2026 01 29

声なき声を社会につなぐ

― 障害者アクセシビリティと、暮らしの現場からできること ―

「アクセシビリティ」という言葉を、最近よく耳にするようになりました。
けれど、その意味を正確に説明できる人は、まだ多くないかもしれません。

アクセシビリティとは、「近づきやすさ」「使いやすさ」。
障害のある人だけのための特別な配慮ではなく、誰にとっても“使いやすい状態”をつくることを指します。

文字を大きくする、音声で読み上げる、操作をシンプルにする。
それらは一見すると小さな工夫ですが、ある人にとっては「世界とつながるための唯一の手段」になることもあります。

今回は、RiHacQで紹介されていた東京慈恵会医科大学の障害者アクセシビリティへの取り組みをきっかけに、
「声なき声を社会につなぐ」というテーマについて考えてみたいと思います。


■ せとうち不動産と、住環境へのもう一つの視点

せとうち不動産は、その名の通り不動産に関するコンサルティングをおこなっている会社です。
土地や建物の売買・賃貸、相続・空き家相談、リフォーム・リノベーション、不動産の有効利用など
不動産に関する様々なことが業務内容ですが、
その時にとても大切にしているのが「住環境」という視点です。

私は福祉住環境コーディネーターの資格を持ち、
高齢者の方、障害のある方、そのご家族など、
さまざまな事情を抱えた方が「どうすれば無理なく暮らせるか」を一緒に考える仕事もしています。

手すりの設置、段差の解消、動線の見直し。
一つひとつは小さな工事でも、暮らしの安心感は大きく変わります。

そんな立場だからこそ、今回の動画はとても考えさせられる内容でした。


■ ギラン・バレー症候群という現実

動画の中心となっていたのは、ギラン・バレー症候群を発症した医師の方の体験です。

ある朝、突然左足が動かなくなり、ベッドから倒れた。
その後、急激に症状が進行し、意識はあるのに体が動かない状態に。
呼吸も自力ではできなくなり、集中治療室での治療が続きました。

そして目を覚ました時、
「目しか動かない。声も出ない。体も動かない」
けれど、頭ははっきりしている。

何が一番つらかったかと問われて、彼はこう答えています。

「何も伝わらないことです」

痛みがあっても言えない。
見えにくくても伝えられない。
理解しているのに、「分かっていない人」だと思われてしまう。

これは決して特殊な話ではありません。


■ 周囲の“善意”が、届かないこともある

医療者や周囲の人は、もちろん善意で接しています。
「視線入力ならできるかもしれない」
「この機器を使えば伝えられるかもしれない」

けれど、その善意が、必ずしも本人に届くとは限りません。

たとえば、彼は普段メガネをかけていました。
しかし入院中、そのメガネが手元になかった。

視線入力の画面が見えない。
でも「メガネがない」と伝える手段がない。

結果として、「理解していない」「使えない」と判断されてしまう。

「見えないことすら、伝えられない」

この言葉は、アクセシビリティの本質を突いているように感じました。


■ アクセシビリティは“特別な人”のためだけではない

アクセシビリティというと、「障害者向けの特別なもの」というイメージが先行しがちです。

ですが実際には、

  • 高齢になって文字が小さく見えにくくなった
  • 手が震えて細かい操作が難しい
  • 一時的なケガで思うように動けない

こうした状況は、誰にでも起こり得ます。

スマートフォンの文字拡大、音声読み上げ、操作補助。
これらは障害のある人だけでなく、私たち全員のための機能です。


■ Apple製品が示している可能性

動画の中でも印象的だったのが、
iPhone、iPad、MacBookに標準搭載されているアクセシビリティ機能です。

視線入力、音声操作、スイッチコントロール。
特別な機器を買わなくても、設定を変えるだけで使える。

これは本当にすごいことだと思います。

逆に言えば、
医療や福祉の分野には、まだまだ眠っている可能性がある
ということの裏返しでもあります。

技術はすでにある。
足りないのは、「知ること」と「つなぐこと」。


■ アクセシビリティは「心を止めない」ためのもの

動画の中で紹介されていた言葉があります。

「医療は命を止めないためのもの。
アクセシビリティは心を止めないためのもの。」

とても印象的なフレーズでした。

体が動かなくても、声が出なくても、
人は考え、感じ、つながりたいと思っています。

それを支えるのがアクセシビリティです。


■ 暮らしの現場からできること

せとうち不動産では、

  • 手すりの設置
  • 段差解消
  • 補助金を活用したバリアフリーリフォーム

などのお手伝いもしています。

「まだそこまで困っていないから」
「大げさかなと思って」

そう感じる方も多いですが、
暮らしの工夫は、早いほど負担が少なくて済みます。

そして何より、
「声に出しにくい困りごと」を、気軽に相談できる存在でありたいと思っています。


■ 最後に

アクセシビリティは、遠い世界の話ではありません。
今日、元気な私たちも、明日どうなるかは分かりません。

だからこそ、
誰かの“声なき声”に気づける社会でありたい。

住まいという身近な場所から、
少しずつでも、やさしい社会につながるお手伝いができればと思っています。

住まいのこと、リフォームのこと、
「こんなこと相談していいのかな?」という内容でも構いません。

どうぞお気軽に、せとうち不動産までお声がけください。

◻︎◻︎出典:東京慈恵会医科大学 アクセシビリティサポートセンター
     https://think-accessibility.com/

     アクセシビリティ機能ガイド
     https://asc-jikei.jp/news/guidebook1/

     アクセシビリティショールーム
     https://boreca.jp/accessibility/

【本日の一曲】
Tata Vega – You’ll Never Rock Alone

◻︎◻︎せとうち不動産 https://setouchi-fudosan.com/◻︎◻︎