また大阪で起きた「地面師事件」
――しかも司法書士が主導していたという衝撃
またしても、大阪で「地面師事件」が発覚しました。
しかも今回は、登記の専門家であり、不動産取引の安全性を最後に担保する立場である司法書士が主導していたという、非常に重い内容です。
地面師――。
ドラマやニュースの中だけの話だと思っている方も多いかもしれません。しかし、こうして定期的に実際の事件として表に出てくるたびに、「これは他人事ではない」と感じさせられます。
今回の事件の概要
報道によると、逮捕されたのは大阪市の司法書士・松本稜平容疑者(34)と、三重県の会社員・小鹿瑞樹容疑者(33)。
二人は共謀し、大阪市北区にある不動産について、80代の男性所有者になりすまし、虚偽の登記申請を行った疑いが持たれています。
いわゆる「地面師詐欺グループ」の一員とみられています。
実際の所有者は、昨年3月に不正な登記に気づき、裁判を起こして登記抹消が認められましたが、もし気づくのが遅れていたら、第三者へ転売され、被害はさらに拡大していた可能性があります。
司法書士という立場の重さ
司法書士は、登記申請を代理できる数少ない国家資格者です。
不動産売買においては、「この人が関与しているから大丈夫」という最後の安全装置でもあります。
その司法書士自身が、
・偽造された委任状を提出
・なりすましを前提とした登記申請
に関与していたとすれば、これは制度の根幹を揺るがす話です。
さらに驚くのは、松本容疑者が過去に懲戒処分を受けていたという点です。
相続登記の依頼を正当な理由なく放置し、前払報酬も返還しなかったことで、4カ月の業務停止処分を受けていました。
「すでに何らかの問題を抱えていた人物が、より深い闇に踏み込んでしまった」
そんな印象を拭えません。
闇バイトと地面師の結びつき
今回の事件では、実行役とみられる小鹿容疑者が、闇バイトに応募して犯行に加わった可能性も報じられています。
最近は、
・受け子
・出し子
といった言葉が一般化しましたが、地面師の世界でも同様に、役割を細分化し、使い捨ての実行役を集める構造が見え隠れします。
専門知識を持つ人間と、軽い気持ちで応募した人間。
その組み合わせが、大きな犯罪を成立させてしまう現実があります。
「大阪だから起きた事件」なのか?
正直なところ、今回の事件は
・地価が高い
・流動性が高い
・万博などの大型イベントが控えている
大阪という土地柄だからこそ狙われた側面は大きいと思います。
四国のような地方、地価の低いエリアでは、同じ手口が成立しにくいのは事実です。
売却価格が数千万円、あるいは億単位になる都市部だからこそ、リスクを冒してでも狙う価値がある。
その意味では、地方で暮らしていると
「うちは大丈夫」
と思ってしまいがちです。
その「油断」こそが、狙われる理由
ただし――。
その油断こそが、彼らにとっては最大のチャンスでもあります。
地方では
・本人確認が形式的になりやすい
・顔見知りだから大丈夫
・昔からの慣習で進めてしまう
といったケースが、まだまだ残っています。
「まさか、こんな田舎で」
「知り合いの紹介だから」
そう思った瞬間に、チェックが甘くなる。
彼らは、その隙を見逃しません。
本人確認は“作業”ではなく“本質”
今回の事件でも、
顔写真付きの身分証明書による本人確認は行われていました。
しかし、その証明書自体が偽造されていた。
ここが非常に重要なポイントです。
本人確認は
・免許証をコピーする
・マイナンバーカードを確認する
といった「作業」ではありません。
本来は、
・年齢や話し方に違和感はないか
・物件の履歴を本当に把握しているか
・売却理由が自然か
といった、人としての整合性を見る行為です。
書類だけを信じる時代は、すでに終わりつつあります。
不動産取引で本当に必要なこと
今回の事件を受けて、改めて感じるのは、
- 売主本人との直接面談
- 複数回・複数人での確認
- 書類の整合性チェック
- 少しでも違和感があれば立ち止まる勇気
これらは、地価の高い低いに関係なく、すべての不動産取引で必須だということです。
「面倒だから」
「急いでいるから」
その一言が、取り返しのつかない被害につながる可能性があります。
制度を信じすぎないという視点
日本の不動産登記制度は、世界的に見ても非常に整っています。
しかし、それを運用するのは人間です。
制度があるから安心、
資格者が関わっているから安心、
ではなく、
最終的に守る意識を持つのは、自分自身である
この意識が、これからの時代はますます重要になると感じます。
おわりに
今回の大阪の地面師事件は、
「都会だから起きた特殊な事件」
ではありません。
- 専門家でも信用しきれない時代
- 書類だけでは安全を担保できない現実
- 地方ほど狙われる可能性があるという逆説
多くの教訓を含んだ事件です。
不動産は、人生で最も高額な取引になることが多い資産です。
だからこそ、
「疑いすぎるくらいで、ちょうどいい」
そのくらいの意識で向き合う必要があるのだと思います。
油断した瞬間、彼らはやってきます。
◻︎◻︎地面師たち https://www.netflix.com/jp/title/81574118
【本日の一曲】
Pete Rock & C.L. Smooth – In the House
◻︎◻︎せとうち不動産 https://setouchi-fudosan.com/◻︎◻︎