2026年4月、マンション管理ルールが大きく変わる
― 資産価値を守るために知っておきたいポイント ―
香川県全体で見ると、戸建てが主流とはいえ、マンションは一定の需要があり、住まいや資産として重要な位置を占めています。
そんなマンションを取り巻く「管理ルール」が、2026年4月に大きく変わる予定です。これは単なる制度変更ではなく、将来的にそのマンションの資産価値を守れるかどうかを左右するほどの重要な改正といわれています。
今回は、この制度改正の背景と主なポイントを分かりやすく解説していきます。
なぜ今、管理ルールの見直しが必要なのか
近年、多くのマンションで問題になっているのが「所在不明の区分所有者」です。
例えば次のようなケースです。
・投資目的で購入され、オーナーは遠方や海外に在住
・賃借人は住んでいるが、オーナーと連絡がつかない
・長期間空室で管理組合も所在が分からない
こうした状況が続くと、管理上のトラブルが起こります。
実際にあった事例では、上階で水漏れが発生し、下の部屋に被害が出たにもかかわらず、上階のオーナーと連絡がつかず、対応できないというケースがありました。鍵を勝手に開けることもできず、被害者はただ待つしかない状況になってしまったのです。
また、修繕積立金を長期間滞納している部屋があり、督促状を送っても宛先不明で戻ってくるというケースも珍しくありません。こうした滞納が積み重なり、数百万円単位の未収金となるマンションも実際に存在します。
これまでの法律では、こうした「連絡がつかない所有者」への対応は非常に手間とコストがかかり、管理組合が動きたくても動けない状況が続いていました。今回の改正は、まさにこの問題に対して国が本格的にメスを入れた形といえます。
大きな変更点①
所在不明者を決議の母数から除外できる
今回の改正で最も大きなポイントの一つが、総会決議のルールの見直しです。
従来の区分所有法では、重要な決議を行う際には「区分所有者全体の4分の3以上の賛成」が必要でした。
例えば100戸のマンションで考えてみましょう。
・30戸の所有者が無関心
・総会にも出席せず、委任状も出さない
この場合、重要な規約変更には75戸の賛成が必要です。しかし、そもそも30戸が参加していないため、残りの70戸全員が賛成しても決議は成立しません。
つまり、きちんと参加している人たちだけでは、何も決められないという状態が起こっていたのです。
2026年4月以降の新ルールでは、一定の手続きを経て「所在不明」と確認された所有者を、決議の母数から除外できるようになります。
先ほどの例でいえば、
・20戸が所在不明と認定
・残り80戸を母数として計算
となり、60戸の賛成で決議が成立することになります。
これにより、きちんとマンション運営に関わっている所有者たちで、現実的な意思決定ができるようになります。
ただし、裏を返せば「無関心で総会に参加しない所有者」の意思が反映されないまま重要な決定が進む可能性もあるということです。
これからは
「誰かがやってくれるだろう」
という姿勢ではなく、所有者一人ひとりが管理に関心を持つことが求められる時代になります。
大きな変更点②
国内管理人制度の強化
もう一つの大きな改正が、海外オーナーなどに対する「国内管理人制度」の強化です。
近年、都市部のマンションでは、海外在住のオーナーが増えています。その中には、部屋を無断で民泊として貸し出し、騒音トラブルなどを引き起こしているケースも報告されています。
しかし、
・オーナーは海外在住
・国内に連絡先や代理人がいない
という状況では、管理組合が注意や是正を求めても、根本的な解決ができません。
今回の改正では、海外在住の区分所有者に対して、
・国内の連絡先の届け出義務の明確化
・対応がなければ裁判所を通じて管理人を選任
といった措置が取りやすくなります。
つまり、「海外にいるから対応できない」という状況を、管理組合の判断で是正できる仕組みが整っていくのです。
標準管理規約の見直し
時代に合わせたアップデート
今回の制度改正に合わせて、国が示す「標準管理規約」も見直しが進められています。
主なポイントは次の通りです。
・役員や専門委員の本人確認の強化
大規模修繕工事では多額の費用が動きます。そのため、管理組合に入り込んだ関係者が、特定の業者に工事を発注させ、キックバックを受け取るといった不正事例も報告されています。
こうした問題を防ぐため、役員や重要関係者の本人確認がより厳格になる方向です。
・喫煙ルールの明確化
これまでもベランダ喫煙によるトラブルは多くありましたが、占有部分での行為という理由で対応が難しいケースもありました。
今後は、他の居住者に迷惑をかける喫煙について、管理組合が明確な根拠をもって制限できる方向で整備が進められています。
建て替えは簡単には進まない現実
今回の改正で「決議が通りやすくなる=建て替えが進む」と期待する声もあります。しかし、現場感覚としては、マンションの建て替えは依然として非常に難しい問題です。
理由は主に二つあります。
① 容積率など土地条件の問題
建て替え後に戸数を増やせない場合、事業として成立しにくくなります。
② 所有者の資金負担
建て替えには多額の自己負担が発生するケースが多く、全員の合意を得るのは容易ではありません。
現在の建築費高騰の状況を考えると、現実的に建て替えが可能なマンションは、ほんの一部に限られています。
これからのマンション管理の考え方
では、今回の改正に意味はないのかというと、決してそうではありません。
むしろ逆で、
「建て替えが難しい時代だからこそ、今ある建物をいかに長く使うか」
という視点が重要になってきます。
これまでは、
・大規模修繕をしたい
・でも決議が通らない
・所在不明者がいて話が進まない
というマンションが数多くありました。
今回の改正により、きちんと管理に関わる所有者の意思で修繕を進められる環境が整えば、建物の寿命を延ばし、資産価値を維持しやすくなります。
建て替えという「夢」を追うだけでなく、
・適切なタイミングでの大規模修繕
・管理体制の見直し
・積立金の適正化
といった現実的な対策を積み重ねることが、これからのマンション管理の正解といえるでしょう。
まとめ
2026年4月の制度改正は、
・所在不明者を決議の母数から除外できる
・国内管理人制度の強化
・標準管理規約の見直し
など、マンション管理の実務に直結する大きな変更です。
これからは、所有者一人ひとりが管理に関心を持ち、総会に参加し、意思表示をすることがより重要になります。
マンションの価値は「立地」や「築年数」だけで決まるものではありません。
管理の質こそが、将来の資産価値を左右する時代になってきています。
具体的な対応や方針はマンションごとに異なりますので、気になる方は管理組合や専門家に一度相談してみることをおすすめします。
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