2025 12 30

住宅ローン減税を5年間延長へ 中古住宅への支援を拡充 【2026年度住宅ローン減税】

―「新築から中古」「広さから性能」へ、舵を切った住宅税制の全体像―

2026年度(令和8年度)の税制改正大綱が閣議決定され、住宅ローン減税をはじめとする住宅関連税制の内容が明らかになりました。
今回の改正は単なる「延長」ではなく、住宅取得の考え方そのものを変える転換点とも言える内容です。

物価高が続き、実質賃金が伸び悩む中、住宅取得の負担は年々重くなっています。一方で、2050年カーボンニュートラルの実現や人口減少・世帯規模の縮小といった社会背景を踏まえ、国は「どんな住宅を支援するか」を明確に示しました。

キーワードは
「省エネ」「既存住宅」「子育て」「コンパクト」「安全」

本記事では、2026年度住宅ローン減税を中心に、制度のポイントと注意点を分かりやすく整理します。


住宅ローン減税とは

住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)とは、住宅ローンを利用して住宅を取得した場合、”年末のローン残高の0.7%”を所得税(控除しきれない分は一部住民税)から差し引く制度です。

最大の特徴は、最大13年間という長期にわたり税負担を軽減できる点
家計への影響が大きい住宅取得において、最も利用されている税制優遇のひとつです。


住宅ローン減税、2030年まで5年間延長

今回の税制改正で最も重要なポイントは、
住宅ローン減税の適用期限が5年間延長されたことです。

  • 適用期間:
     2026年1月1日~2030年12月31日入居分まで
  • 控除率:
     0.7%(据え置き)

これにより、住宅取得のタイミングを急がず、計画的に検討できる環境が整いました。


「新築より既存住宅」へ 明確な政策転換

今回の改正で特に注目すべきは、既存住宅(中古住宅)への支援強化です。

これまで住宅ローン減税は、新築住宅が優遇される傾向にありました。しかし2026年以降は、
省エネ性能の高い既存住宅であれば、新築と同等の扱いとなります。

控除期間が13年に統一

  • これまで
     既存住宅:原則10年
     新築住宅:13年
  • 2026年以降
     省エネ基準を満たす既存住宅も13年控除

中古住宅+リノベーションという選択肢が、税制面でも非常に有利になりました。


借入限度額の引き上げ(既存住宅)

省エネ性能が高い既存住宅については、借入限度額も拡充されます。

住宅区分借入限度額子育て・若者世帯
長期優良・低炭素3,500万円4,500万円
ZEH水準省エネ3,500万円4,500万円
省エネ基準適合2,000万円3,000万円

国は明確に
「性能の良い中古住宅を活用する社会」
を目指していることが読み取れます。


床面積要件が40㎡へ緩和(既存住宅も対象)

これまで住宅ローン減税は、床面積50㎡以上が原則でした。

2026年以降は、

  • 40㎡以上50㎡未満でも適用可能
  • 対象は新築だけでなく既存住宅にも拡大

ただし条件があります。

  • 合計所得金額が1,000万円以下であること
  • 子育て世帯等の上乗せ措置を使う場合は50㎡以上

都市部のコンパクトマンションや、地方での小さな住まいにも配慮した改正と言えるでしょう。


2028年以降の「厳格化ルール」に注意

一方で、2028年(令和10年)以降はルールが厳しくなる点にも注意が必要です。

省エネ基準適合住宅は対象外へ

  • 2028年以降に建築確認を受ける新築住宅で
     省エネ基準適合レベルの住宅は原則対象外
  • ZEH水準以上が事実上の必須条件

災害レッドゾーンの新築住宅は対象外

以下の区域に該当する土地での新築住宅は、原則住宅ローン減税の対象外となります。

  • 土砂災害特別警戒区域
  • 急傾斜地崩壊危険区域
  • 地すべり防止区域
  • 浸水被害防止区域
  • 災害危険区域

※既存住宅・建替え・リフォームは対象

「どこに建てるか」「どんな性能か」が、これまで以上に重要になります。


子育て世帯・若者夫婦世帯への手厚い支援

子育て世帯(19歳未満の子がいる世帯)
若者夫婦世帯(夫婦のいずれかが40歳未満)

これらの世帯については、
借入限度額が最大1,000万円上乗せされます。

しかも今回は、
既存住宅でも省エネ基準以上なら上乗せ対象

若い世代が中古住宅を取得し、性能向上リフォームを行う流れを強く後押ししています。


住宅ローン減税以外の関連税制も延長

リフォーム減税

  • 所得税:3年延長
  • 固定資産税:5年延長
  • 床面積要件:40㎡以上に緩和

新築住宅の固定資産税軽減

  • 戸建て:3年間半額
  • マンション:5年間半額
    → 5年間延長

居住用財産の買換え特例

  • 自宅売却時の税負担軽減措置
    → 2年間延長

今回の改正が示す「国のメッセージ」

2026年度の住宅税制改正を一言で表すなら、

「広くて新しい家」から
「小さくても、性能が良く、安全な家」へ

という価値観の転換です。

  • 新築一辺倒ではなく、既存住宅の活用
  • 面積よりも省エネ性能
  • 子育て・若者世帯への集中支援
  • 災害リスクの高い立地は抑制

住宅取得は「買えればいい」時代から、
**「選び方が問われる時代」**に入っています。


まとめ

2026年度住宅ローン減税は、
中古住宅 × 省エネ × コンパクトを選ぶ人にとって、非常に追い風となる制度です。

一方で、

  • 面積要件
  • 所得制限
  • 省エネ基準
  • 災害リスク

これらを正しく理解していないと、
「使えると思っていた減税が使えない」という事態も起こり得ます。

住宅購入・売却・リフォームを検討する際は、
最新の税制情報を前提にした資金計画が不可欠です。

制度を「知っているかどうか」で、
数百万円単位の差が生まれる時代。
今回の改正内容を、ぜひ今後の住まい選びに活かしてください。


※本記事は令和8年度税制改正大綱(閣議決定時点)の内容に基づいています。実際の適用にあたっては、今後成立する関連税制法および国土交通省・国税庁の最新情報をご確認ください。

◻︎◻︎出典:国土交通省 令和8年度税制改正大綱(閣議決定時点)
     https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001975750.pdf

【本日の一曲】
Linkwood Family – Miles Away (Intrusion Sunset Dub)

◻︎◻︎せとうち不動産 https://setouchi-fudosan.com/◻︎◻︎