人生を少しだけやさしくする「ヒュッゲ」という考え方
― 幸福度世界トップクラス、デンマークの暮らしから学ぶこと ―
最近、ニュースで「グリーンランド」の話題とともに名前を聞くことが増えたデンマーク。
北欧の小さな国でありながら、世界幸福度ランキングでは常に上位に名を連ねる国として知られています。
その背景にあるキーワードのひとつが、**「ヒュッゲ(Hygge)」**というライフスタイルです。
今回は、デンマークのヒュッゲとは何か、なぜ幸福度が高いのか、そして日本で暮らす私たちがどう取り入れていけるのかを、住まいや暮らしの視点も交えながら考えてみたいと思います。
ヒュッゲとは?
直訳できない「心地よさ」を大切にする感覚
ヒュッゲ(Hygge)はデンマーク語で、日本語にぴったり当てはまる言葉がありません。
よく「居心地のよさ」「快適さ」「心のあたたかさ」などと訳されますが、それだけでは少し足りない気もします。
たとえば、
- 冬の夜、キャンドルの灯りの中で家族と静かに過ごす時間
- お気に入りの椅子に座って、コーヒーを飲みながら本を読むひととき
- 親しい友人と気取らず笑い合う、何気ない時間
こうした力の抜けた、満たされた瞬間そのものがヒュッゲです。
日本で言えば、
「こたつでみかんを食べる感じ」
「縁側でひなたぼっこする感じ」
そんな脱力感に近いかもしれません。
なぜデンマークではヒュッゲが育ったのか
デンマークは、決して気候に恵まれた国ではありません。
冬は長く、11月から3月頃まで暗く寒い日が続きます。
冬至の頃には、日照時間はわずか6時間ほど。
朝9時に明るくなり、15時にはもう日が沈むような環境です。
外でアクティブに過ごすことが難しい分、
「家の中でどう心地よく過ごすか」
がとても重要になりました。
その結果、
- インテリアや照明への強いこだわり
- 家で過ごす時間を楽しむ文化
- 心を満たす小さな幸せを大切にする価値観
が育っていったのです。
ヒュッゲは、厳しい環境を前向きに生きるための生活の知恵とも言えるでしょう。
世界幸福度ランキング上位の理由
国連が毎年発表している「世界幸福度ランキング」で、
デンマークは2012年、2013年、2016年に世界1位。
2023年も世界2位と、常にトップクラスです。
一方、日本は40位台〜50位前後を行き来しています。
この差はどこから生まれるのでしょうか。
高福祉・高負担の社会制度
デンマークは税金が高い国としても有名です。
- 所得税:最大約55%
- 消費税:25%
数字だけ見ると驚きますが、その分、
- 医療費は原則無料
- 教育費も大学まで無料
- 失業や病気への社会保障が手厚い
将来への不安が少ないことが、
人々の心に余裕を生み出しています。
「老後が不安だから…」
「子どもの教育費が心配だから…」
そうした不安が小さい分、
今の生活を楽しむことに意識を向けやすいのです。
仕事よりプライベートが優先される文化
もうひとつ、日本と大きく違う点があります。
それは、仕事とプライベートの関係です。
デンマークでは、
- 定時で帰るのが当たり前
- 管理職でも残業しない
- 男性も家事・育児を普通に担う
という文化が根付いています。
仕事は大切だけれど、
人生の中心ではない。
家族や友人との時間、
自分自身の心地よさを守ることが、
社会全体で尊重されているのです。
ヒュッゲをつくる「心地よい空間」
ヒュッゲな暮らしに欠かせないのが、
空間づくりです。
① お気に入りに囲まれた空間
北欧のインテリアは派手ではありません。
シンプルで、長く使えるデザインが中心です。
- 座り心地のいい椅子
- 触り心地のいいファブリック
- 自然素材のテーブル
- 観葉植物やキャンドル
「高価かどうか」よりも、
**「自分が好きかどうか」**が基準。
これは日本の住まいづくりにも、
とても相性がいい考え方だと思います。
② 人と時間を共有できる空間
デンマークや北欧では、
自宅に友人を招く文化があります。
コーヒーとお菓子を囲んで過ごす時間は、
特別なイベントではなく、日常の延長。
完璧に片付いた家でなくてもいい。
お互いにリラックスできることが大切です。
③ 一人で落ち着ける場所を持つ
ヒュッゲは、誰かと過ごす時間だけではありません。
- 読書をする
- 音楽を聴く
- ぼんやり外を眺める
そんな一人の時間も大切にします。
住まいの中に、
「ここに座ると落ち着く」
そんな場所が一つあるだけで、
日常はずいぶん変わります。
日本でヒュッゲを取り入れるには
正直、日本でデンマークのような働き方をそのまま実現するのは簡単ではありません。
忙しく、余裕のない日も多いでしょう。
だからこそ、完璧を目指さなくていい。
- キャンドルを一つ灯す
- 照明を少し落としてみる
- お気に入りのマグカップを使う
- 「今日はここまででいい」と自分を許す
そんな小さな選択の積み重ねが、
ヒュッゲにつながっていきます。
スウェーデンの「ラゴム(ちょうどいい)」という考え方と組み合わせるのもおすすめです。
まとめ
ヒュッゲは、
「お金をかけた暮らし」でも
「理想的な北欧生活」でもありません。
今ある環境の中で、
どう心地よく生きるか。
不安や忙しさをゼロにすることはできなくても、
向き合い方は選べる。
住まいも、働き方も、人生も、
少しだけ肩の力を抜いて。
ヒュッゲは、
そんな生き方の姿勢を教えてくれているのかもしれません。
【本日の一曲】
Tim Christensen – Right Next to the Right One
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