2026 06 23

ジャックとジルの話から学ぶ「早く始めること」の優位性

新NISAがスタートして以降、「複利効果」という言葉を耳にする機会が増えました。

「複利は人類最大の発明」
「投資は早く始めた人が有利」

そんな話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

その説明としてよく使われるのが「ジャックとジルの話」です。

今回はこの有名な話を通じて、なぜ投資では“早く始めること”が大切なのか、そして投資信託における本当の複利効果とは何なのかを分かりやすく解説していきます。


ジャックとジルの話

ジャックさん

25歳から投資を開始。

毎月3万円を10年間積み立てます。

35歳以降は追加投資をせず、そのまま65歳まで保有します。

積立総額は、

3万円 × 12ヶ月 × 10年

=360万円

です。

ジルさん

35歳から投資を開始。

毎月3万円を30年間積み立てます。

65歳まで継続するため、

3万円 × 12ヶ月 × 30年

=1080万円

を投資することになります。

投資額だけを見ると、ジルさんはジャックさんの3倍のお金を投資しています。

普通に考えればジルさんの方が有利に思えますよね。

しかし、年率7%で運用できたと仮定すると65歳時点では次のようになります。

  • ジャックさん:約4,215万円
  • ジルさん:約3,660万円

なんと、元本がわずか360万円だったジャックさんの方が、元本1,080万円のジルさんを上回る結果になるのです。

この話を聞くと、

「やっぱり複利ってすごい!」

と思います。

実際、その通りです。

ただし、この話には少し補足が必要です。


投資信託は本当に複利で増えているのか?

銀行預金の場合、複利とは利息が元本に組み込まれ、その増えた元本にさらに利息が付く仕組みです。

例えば100万円を年5%で運用すると、

1年後:105万円

2年後:110万2500円

3年後:115万7625円

というように増えていきます。

これが本来の複利です。

しかし投資信託は少し違います。

投資信託には毎年決まった利息が付くわけではありません。

口数が自動的に増えるわけでもありません。

ではなぜ資産が増えるのでしょうか。

その理由は、

  • 企業の利益成長
  • 株価上昇
  • 配当金
  • 配当の再投資

にあります。

投資信託の中に組み込まれている企業が成長し、その成果が株価や配当として反映されることで基準価額が上昇していくのです。

つまり投資信託で言われる「複利効果」とは、厳密には預金の複利とは少し異なります。


本当の複利効果は「市場にいる時間」

ジャックとジルの話の本質は、

「市場に長くいること」

です。

早く始める人は、

  • 企業成長
  • 株価上昇
  • 配当再投資

の恩恵を受ける期間が長くなります。

つまり投資信託版の複利とは、

「利益が利益を生む」

というより、

「企業成長を長期間取り込める」

ことにあります。

だからこそ投資の世界では、

Time in the Market(市場にいる時間)

が重要だと言われるのです。


新NISAは複利の邪魔をしにくい制度

新NISAの大きな特徴は、運用益が非課税になることです。

通常の特定口座では、利益に対して約20%の税金がかかります。

例えば100万円の利益が出た場合、

約20万円が税金として差し引かれます。

しかし新NISAならこの税金がかかりません。

つまり資産形成の途中で雪だるまを削られにくいのです。

新NISAそのものが資産を増やしてくれるわけではありません。

しかし、

  • 税金
  • 売買コスト

などの障害を減らしてくれるため、長期投資との相性が非常に良い制度と言えます。


配当再投資の力

長期投資で見落とされがちなのが配当の存在です。

S&P500の長期リターンを分析すると、過去のリターンの約3割は配当の再投資によって生まれたとされています。

つまり株価上昇だけでなく、

「受け取った配当を再投資すること」

が資産形成の大きな原動力になっているのです。

そのため資産形成期には、分配金を頻繁に受け取る商品よりも、ファンド内部で自動的に再投資してくれる投資信託の方が効率的な場合が多くあります。


新NISAで複利を味方につける5つの方法

最後に、新NISAを活用するうえで意識したいポイントをまとめます。

① できるだけ早く始める

完璧なタイミングを待つより、まず始めることが重要です。

② 低コスト商品を選ぶ

信託報酬の差は30年後に大きな差になります。

③ 分散投資をする

米国株でも全世界株でも構いません。

大切なのは長く持ち続けられることです。

④ 分配金を頻繁に出さない商品を選ぶ

資産形成期は内部再投資型が効率的です。

⑤ 売買を繰り返さない

投資成果の多くは「市場に居続けること」から生まれます。


まとめ

ジャックとジルの話が教えてくれるのは、「早く始めた人が必ず勝つ」ということではありません。

本当に大切なのは、

  • 早く始める
  • 長く続ける
  • 低コストで運用する
  • 分散する
  • むやみに売買しない

というシンプルな行動です。

投資に魔法はありません。

しかし時間は誰にでも平等に与えられています。

今日の小さな積立は、10年後、20年後、30年後の自分を支える大きな土台になります。

複利は急ぐ人には冷たいですが、続ける人にはとても優しい仕組みです。

だからこそ新NISAという制度を活用しながら、焦らず、着実に、長期投資を続けていきたいものですね。


【本日の一曲】
Joy Orbison – flight fm

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