所有者不明の不動産、その持ち主が見つかるまでの話
現在、せとうち不動産では、いくつかの「所有者不明不動産」の調査依頼を受けています。
今回、そのうちの一件で、ようやく現在の管理者の方と接点を持つところまでたどり着きました。
一見すると当たり前のことのようですが、「所有者が分からない土地」というのは、実は全国で大きな社会問題になっています。
そして現場で実際に動いてみると、その問題のリアルさを痛感することになります。
所有者不明不動産とは何か
所有者不明不動産とは、
・登記簿を見ても所有者が分からない
・所有者は分かるが連絡が取れない
という状態の土地や建物のことを指します。
この問題の大きな原因は「相続登記がされていないこと」です。
不動産の所有者が亡くなった場合、本来は相続人が名義変更の登記を行う必要があります。しかし、これまでは相続登記は義務ではなく、「やらなくても特に困らない」ケースも多くありました。
特に地方では、
・使う予定のない土地
・価値が低いと思われている土地
・遠方に住んでいる相続人
などの事情から、登記をせずに放置されるケースが多くありました。
その結果、
1世代、2世代と相続が繰り返され、
気づけば相続人が10人以上に増えている
ということも珍しくありません。
こうなると、相続人を確定させるのは非常に大変な作業になります。
九州より広い「所有者不明土地」
この問題は個別の不動産だけの話ではありません。
国の推計によると、所有者不明土地は2016年時点で約410万ヘクタール。
これは九州本島の面積を上回る広さです。
さらに対策が進まなければ、2040年には720万ヘクタール、
国土の約2割にまで増える可能性があると試算されています。
所有者不明土地が増えると、
・公共事業が進まない
・都市開発の障害になる
・ゴミの不法投棄の温床になる
・管理されず周囲に悪影響を及ぼす
といった問題が起きます。
経済的な損失は、2040年までの累計で約6兆円とも言われています。
こうした背景から、2024年4月には相続登記の義務化がスタートしました。
登記情報が途中で止まっている現場
今回調査していた物件も、まさに典型的なケースでした。
まずは登記簿を確認します。
しかし、登記情報は数十年前で止まっていました。
そこで、登記簿に記載されている住所へ行ってみますが、
「もう引っ越しましたよ」
「その方は亡くなっていますね」
という状態。
さらに、お子様やお孫様がどこに住んでいるのかも分からない。
こうなると、登記簿だけでは追跡できません。
ここから先は、まさに“探偵”のような作業になります。
地元ならではの「泥臭い調査」
今回の調査では、近隣の方にお話を伺いました。
突然の訪問にもかかわらず、
「昔は○○さんが住んでたね」
「息子さんはどこそこに行ったはず」
「今は親戚の誰かが管理してるんじゃないかな」
と、いろいろな情報をいただきました。
こうした積み重ねで、少しずつ手がかりがつながっていきます。
最終的には、現在その不動産を管理している方と接点を持つところまでたどり着くことができました。
これは正直、都会ではなかなか難しいケースだと思います。
・地元の人間であること
・顔が見える関係性がある地域であること
・香川県らしい温かい人柄
そういった地域性のおかげで、今回の調査は前に進んだのだと感じています。
所有者不明土地は「誰にでも起こり得る問題」
所有者不明不動産というと、
「昔の人の話」
「地方特有の問題」
と思われがちですが、決してそうではありません。
例えば、
・親から土地を相続したが、そのまま放置している
・兄弟で共有のままになっている
・遠方に住んでいて管理していない
こうした状況は、どこの家庭でも起こり得ます。
そしてそれを放置したまま時間が経つと、
次の世代、さらに次の世代へと問題が引き継がれていきます。
結果として、
「売りたくても売れない」
「相続人が多すぎて話がまとまらない」
「そもそも誰の土地か分からない」
という状態になってしまうのです。
相続登記の義務化という大きな転換点
こうした問題を防ぐため、2024年4月から相続登記が義務化されました。
相続で不動産を取得した場合、
「所有権を取得したことを知った日から3年以内」
に相続登記を行う必要があります。
正当な理由なく放置すると、
10万円以下の過料が科される可能性もあります。
これは、これ以上「所有者不明土地」を増やさないための大きな制度変更です。
不動産は「登記してこそ資産になる」
今回の調査を通じて改めて感じたのは、
不動産は、きちんと登記されていて初めて「資産」になる
ということです。
登記が放置されていると、
・売却できない
・活用できない
・融資が受けられない
・管理の責任だけが残る
という状態になってしまいます。
逆に言えば、
登記さえ整っていれば、
・売る
・貸す
・活用する
・次の世代に引き継ぐ
といった選択肢が広がります。
まずは「現状を知る」ことから
もし、
・相続したままの土地がある
・名義が祖父母のままになっている
・共有状態で放置している不動産がある
という方は、一度現状を確認してみることをおすすめします。
登記の状況を把握するだけでも、
将来のトラブルを防ぐ第一歩になります。
せとうち不動産でも、
・所有者不明不動産の調査
・相続に関する不動産相談
・売却や活用のご提案
などを行っています。
「うちの土地は大丈夫かな?」
という軽いご相談でも構いませんので、
お気軽にお問い合わせください。
不動産は、放置しても解決しません。
しかし、少し手をかけるだけで、次の世代にきちんと引き継げる資産になります。
今回のような調査を通じて、
一件でも「迷子の土地」を減らしていければと思っています。
◻︎◻︎国土交通省 所有者不明土地ガイドブック ~迷子の土地を出さないために!~
https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/content/001618381.pdf
【本日の一曲】
Talking Heads – Road to Nowhere
◻︎◻︎せとうち不動産 https://setouchi-fudosan.com/◻︎◻︎