2026 08 15

「我が家で、長く、自分らしく」を支える。福祉住環境コーディネーターと中古住宅

「できるだけ長く、住み慣れた家で暮らしたい」

年齢を重ねたり、病気やケガなどによって身体の状態が変化したりすると、これまで何気なく暮らしていた自宅が、少しずつ「暮らしにくい場所」になることがあります。

玄関の段差、廊下の幅、急な階段、浴室やトイレの使いにくさなど、若い頃には気にならなかったことが、大きな負担になることもあります。

そこで重要になるのが、住宅だけを見るのではなく、「そこに住む人の身体や将来の暮らしまで考えて住環境を整える」という視点です。

私自身、せとうち不動産を運営する中で、この考え方はこれからの中古住宅やリフォームにおいて、ますます重要になると感じています。


福祉住環境コーディネーターとは?

「福祉住環境コーディネーター」は、福祉・建築・医療などの知識を横断的に学び、高齢者や障害のある方が安全・安心に暮らせる住環境を考えるための資格です。

単純に「手すりを付ければいい」「段差をなくせばいい」という話ではありません。

現在の身体状況だけではなく、将来的にどのような生活になる可能性があるのか。

車いすを使うようになった場合、どこにスペースが必要なのか。

トイレや浴室で介助が必要になった場合、どのような間取りが使いやすいのか。

そうしたことまで考えながら、住宅改修を検討していきます。

私自身も福祉住環境コーディネーター2級を取得しています。

資格取得のために学んだ知識は、現在の仕事でも非常に役立っています。


中古住宅との相性が非常に良い理由

特に相性が良いと感じるのが「中古住宅」です。

新築住宅であれば、最初から将来の生活を想定して間取りや設備を計画できます。

一方、中古住宅にはすでに完成した間取りがあります。

玄関に段差があったり、廊下が狭かったり、浴室やトイレが使いにくかったり、階段が急だったり。

こうした「既存住宅ならではの制約」の中で、住む人に合わせてどう改善していくのかを考える必要があります。

だからこそ、建物を見るだけではなく、「人」と「住まい」を一緒に考える知識が重要になります。

また、中古住宅は新築より購入費用を抑えられるケースもあります。

その分の予算をリフォームに回し、断熱性能を高めたり、水回りを更新したり、バリアフリー化したりする。

「古い家だから仕方ない」のではなく、既存住宅を上手に活用して、今の暮らしに合わせて再生するという考え方です。


「今」だけではなく「数年後」を考える

福祉住環境を考えるうえで、私が特に重要だと思うのが「先回り」です。

例えば、現在は杖を使っている方がいたとします。

今だけを考えれば、手すりを1本設置するだけで十分かもしれません。

しかし、将来的に車いすを利用する可能性があるのであれば、廊下の幅やドアの位置、トイレの広さなども考えておく必要があります。

後から大掛かりな工事をするよりも、リフォームの段階で将来を見据えて補強やスペースを確保しておくことで、選択肢が広がります。

「今使える家」ではなく、『これからも使い続けられる家』を考える。

これは中古住宅のリフォームにおいて、とても大切な視点だと思います。


実際に車いす利用者のスロープ工事も

せとうち不動産でも、現在、車いすを利用される方のためのスロープ工事について打ち合わせを進めています。

工事は今秋を予定しています。

単純に「スロープを作ればいい」というわけではありません。

勾配や動線、周辺の状況などを確認しながら、実際に利用する方にとって安全で使いやすいものにする必要があります。

こうした相談に対して、福祉住環境コーディネーターとして学んだ知識を活かせることは、不動産と建築の両方に関わる仕事をしている私にとって、大きな意味があります。


住宅を「資産」だけで考えない

日本では、これからも高齢化が進み、空き家や中古住宅といった既存住宅ストックをどう活用していくかが重要になっていきます。

そのとき、住宅を単なる「古い建物」「売るための不動産」として見るのではなく、**「誰が、どのように暮らすのか」**という視点を持つことが大切ではないでしょうか。

少しの段差を解消する。

手すりを設置する。

トイレを使いやすくする。

車いすが通れる動線を確保する。

断熱性能を高める。

こうした改修によって、今まで「住みにくい」と思われていた中古住宅が、誰かにとって長く暮らせる住まいになる可能性があります。

「我が家で、長く、自分らしく暮らす」。

そのために必要なのは、単に新しい設備を入れることだけではありません。

住む人の身体、生活、そして将来まで考えて住宅を提案すること。

福祉住環境コーディネーターの資格を取得して改めて感じるのは、住宅の仕事とは、建物を扱う仕事であると同時に、そこに住む人の人生に寄り添う仕事でもあるということです。

せとうち不動産では、不動産の売買だけでなく、リフォームや建築、住環境についても、実際に暮らす方の目線を大切にしながらご相談をお受けしています。

中古住宅を「古いから」と諦めるのではなく、「これからどんな暮らしをしたいのか」から住まいを考える。

そんな選択肢も、これからの住宅選びには必要なのではないでしょうか。


◻︎◻︎福祉住環境コーディネーター検定試験
  https://kentei.tokyo-cci.or.jp/fukushi/

  


【本日の一曲】
Ariel Pink – Baby

◻︎◻︎せとうち不動産 https://setouchi-fudosan.com/◻︎◻︎