すべてがネットワークでつながる時代の「危うさ」
私たちの生活や仕事は、いつの間にか「ネットワークありき」になりました。
インターネットに接続され、クラウドを通じてデータが管理され、複数のシステムが連動して動く。それが当たり前の時代です。
しかし最近、その「当たり前」が、実は非常に脆い土台の上に成り立っているのではないか、と思わされる出来事が続いています。
大企業ですら止まる現代のシステム
昨年から続いたアサヒビール(アサヒグループホールディングス)・アスクル〜無印良品の大規模なシステム障害、そして今現在では建築業界で関西ペイントのシステム障害。
業界も規模も違いますが、共通しているのは「ネットワークを基盤としたシステムが止まると、すべてが止まる」という現実です。
特にアサヒGHDのケースは象徴的でした。
2025年9月29日、日本のビール市場シェア約4割を占める同社が、ランサムウェア攻撃による大規模障害に見舞われました。
結果として起きたのは、
- 受注・出荷業務の全面停止
- 工場稼働の一時中断
- 店頭からビールが消えるという異例の事態
という、「ITの問題」にとどまらない社会的影響でした。
ランサムウェア攻撃は「よくある手口」になった
アサヒGHDが公表した攻撃の流れは、今や珍しいものではありません。
これは「Human-Operated(人が操作する)」ランサムウェア攻撃の典型例です。
つまり、特別に高度な裏技ではなく、「狙われれば起こり得る」現実的な攻撃手法なのです。
ネットワークが止まると、すべてが止まる
この問題の本質は、ネットワークに依存しすぎている構造にあります。
ネットワークをベースにしたシステムは、
- 通信ができなければ使えない
- クラウド自体がダウンすれば、通信状況に関係なく使えない
という特徴を持っています。
非常に便利で、勝手が良く、スピードも速い。
しかし一方で、「一点が壊れれば全体が機能しなくなる」という、極めて脆い側面も持っています。
外部から攻撃する側にとっても、これは都合がいい。
ネットワーク経由で中枢を叩けば、システムは「うんともすんとも言わなくなる」からです。
中小企業も決して他人事ではない
「大企業の話でしょう?」と思いたくなりますが、現実は逆です。
Cisco Talosの分析によれば、
2025年上半期の日本国内ランサムウェア被害は前年同期比1.4倍に増加。
そのうち約7割が資本金10億円未満の中小企業でした。
狙われているのは、
- セキュリティ専任者がいない
- VPNやリモート環境の設定が甘い
こうした「防御の甘い組織」です。
もはや「規模が小さいから安全」という時代ではありません。
デジタルネイティブ時代のジレンマ
ここで、ひとつ疑問が浮かびます。
クラウドのない世界を、これからの世代に強要できるのか?
スマートフォン、クラウド、サブスクリプションが当たり前のデジタルネイティブ世代にとって、
「オフラインで完結する世界」は、もはや想像すら難しいかもしれません。
だからといって、すべてをクラウドに委ねることが正解なのか。
私はそこに強い違和感を覚えています。
私自身の小さな“非ネットワーク”
私自身、ランニングのときはいまだに
有線イヤフォン+iPodを使っています。
時計もApple Watchは使いますが、
同時に機械式のゼンマイ時計も使っています。
理由はシンプルです。
- 通信がなくても動く
- 壊れ方が分かりやすい
「便利さ」よりも、「止まらないこと」を選んでいる感覚に近いかもしれません。
災害時に最後に残るもの
災害で電気の供給が止まれば、
- サーバーは止まる
- クラウドは使えない
- スマートフォンもただの板になる
そのときに頼りになるのは、
アナログな手段だけです。
紙、口頭、手回し、ゼンマイ。
決して格好いいものではありませんが、「最後に残る」のはいつもこうした仕組みです。
クラウドを否定したいわけではない
誤解のないように言うと、
「クラウドはダメだ」と言いたいわけではありません。
クラウドは、
- 情報共有
- バックアップ
- 業務効率化
において、今や欠かせない存在です。
ただし、「クラウドのみ」という状態は、やはりリスクが高い。
大切なのは「逃げ道」を残すこと
理想的なのは、
- クラウドもある
- オフラインでも最低限回る
- 切り替えができる
という状態です。
完全な冗長化は難しくても、
- 紙で残す
- ローカルに保存する
- 人が判断できる余地を残す
こうした“逃げ道”を用意しておくことが、これからの時代には重要だと感じます。
ネットワーク社会は壊れやすい
すべてがネットワークでつながる現代社会は、
速く、便利です。
しかし同時に、簡単に乱れます。
機械式時計のゼンマイを眺めながら、
「これは電気がなくても動くんだよな」と素朴に思う瞬間があります。
便利さに全振りしないこと。
アナログを完全に手放さないこと。
(iPodはオフラインではありますが、デジタルですw)
それは懐古主義ではなく、
これからの時代を生き抜くためのリスク管理なのかもしれません。
【本日の一曲】
SOIL & “PIMP” SESSIONS x Ringo Sheena – MY FOOLISH HEART ~crazy on earth~
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