2026 10 24

「タダで土地がもらえるのに?」相続放棄という選択肢 不動産を引き継ぐ前に考えておきたいこと

先日ご相談いただいていた相続(になった時)のお話。

いろいろと調査・検討した結果、今回は「相続放棄」の方向で話がまとまりました。

「えっ、相続放棄? 不動産がもらえるのに?」

そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。

でも、実は不動産の相続は、単純に「財産が増える」という話ばかりではないんです。

今回は、そんな相続と不動産について、少しお話ししてみたいと思います。


相続の話は、以前より身近になってきた?

最近、相続について、ご家庭の中でも以前よりオープンに話をされるようになってきた気がします。

先日も、お父様が施設に入られることをきっかけに、不動産を中心とした資産についてご相談をいただきました。

せとうち不動産では、不動産売買や賃貸の仲介だけでなく、不動産コンサルティングの知識・資格を生かし、資産全体を見ながら、今後どのように考えていくかというご相談もお受けしています。

今回のケースは、現金や有価証券などはそれほど多くない一方で、不動産をかなりの数お持ちでした。

一見すると、土地や建物がたくさんあるのだから、ありがたいお話に見えるかもしれません。

ところが、詳しく調べてみると、そう簡単ではありませんでした。


不動産は、持っているだけで負担になることも

今回の不動産には、未登記の建物や、かなり古い抵当権が残っている土地などが複数ありました。

こうした問題を整理するには、昔の登記や戸籍などを調べ、関係する人を一人ずつ確認していく必要があります。

時間をかければ整理できる可能性はありますが、相続関係者が多くなれば、その分、調査や手続きに費用もかかります。

さらに、苦労して相続したとしても、その後の利用方法が問題です。

自分で住む予定もない。売却できる見込みも低い。貸すことも難しい。

それでも、所有している限り、固定資産税がかかったり、土地の草刈りや建物の管理が必要になったりします。

つまり、財産を受け取ることが、必ずしも得になるとは限らないのです。

もちろん、不動産には将来価値が上がる可能性もありますし、活用方法が見つかることもあります。

だからこそ、物件ごとの状況を確認し、将来の負担も含めて考えることが大切です。


国に引き取ってもらう方法もあるけれど……

相続した土地を手放す方法として、「相続土地国庫帰属制度」があります。

一定の要件を満たせば、相続などで取得した土地を国に引き渡せる制度です。

ただし、どんな土地でも引き取ってもらえるわけではありません。建物がある土地や、管理・処分に一定の支障がある土地などは、要件により対象外となる場合があります。また、審査手数料や負担金も必要です。

今回のケースでは、この制度を利用することも難しい状況でした。

そこで、ご家族と一緒に検討した結果、まだ相続が発生していない段階ではありますが、将来の相続放棄を視野に入れて準備を進める方向となりました。

「タダで土地や建物が手に入るのに、もったいない!」

都会にお住まいの方などからすると、驚かれる判断かもしれません。

しかし、利用する予定のない不動産を引き継ぎ、税金や管理の負担を抱え続けるのであれば、そもそも引き継がないという考え方もあるのです。


相続放棄には「3か月」という期限がある

ここで、ぜひ知っておいていただきたいことがあります。

相続放棄は、原則として、自分のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所で手続きをする必要があります。

この期間は「熟慮期間」と呼ばれ、相続するかどうかを判断するための期間です。事情によっては家庭裁判所に期間の伸長を申し立てられる場合もあります。

葬儀や各種手続きなどで慌ただしく過ごしていると、3か月はあっという間です。

相続が始まってから初めて不動産の内容を調べるのでは、判断する時間が足りなくなることもあります。

また、注意したいのが、相続財産の扱いです。

故人の預貯金を動かしたり、相続財産にあたる価値のあるものを処分したりすると、状況によっては「単純承認」とみなされ、相続放棄が認められなくなる可能性があります。


登記を調べて初めて分かることも

ご家族から話を聞いているだけでは、実際の所有者や権利関係までは分からないことがあります。

登記簿を取得してみたら、すでに亡くなった方の名義のままだったり、古い抵当権が残っていたり……。

今回のように、調べてみて初めて分かることも少なくありません。

だからこそ、相続が発生する前から、所有している不動産の所在地や名義、権利関係、管理状況などを確認しておくことには大きな意味があります。

相続は、財産を受け取ることだけが正解ではありません。

残すもの、活用するもの、手放すもの。そして、場合によっては引き継がないという選択肢も含めて、ご家族に合った方法を考えておくことが大切です。

せとうち不動産では、不動産の調査や活用方法の検討など、相続に関するご相談もお受けしています。

「うちの土地や建物、この先どうしたらいいんだろう?」

そんな疑問がありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

相続が始まってから慌てないためにも、まずは今ある不動産を知ることから始めてみませんか? 🏡


◻︎◻︎裁判所 相続の放棄の申述
  https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_13/index.html

  法務省 相続土地国庫帰属制度について
  https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00454.html


【本日の一曲】
Charlie Haden – Echi

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