2026 01 06

因果関係と相関関係──見抜けるかどうかが意思決定を分ける

はじめに

私たちは日常や仕事の中で、「〇〇をしたら△△になった」「Aが増えたらBも増えた」という話を頻繁に耳にします。その際、無意識のうちに「原因と結果の関係がある」と判断してしまっていないでしょうか。
ここで重要になるのが、「相関関係」と「因果関係」の違いです。

この二つは似ているようで、実はまったく異なる概念です。両者を混同すると、情報を誤って解釈し、見当違いの施策や判断をしてしまう可能性があります。特にビジネスや経営、政策判断の場面では、その影響は小さくありません。

本記事では、相関関係と因果関係の違いを整理しながら、具体例を交えてその見分け方、そしてビジネスにおいてなぜ重要なのかを解説します。


相関関係とは何か

相関関係とは、「二つの要素が連動して変化する関係」を指します。
要素Aが増えると要素Bも増える、あるいはAが減るとBも減る、といったように、両者が同じ方向、もしくは逆方向に動く状態です。

ここで重要なのは、「なぜそうなるのか」という原因までは問わない点です。動きが連動していれば、相関関係があると言えます。

相関関係の具体例

たとえば、「テレビの視聴時間」と「肥満」の関係を考えてみましょう。
データ上、「テレビを長時間見る人ほど肥満傾向が強い」という結果が出た場合、この二つには相関関係があります。しかし、それだけで「テレビを見ることが肥満の原因だ」と断定することはできません。

テレビ視聴時間が長い人は、運動量が少ない、間食が多い、生活リズムが乱れているなど、別の要因を併せ持っている可能性があります。つまり、相関関係はあっても、直接的な原因とは限らないのです。

相関関係の強さは、データのばらつきや直線性によって判断されます。きれいな直線に近いほど強い相関があり、ばらつきが大きければ弱い相関、変化が見られなければ無相関とされます。


因果関係とは何か

一方で因果関係とは、「原因と結果が明確に一方向で結びついている関係」です。
「要素Aが原因となって、要素Bという結果が生じる」という構造を持ち、逆方向では成立しません。

因果関係の具体例

「平均気温」と「エアコンの売上」を考えてみましょう。
気温が上がると暑くなり、エアコンの需要が高まるため売上は増えます。しかし、エアコンの売上が増えたからといって、平均気温が上昇するわけではありません。この一方向性こそが因果関係の特徴です。

因果関係が成立するためには、以下のような条件が必要とされます。

  1. 原因が先に起こり、その後に結果が生じる
  2. 原因と結果の双方に変動の余地があり、論理的な関係性がある
  3. 両者を同時に引き起こす別の要因(第三の要素)が存在しない

この条件を満たさない場合、見かけ上は因果関係があるように見えても、実際には相関関係にすぎないことがあります。


相関関係と因果関係の決定的な違い

整理すると、因果関係がある場合には相関関係も存在するが、相関関係があるからといって因果関係があるとは限らない、という点が最大の違いです。

たとえば、「ライターの所持」と「肺がんに罹るリスク」には相関関係があります。しかし、肺がんの原因はライターではなく喫煙です。この場合、「喫煙」という第三の要因が、両者を同時に引き起こしています。

もし相関関係を因果関係と誤解すると、「肺がん予防のためにライター所持を禁止する」といった、的外れな施策を導いてしまうことになります。


ビジネスで見分ける必要性

ビジネスの現場では、売上、広告、顧客行動、施策結果など、あらゆる場面でデータ分析が行われます。
このとき、相関と因果を見誤ると、意思決定の精度が大きく下がります。

たとえば、「広告を出したら売上が伸びた」という事象があったとします。一見すると「広告出稿→売上増加」という因果関係があるように見えます。しかし、同時期にSNSで話題になっていた、季節要因があった、競合が撤退したなど、別の要因が影響している可能性もあります。

因果関係だと誤認して広告費を増やし続けた結果、期待した効果が得られないというケースは珍しくありません。


相関関係と因果関係の見分け方

相関関係の有無は、相関分析によって数値的に確認できます。相関係数は-1から+1の範囲で示され、正の相関・負の相関の方向と強さを把握できます。

しかし、相関分析だけでは因果関係を証明できません。因果関係を厳密に検証するには、ランダム化比較試験(RCT)や傾向スコア分析など、より高度な手法が必要になります。

ただし、実務の現場では、論理的に「なぜそうなるのか」を説明できるかどうかが重要です。数字だけでなく、背景や構造を理解することが不可欠です。


疑似相関に注意する

有名な例が、「アイスクリームの売上」と「水難事故の件数」です。
この二つは強い相関関係がありますが、アイスを食べたから水難事故に遭うわけではありません。

真の原因は「気温の上昇」です。
気温が高くなることでアイスが売れ、同時に海や川で遊ぶ人が増え、水難事故も増える。ここでは、気温が両者に対する共通の因果要因となっています。


科学的思考法と意思決定

因果関係を見抜く力は、科学的思考法の中核です。
科学的思考法とは、経験や勘に頼らず、データと論理に基づいて「何が原因で、何が結果なのか」を検証する姿勢を指します。

経営や組織運営においても、この考え方は極めて重要です。他社の成功事例をそのまま真似しても、自社でうまくいくとは限りません。背景条件が異なれば、因果構造も異なるからです。


おわりに

相関関係と因果関係の違いを理解することは、情報過多の時代における必須のリテラシーです。
「関係があるように見える」ことと、「本当に原因である」ことは別物です。

日常のニュース、ビジネスデータ、広告表現に触れる際も、「それは相関なのか、因果なのか?」と一歩立ち止まって考える習慣を持つことで、判断の質は確実に高まります。

見抜けるかどうか。その差が、結果を大きく分けるのです。

【本日の一曲】
Kaytranada – DJset Elevator Music

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