令和の「家なき子」時代と、これからの住まい方
― 都市の0LDKと、地方での賢い住まい選び ―
ここ数年、住宅価格の上昇は誰もが体感するレベルに達しています。
新築マンションはもちろん、中古住宅も値上がりし、気が付けば賃貸家賃も急上昇。特に東京23区では、「普通に住める家」が急速に減りつつあると言われています。
かつては「頑張れば買える」「探せば借りられる」という感覚があった住宅事情も、いまや大きく変わりました。
まさに令和の「家なき子」時代の到来ともいえる状況です。
東京で進む“狭小化”という現実
住宅価格が上がると、まず起こるのは「面積の縮小」です。
予算は変わらないのに価格だけが上がるため、買える広さがどんどん小さくなっていきます。
実際、東京で取引される中古マンションの主流面積は、2020年頃には60㎡前後でしたが、数年で55㎡を切る水準へ。
たった5年で、浴室とトイレを合わせた程度の面積が消えた計算になります。
つまり、価格は上がり、広さは減る。
それでも「都心に住みたい」「通勤時間を短くしたい」というニーズはなくならないため、住まいの考え方そのものが変化し始めています。
新しい間取りの考え方「0LDK」とは
そんな中で登場したのが「0LDK」という考え方です。
これは文字通り、独立した居室を設けず、LDKだけで構成された住まいのこと。
寝室もリビングもワークスペースも、すべて一つの空間の中にまとめてしまう発想です。
従来の1LDKやワンルームと違うのは、「仕切りをなくして、空間を広く感じさせる」点にあります。
狭い面積でも、
- 大きな窓から光が入り
- 家具でゆるやかにゾーニングし
- 開放感のある空間をつくる
という設計により、「実際の広さ以上に広く感じる」住まいを実現します。
これは、住宅価格が上がり続ける都市部だからこそ生まれた、新しい知恵ともいえるでしょう。
0LDKのメリット
① 開放感のある空間になる
壁や建具が少ないため、光や風が空間全体に行き渡ります。
同じ床面積でも、仕切りの多い間取りより広く感じられます。
② 間取りの自由度が高い
家具の配置次第で、
- 寝室スペース
- ワークスペース
- 趣味の空間
などを自由に作れます。
ライフスタイルの変化にも対応しやすい間取りです。
③ コストを抑えやすい
建具や間仕切りが少ない分、建築費やリノベーション費用を抑えやすくなります。
0LDKの注意点
もちろん、メリットばかりではありません。
プライバシーの確保が難しい
家族で住む場合は、生活リズムの違いによるストレスが生じることもあります。
音やにおいが広がりやすい
仕切りが少ないため、生活音や料理のにおいが空間全体に広がります。
空調効率に注意が必要
広い一体空間は、冷暖房の効き方にムラが出ることがあります。
このように、0LDKは「住まい方の工夫」が前提となる間取りといえます。
都心に住むもう一つの選択肢「こちくら郊外」
住宅費を抑えるもう一つの方法が、「立地を見直すこと」です。
2026年の住宅トレンドワードの一つが「こちくら郊外」。
これは「心地よく暮らせる郊外」を意味する言葉です。
単に遠い場所に住むのではなく、
- 始発駅に近い
- 座って通勤できる
- 自然環境が良い
- 商業施設がほどよくある
といった条件を満たす郊外を選ぶ考え方です。
最近では、鉄道各社が有料座席サービスを拡充し、
「遠いけれど楽に通勤できる」環境が整ってきました。
通勤時間を「座って仕事や読書ができる時間」と捉えれば、
郊外の住まいも十分に現実的な選択肢になります。
都市とは逆の現象が起きる地方の住宅事情
一方で、地方ではまったく逆の現象が起きています。
都市部では住宅が不足し価格が高騰していますが、
地方では古い住宅が余っているケースが多く見られます。
特に人口減少が進む地域では、
- 相続された空き家
- 使われなくなった実家
- 管理されていない古家付き土地
などが市場に出てくることが増えています。
その結果、
- 都市では買えない価格の住宅が
- 地方では手の届く金額で手に入る
という、極端な価格差が生まれています。
地方での「賢い住まい方」という選択
もし、働き方やライフスタイルに柔軟性があるなら、
地方での住まい選びは非常に合理的な選択になります。
例えば、
- 古家付き土地を安く購入
- 必要な部分だけリフォーム
- 平屋や0LDK的な間取りに改修
といった方法で、都市部では考えられないコストで住まいを手に入れることも可能です。
住宅にかかる費用が下がれば、
- 趣味や旅行にお金を使える
- 子育てに余裕が生まれる
- 老後資金を確保できる
など、人生全体の選択肢が広がります。
「どこに住むか」より「どう住むか」の時代へ
かつては、
- 都心に住むのが理想
- 広い家を持つのが成功
という価値観が一般的でした。
しかし、住宅価格の高騰によって、
その前提自体が大きく変わり始めています。
これからの時代は、
- 都市なら「0LDK」という発想
- 郊外なら「こちくら郊外」
- 地方なら「古家再生」
というように、
自分に合った住まい方を選ぶ時代になっていくでしょう。
まとめ:住めない時代に「賢く住む」
東京で「普通に住める家」が減りつつある今、
住まいの選択肢はむしろ広がっています。
- 面積を減らして0LDKで暮らす
- 始発駅の郊外で座って通勤する
- 地方で安価な住宅を再生する
どれも「正解」です。
大切なのは、
「どこに住むか」ではなく、
「どう住むか」を主体的に選ぶことです。
住宅価格が上がり続ける時代だからこそ、
固定観念にとらわれず、柔軟な発想で住まいを選ぶ。
それが、令和の「家なき子」時代を
たくましく生き抜くための、賢い住まい方なのかもしれません。
◻︎◻︎出典:LIFULL HOME’S 『LIFULL HOME’S 2026年トレンド発表会』を開催
https://lifull.com/news/45746/
【本日の一曲】
ハク。 – ふわ輪
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