2025 05 10

「マルホランド・ドライブ」と再会する夜

なんと、アマゾンプライムにあのデビッド・リンチ監督の『マルホランド・ドライブ』が追加されているじゃないか!!
偶然目にした瞬間、思わず「おお」と小さく声が出た。最近は仕事に追われて、映画を観る時間もずいぶん減ってしまったけれど、これは別格。
何かが動いたような感覚に突き動かされ、久しぶりに映画を再生ボタンに指を伸ばした。

デビッド・リンチ。彼は僕にとって、特別な映画監督。
圧倒的な映像美と、論理を裏切るストーリーテリング。彼の作品は「よくわからない」とよく言われるけれど、それでも不思議と惹かれてしまう。
とりわけこの『マルホランド・ドライブ』は、僕の中で一番好きなリンチ作品だ。訳がわからないのに、なぜか心の奥に何かが残るのです。
観終わった後の余韻は、言葉にならないのに確かな感情が渦巻いている。そんな映画、なかなかない。

俳優の目線、カメラの動き、サウンドの不穏さ。そして夢と現実が溶け合うような構成。
意味を追うと迷子になるのに、感覚ではちゃんと伝わってくる。これは映画というより「体験」に近いのかもしれない。
まるで夢の中で記憶がバラバラになっていくような不思議な感覚。そんな世界を、リンチは平然と見せてくる。
そしてそれが、妙にリアルで説得力があるのだから驚かされる。

「マルホランド・ドライブ」を初めて観たのは20代の頃だった。今観ると、当時は理解しきれなかった部分にも何か違う意味が宿っているように感じる。
年齢や経験によって、観る側の受け取り方が変わる作品なのだろう。いや、そういう作品だからこそ、時を経てもまた観たくなるのかもしれない。

「わからないもの」に耐えられること。
デビッド・リンチの映画を観るということは、その感性に身をゆだねることでもある。
正解のない問いに立ち向かうような感覚。そして最後には、なぜか静かな感動が心に残る。

今夜は久々に、映画の余韻に浸って眠れそうです。
映画を観るって、やっぱりいいなと思わせてくれる一本でした。

【本日の一曲】
Mulholland Drive / Soundtrack