ランニングで通る「極楽橋」から考える、地方インフラのこれから
せとうち不動産からほど近い場所に、「極楽橋」という橋があります(観音寺小学校すぐ横)。
事務所からランニングをしていると、時々その上を走ることがあって、私にとってはわりと身近な存在です。
橋には柵が設けられていて、車は通れません。歩行者と自転車だけが通れる状態です。
この光景、実はもう10年ほど続いています。(そのことも知りませんでした)
とはいえ、正直なところ、これまで
「なぜ車が通れないんだろう?」
「どうしてずっとこのままなんだろう?」
と、深く考えたことはありませんでした。
橋の名前が「極楽橋」ということも、どこか印象的ではあるものの、あくまで日常の風景の一部。
そんな認識だったのが、ある記事を読んだことで大きく変わりました。
名前は「極楽」でも、現実はなかなか厳しい
2026年1月に目にした記事のタイトルは、少しドキッとするものでした。
「名前は『極楽』でも実態は“廃墟級” 香川県の老朽インフラ」
極楽橋は1933年(昭和8年)に完成した橋で、すでに90年以上が経っています。
2016年の点検で「特別な対応が必要」と判断され、それ以降、車両は通行止めになりました。
欄干のコンクリートにはひびが入り、中の鉄筋が見えている部分もあります。
応急的に鎖で固定されている箇所もあり、記事の写真を見ると、確かに年月の重みを感じます。
この橋は、かつては地域の生活道路として使われてきました。
北側には小学校やこども園もあり、通学路としても大切な場所です。
少し下流には別の橋があり、今はそこが迂回路として使われていますが、
地元からは以前から「架け替えてほしい」という声が上がっているそうです。
「直したいけど、すぐには直せない」現実
観音寺市としても、極楽橋を架け替える方針はあるとのことです。
ただし、市道の拡幅計画との調整や、やはり一番大きいのは予算の問題。
「いつ架け替えるのか」という具体的な時期は、まだ決まっていません。
10年という時間を考えると、簡単な話ではないことが伝わってきます。
そして、この記事を読んで強く感じたのは、
極楽橋の話は、決して特別な例ではない
ということでした。
全国で進む、インフラの老朽化
国土交通省のデータによると、全国には数えきれないほどの橋やトンネルがあります。
その多くが、これから一斉に「更新の時期」を迎えます。
2020年時点で、建設から50年以上経った橋は全体の約3割。
それが2040年には、約75%にまで増える見込みだそうです。
高度経済成長期に整備されたインフラが、
ちょうど今、同じタイミングで年を重ねている、ということですね。
地方ほど厳しい「人」と「お金」の問題
特に大変なのが、小規模な市町村です。
人口が減り、自治体の職員数も減少しています。
中でも、道路や橋を専門的に見ることができる「技術系職員」は不足しています。
点検や工事の発注、管理には専門知識が必要ですが、
その担い手が足りていないのが現実です。
「危険なのは分かっているけれど、なかなか手が付けられない」
極楽橋の状況は、そんな地方の悩みを象徴しているように感じました。
不動産の仕事をしていて思うこと
不動産の仕事をしていると、
道路や橋、水道などのインフラは「あるのが当たり前」と思いがちです。
でも、橋ひとつが使えなくなることで、
・通学や通勤の動線
・暮らしやすさ
・土地や建物の価値
にも、少しずつ影響が出てきます。
地方で暮らすこと、地方に住まいを持つことは、
「完成された環境を選ぶ」というより、
「これからも地域と一緒に続いていく環境を選ぶ」
という意味合いが、以前より強くなっているのかもしれません。
何気ない風景から、少し先の未来を考える
ランニング中に何度も渡ってきた極楽橋。
これまでは、ただの通過点でした。
でも今は、
「この橋を、誰が、どうやって、これから先も支えていくんだろう」
そんなことを考えるようになりました。
身近な風景の中に、地方が抱える課題が静かに隠れている。
極楽橋は、そんなことを教えてくれた存在です。
これから地方で暮らすこと、家を持つこと、地域と関わること。
完璧な答えはありませんが、
少し立ち止まって考えてみるきっかけとして、
この橋のことを心に留めておきたいと思います。
◻︎◻︎出典:Merkmal 名前は「極楽」でも実態は“廃墟級” 香川県の老朽インフラ、90年以上の歳月で「鉄筋むき出し」――地方が直面する辛らつ現実を考える
https://merkmal-biz.jp/post/108410
【本日の一曲】
Blood Orange – Vivid Light
◻︎◻︎せとうち不動産 https://setouchi-fudosan.com/◻︎◻︎