洪水警報がなくなる!?梅雨本番前に知っておきたい「新・防災気象情報」
「洪水警報」がなくなる——そのニュースに驚いた人へ
「今日の正午で洪水警報がなくなります」
そんなニュースを見て驚いた人も多かったのではないでしょうか。
毎年のように梅雨や台風、大雨災害を経験する日本。
「大雨警報」「洪水警報」という言葉は、私たちの生活の中で長く使われてきました。
その中でも「洪水警報」は70年以上続いた馴染み深い情報です。
ところが本日2026年5月28日から、防災気象情報は大きく変わります。(運用は明日の5月29日から)
ただし、ここで誤解してはいけないのは、危険がなくなるわけでも、避難基準が緩くなるわけでもないということです。
変わるのは、「伝え方」です。
気象庁は今回、これまで複雑だった防災情報を整理し、「迷わせない防災」を目指して新ルールを導入しました。
大雨シーズンを前に、この変更を一度整理しておきましょう。
なぜ防災情報は変わるのか
近年、日本では大雨災害が明らかに増えています。
背景にあるのは、気候変動による豪雨の激甚化・頻発化です。
さらに問題なのは、情報そのものの分かりにくさでした。
例えばこれまでの制度では、
- 洪水警報
- 氾濫危険情報
- 土砂災害警戒情報
- 大雨特別警報
など、似たような名前が並びながら、それぞれ警戒レベルとの対応が統一されていませんでした。
実際、2018年の西日本豪雨以降、「情報が複雑で避難のタイミングが分かりづらい」という課題が繰り返し指摘されてきました。
そこで気象庁は、2026年5月28日から情報体系を全面整理。
河川氾濫・大雨・土砂災害・高潮について、5段階の警戒レベルに合わせた統一ルールへと変更することになったのです。
70年以上続いた「洪水警報」は廃止へ
今回もっとも話題になっているのが、「洪水警報」の廃止です。
「え、洪水警報がなくなったら、川の氾濫はどうやって分かるの?」
そう思いますよね。
実は今後、川の情報は2種類に整理されます。
大きな川は「氾濫警報」
香川県では「土器川」や「香東川」のような指定河川、いわゆる洪水予報河川については、川ごとに情報が出されます。
これまでの洪水警報に代わり、
- レベル2 氾濫注意報
- レベル3 氾濫警報
- レベル4 氾濫危険警報
- レベル5 氾濫特別警報
という形になります。
名前が揃ったことで、危険度の段階がかなり分かりやすくなりました。
「どの川が危険なのか」が、より明確になります。
中小河川は「大雨警報」で伝える
一方で、すべての川が「氾濫警報」になるわけではありません。
ここが今回の変更で少し分かりづらい部分です。
指定されていない中小河川は、今後も市町村単位の「大雨情報」で危険が伝えられます。
理由はシンプルです。
小さな川は急激に増水するから。
流域が狭く勾配も急なため、短時間で一気に氾濫することがあります。
大河川のように「数時間後に危険になる」と予測することが難しく、川ごとの氾濫予測が技術的に困難なのです。
そのため、
- 低地の浸水
- 内水氾濫
- 中小河川の氾濫
これらはまとめて「大雨警報」の中で伝えられることになります。
つまり、**「洪水警報がなくなる=川の情報が消える」ではなく、「川の種類によって伝え方が変わる」**ということです。
土砂災害の情報も整理される
今回の見直しでは、土砂災害の情報も整理されます。
これまで、
「大雨警報(土砂災害)」
「土砂災害警戒情報」
など、少し分かりにくい形で運用されていました。
これが新制度では、
- レベル3 土砂災害警報
- レベル4 土砂災害危険警報
- レベル5 土砂災害特別警報
と統一されます。
名前を見るだけで危険度が分かるようになる。
これは非常に大きな変更です。
覚えるべきは名前より「色」と「数字」
ここまで読むと、
「結局、全部覚えないといけないの?」
と思うかもしれません。
でも実は、覚えるべきことはそんなに多くありません。
最重要なのは、たった一つです。
レベル4になったら全員避難。
これです。
新しい制度では、危険度が色でも統一されます。
- レベル3 → 赤(高齢者等避難)
- レベル4 → 紫(全員避難)
- レベル5 → 黒(災害発生・切迫)
テレビやニュースのテロップでも、レベル4は紫で表示されます。
つまり、
「紫=逃げる」
これだけ覚えておけばいい。
高齢者や乳幼児のいる家庭、避難に時間がかかる人は、レベル3の赤の段階で行動することが重要です。
レベル5を待ってはいけない理由
防災情報でよくある誤解があります。
「避難指示が出るまで待とう」
「レベル5になったら避難しよう」
これは危険です。
レベル5は、避難開始の合図ではありません。
すでに災害が起きている、あるいは目前に迫っている状態です。
川があふれている。
道路が冠水している。
土砂崩れが始まっている。
そんな状況かもしれません。
つまり、レベル5での避難は「遅い可能性がある」。
防災の原則は昔から変わっていません。
レベル4までに避難する。
これが大原則です。
情報が変わっても、防災の本質は変わらない
今回、防災情報はかなり整理されました。
「洪水」が「氾濫」に変わる。
警報にレベル数字が付く。
危険警報が新設される。
確かに名前は変わります。
でも、本当に大切なのはそこではありません。
情報を知ることは大事です。
けれど、もっと大事なのは、
「自分はどこへ逃げるか」
「家の近くに危険な川や斜面はあるか」
を普段から知っておくことです。
ハザードマップを見たことがない人は、梅雨本番前の今こそ確認しておきたいところです。
迷わせない防災へ
今回の制度変更は、「情報を増やすため」ではありません。
むしろ逆です。
迷わせないため。
近年の災害では、情報が伝わっていても、避難行動につながらないケースが少なくありませんでした。
だからこそ、
「何の情報か」より
「今、自分は何をすべきか」
がすぐ分かる仕組みに変えようとしているのです。
洪水警報という名前は消えます。
でも、防災の原則は変わりません。
梅雨と台風の季節が始まります。
ニュースの名前が変わるこのタイミングを、「自分と家族の避難」を見直すきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
◻︎◻︎気象庁 いつ逃げる?レベルで判断
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/keiho-update2026/pdf/info2026_flyer.pdf
【本日の一曲】
Bill Evans – Skating In Central Park
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