2026 04 12

住宅ローン減税2030年まで延長へ ただし、”実際の控除額”には要注意

― 既存住宅・リフォームがさらに追い風。けれど「戻る金額」は要注意 ―

住宅取得を検討されている方にとって、良いニュースが入ってきました。
令和8年度税制改正で、住宅ローン減税の適用期限が2030年末まで5年間延長される方向となりました。

ここ数年、住宅価格の上昇に加えて金利もじわじわ上昇し、「今買うべきか、もう少し待つべきか」と悩まれている方は非常に増えています。そんな中で、今回の税制改正は住宅取得者にとってかなり心強い内容です。

特に注目したいのは、新築だけでなく既存住宅(中古住宅)やリフォーム支援がより手厚くなったこと
これからの住まい選びは「新築一択」ではなく、中古住宅+リノベーションという選択肢がさらに現実的になってきました。

今回は、この住宅ローン減税の改正内容と、実際の住宅取得で見落としがちな注意点を分かりやすくまとめます。


2030年まで5年間延長。住宅取得の追い風に

これまで2025年末で終了予定だった住宅ローン減税ですが、2030年末まで延長されることになりました。

住宅ローン減税は、年末時点のローン残高の0.7%を所得税・住民税から控除できる制度です。

たとえば年末時点で住宅ローン残高が3,000万円なら、

3,000万円 × 0.7% = 21万円

理論上は年間21万円の控除が受けられる計算になります。

しかも認定長期優良住宅や低炭素住宅など性能の高い住宅では、
借入限度額が高く設定されており、子育て世帯や若者夫婦世帯はさらに優遇されます。

住宅価格が上がっている今、この制度延長は購入を考えている方にとって非常に大きな後押しです。


既存住宅(中古住宅)の支援がかなり強化

今回の改正で個人的に特に良い流れだと感じるのが、既存住宅への支援拡充です。

これまで中古住宅は新築に比べて税制優遇が弱い印象がありましたが、今回はかなり差が縮まりました。

認定住宅の既存住宅なら、子育て世帯等で借入限度額4,500万円、控除期間13年
新築に近い水準まで優遇されます。

最近は新築価格の高騰により、
「新築だと予算が厳しい」
「立地を優先したい」
という理由で中古住宅を選ばれる方が増えています。

そこに税制メリットが乗ることで、

 ・立地の良い中古住宅を購入
 ・必要な部分だけリノベーション
 ・総額を抑えながら理想の暮らしを実現

という選択がしやすくなります。

不動産の現場でも、今後ますますこの流れは強くなると感じています。


面積要件が40㎡に緩和。単身世帯にも追い風

今回もう一つ大きいのが、床面積要件の緩和です。

これまで住宅ローン減税は原則50㎡以上が必要でしたが、
今後は40㎡以上に緩和されます。

都市部では住宅価格上昇の影響もあり、コンパクトな住宅ニーズがかなり増えています。

 ・単身世帯
 ・DINKs
 ・ミニマルな暮らし志向
 ・利便性重視の駅近マンション

こうしたライフスタイルに制度がようやく追いついてきた印象です。

地方でも、将来の維持管理を考えてあえてコンパクトな家を選ばれる方は増えているため、かなり使いやすい改正だと思います。


リフォーム減税も延長。中古+再生がさらに有利

耐震改修・省エネ改修・バリアフリー改修・子育て対応改修などのリフォーム減税も2028年まで延長されました。

これは中古住宅市場にとって非常に大きいです。

今後は

「良い中古住宅を買って、自分たちに合わせて再生する」

という住まい方がより一般的になっていくでしょう。

空き家や相続物件の活用にも追い風で、
地方の既存住宅ストックを生かす動きにもつながります。

せとうちエリアでも、立地の良い中古住宅をリノベして住み継ぐという考え方は、今後ますます価値が高まると感じています。


ここが重要。「21万円戻る」とは限らない

ここで実務上、とても大切なポイントがあります。

住宅ローン減税の説明でよくあるのが、
「ローン残高 × 0.7%がそのまま戻る」と誤解されるケースです。

実際には、納めた所得税・住民税が上限です。

たとえば、
 ・年末残高:3,000万円
 ・控除計算額:21万円
 ・実際の所得税+住民税:10万円

この場合、戻る金額は10万円までです。

差額の11万円が追加でもらえるわけではありません。

ここを知らずに資金計画を組むと、
「思ったより年末調整で戻らなかった」
ということが起こります。

特に、
 ・お子様が多いご家庭
 ・配偶者控除や扶養控除が大きい
 ・所得税がそもそも少ない

こうしたケースでは要注意です。


ペアローンは「連帯債務」がポイント

ご夫婦で住宅ローンを組む場合、私はよく

連帯保証より連帯債務を意識してください

とお伝えしています。

理由はシンプルで、夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けられる可能性が高まるからです。

例えばご主人が主債務者で、お子様の扶養控除により所得税が低いケース。

この場合、ご主人側では控除枠を使い切れないことがあります。

一方で奥様がしっかり所得税を納めていれば、連帯債務にしておくことで奥様側でも控除を活用でき、世帯全体で最大限恩恵を受けられる可能性があります。

住宅購入では金利や月々返済額ばかりに目が行きがちですが、
税制メリットまで含めた借入設計がとても重要です。


これから家を買う方へ。制度を「使い切る」視点を

今回の税制改正は、住宅購入を考えている方にとってかなり追い風です。

特に今後は、
 ・新築
 ・中古住宅
 ・リノベーション
 ・住み替え
 ・相続した実家の再生

こうした幅広い住まい方に制度が対応していきます。

ただし、住宅ローン減税は
「使える制度」ではなく「使い切れる設計ができているか」
が本当に重要です。

ご家庭ごとに
 ・年収
 ・扶養状況
 ・ご夫婦の働き方
 ・借入割合
 ・将来の住み替え予定

が全く違います。

だからこそ、物件選びと同じくらい
税制と資金計画の事前確認をしておくことで、購入後の満足度は大きく変わります。

家づくり・中古住宅購入・リノベーションをご検討の方は、
「自分たちはどれくらい戻るのか?」をぜひ事前にシミュレーションしてみてください。

数字を把握してから動くことで、住まい選びはもっと安心して進められます。

せとうち不動産ではファイナンシャルプランナーが資金計画のご提案もさせていただいています。


◻︎◻︎国土交通省 住宅ローン減税等の住宅取得等促進策に係る所要の措置(所得税など)
  https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001975750.pdf


【本日の一曲】
Celso Fonseca – Like Nice

◻︎◻︎せとうち不動産 https://setouchi-fudosan.com/◻︎◻︎