2026 08 10

【夏休み特集⑤】大航海時代を救った科学!経度と緯度を発見した人類の歴史

なぜ「経度」を決めるのは、これほど難しかったのか?

地図を開けば、当たり前のように書かれている「緯度」と「経度」。

日本はおおよそ北緯35度、東経135度。
私たちはスマートフォンのGPSを使えば、今いる場所をほぼ一瞬で知ることができます。

しかし、実はこの「緯度と経度を正確に知る」ということは、昔の人類にとって、とてつもなく難しい問題でした。

特に難しかったのが「経度」です。


緯度は、意外と早く分かっていた

まず「緯度」。

緯度とは、赤道から北または南へどれくらい離れているかを示す数字です。

実は緯度を測る方法は、かなり昔から知られていました。

その秘密は「星」です。

北半球では、地球の自転軸の延長線上にある北極星を見ることができます。北極星の地平線からの高さ(高度)は、その場所の緯度とほぼ一致します。

例えば、北極星が地平線から35度の高さに見えれば、そこはおおよそ北緯35度。

つまり、夜空を観測することで、自分が地球上のどのくらい北にいるのかを知ることができたのです。

古代ギリシャの時代には、太陽や星の位置を利用して緯度を測定する考え方がすでに存在していました。その後、アストロラーベなどの観測器具も航海に利用されるようになります。

ところが、ここで大きな問題が残ります。

「東西の位置は、どうやって測るの?」

これが「経度」の問題でした。


なぜ経度は難しかったのか?

経度とは、基準となる経線から東西にどれくらい離れているかを示すものです。

現在はイギリス・グリニッジを通る経線を「経度0度」としています。

しかし、昔の船乗りにとって、海の上で「自分は東西のどこにいるのか」を知ることは非常に困難でした。

緯度なら、星を観測すれば分かります。

ところが経度を知るためには、「正確な時間」が必要だったのです。

地球は24時間で360度回転しています。

つまり、

360度 ÷ 24時間 = 15度

地球は1時間で15度回転することになります。

例えば、出発地点の時計が正確に「12時」を示しているとき、船が遠くへ移動して現地の太陽が真南に来る「正午」を迎えたとします。

そのとき船の時計が「午後3時」なら、3時間の差があります。

15度 × 3時間 = 45度。

つまり、出発地点から東西に45度離れていることが分かるわけです。

ところが、大航海時代の船には、この「正確な時計」がありませんでした。

船は激しく揺れます。

気温も変化します。

長期間の航海では、時計は少しずつ狂っていきます。

数分、数時間のズレが積み重なれば、船がいる場所を大きく間違えてしまいます。

その結果、経度が分からないことによる遭難や難破も少なくありませんでした。


国家を動かした「経度問題」

この問題を解決するため、イギリス政府は1714年、「経度法」を制定します。

正確な経度を測定する方法を発見した者に、最大2万ポンドという巨額の賞金を与えるというものでした。

現在の価値に単純換算することはできませんが、国家が巨額の賞金を用意するほど、経度問題は深刻だったのです。

そこで活躍したのが、意外にも天文学者ではなく、一人の時計職人でした。


時計職人ジョン・ハリソンの挑戦

時計職人ジョン・ハリソンは、船の上でも正確に時を刻む時計の開発に挑みました。

海上では船が揺れます。

温度も変化します。

それでも狂わない時計を作らなければなりません。

そして長年の研究の末に完成したのが、H4と呼ばれる高精度の航海時計、いわゆるマリンクロノメーターです。

これによって、

「出発地点の正確な時間を船に持っていく」

という方法が現実のものになりました。

出発地点がグリニッジなら、グリニッジの時刻を正確に刻む時計を船に積んでいく。

そして現地の太陽が正午になった瞬間の時刻と比較する。

その時間差から、自分がどれだけ東西に移動したのかを計算する。

これが経度を測定する基本的な考え方です。


自宅でもできる「経度」の実験

この仕組みは、簡単な計算で体験できます。

例えば、グリニッジ(経度0度)が昼の12時だったとします。

日本はグリニッジ標準時より9時間進んでいます。

地球は1時間に15度回転するので、

15度 × 9時間 = 135度

となります。

つまり、日本の標準時の基準となる明石市付近は、およそ東経135度。

「時間の差」から「東西の位置」が分かることを、実際に数字で確認できます。


そして現在のGPSへ

こうして考えてみると、スマートフォンで現在地が分かることも、少し違って見えてきます。

現在のGPSは、人工衛星から送られてくる非常に正確な時刻情報などを利用して位置を計算しています。その背景には、原子時計をはじめとする極めて精密な「時間を測る技術」があります。

もちろん、GPSの仕組みはハリソンの航海時計とはまったく同じではありません。

それでも、

「正確な時間を利用して、自分の位置を知る」

という発想には、どこか共通するものがあります。

今ではスマートフォンを取り出せば、自分が地球上のどこにいるのかがすぐに分かります。

しかし、その便利さの裏側には、星を観測し、海で迷い、時計を作り、何度も失敗しながら「自分の位置を知る方法」を追い求めてきた人類の長い歴史があります。

地図に何気なく書かれている「北緯35度」「東経135度」。

その数字一つにも、実は大航海時代の船乗りたちと科学者、そして時計職人たちの壮大な挑戦が詰まっているのです。

そして何より面白いのは、**「時間が分かれば、場所が分かる」**という発想。

普段はまったく意識しない「時間」と「位置」の関係を知ると、いつも使っているスマートフォンのGPSさえ、少し不思議で面白い技術に見えてきます。


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  https://asait.world.coocan.jp/kuiper_belt/navigation/longitude.htm


【本日の一曲】
WONK – savior

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