどうか」で、
数百万円単位の差が生まれる時代。
今回の改正内容を、ぜひ今後の住まい選びに活かしてください。
※本記事は令和8年度税制改正大綱(閣議決定時点)の内容に基づいています。実際の適用にあたっては、今後成立する関連税制法および国土交通省・国税庁の最新情報をご確認ください。
◻︎◻︎出典:国土交通省 令和8年度税制改正大綱(閣議決定時点)
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001975750.pdf
【本日の一曲】
Linkwood Family – Miles Away (Intrusion Sunset Dub)
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