はじめての「相続」と「家族信託」

〜不動産を守る・つなぐために知っておきたいこと〜
「相続」と聞くと、まだ自分には関係ないと思われる方も多いかもしれません。
しかし、相続はすべての人に関係する問題であり、特に不動産をお持ちの方にとっては、早めの備えが大切になります。
相続とは、亡くなった人の財産を、配偶者や子どもなどの法定相続人が引き継ぐことです。
ところが実際には、「誰がどの財産を引き継ぐか」「不動産を売るのか?共有するのか?」など、さまざまな問題が絡み合い、トラブルになるケースも少なくありません。
そこで、近年注目されているのが「家族信託」という仕組みです。
家族信託とは、自分の財産の管理や運用を、信頼できる家族などに託し、指定した目的のために使ってもらう制度です。
たとえば、高齢の親が「自分が元気なうちに、この不動産は長男に管理してもらい、万一のときは次男に引き継いでほしい」と考えたとします。
このような希望を「家族信託契約」として公正証書などで残しておけば、将来の相続トラブルを防ぐだけでなく、本人が認知症になった場合にも柔軟に対応できます。
家族信託の大きなポイントは、「生前のうちから財産の管理や承継について意思を反映できる」ことです。
従来の「遺言」や「成年後見制度」ではカバーしきれなかった場面に強く、特に不動産のように分けにくい資産には非常に有効です。
もちろん、家族信託は万能ではありません。
税務面や信託財産の管理方法、親族間の関係性など、事前にしっかりと考慮すべきことがたくさんあります。
そのためにも、相続や不動産に詳しい専門家と一緒に「何を、誰に、どう引き継ぎたいか」を早めに考えておくことが大切です。
大切な家や土地を、安心して次の世代へつなぐために。
相続や家族信託は「もしものときの備え」ではなく、「今から考える家族への思いやり」なのです。
【本日の一曲】
João GIlberto / Tin Tin Por Tin Tin