【植物のある暮らし・枇杷編vol.2 枇杷が熟しました】

5月下旬に「もうすぐ収穫できそうです」と書いていた我が家の枇杷(びわ)。あれから2週間が経ち、ついにオレンジ色に色づき、今年も無事に収穫の季節を迎えることができました。
庭に出ると、ふわっと甘くてやさしい香りが漂ってきます。近づいて枝を覗き込むと、そこには小ぶりだけれどしっかりと熟した枇杷の実たち。見た目は市販のものよりも控えめで、やや不揃い。でも、その素朴さがまた愛おしく、毎年この時期を楽しみにしている理由でもあります。
今年は春先の気候が安定していたこともあり、実のつき方がとても良く、例年以上にたくさんの枇杷がなりました。とはいえ、すべての実を育てるわけにはいきません。前回のブログでも書いたとおり、栄養が分散してしまうため「間引き」が必要です。
あのあと、思い切って実の数を減らす作業をおこないました。正直、毎年この作業は少し心が痛むのですが、「おいしい実を育てるには仕方ない」と自分に言い聞かせながら、ひとつひとつ丁寧に選びました。そうやって残した実たちは、日ごとに丸みを帯び、色づき、少しずつ存在感を増していきました。
そして今朝、ついに今年初の収穫。皮をむいて一口食べてみると――じゅわっと広がるやさしい甘さに、思わず顔がほころびました。派手さのない、自然のままの味。それがとても新鮮で、体にも心にもすっとなじむ感じがします。
無農薬で育てているので、見た目に多少の虫食いや傷はありますが、それもご愛敬。自然と共存している証でもあり、こうして手間ひまかけて実ったものをいただける喜びは、何ものにも代えがたいものがあります。
そして収穫をしていると、ふと気づいたことがあります。マンゴーの温室と違って、枇杷は庭で風雨にさらされながら育っているからこそ、こちらも「季節の変化」により敏感になるような気がします。今日は少し日差しが強いな、雨が多かったから実が柔らかいかもしれないな、などと考えながら世話をするうちに、自然との距離がぐっと縮まったように感じます。
毎日の忙しさの中で、こうした小さな変化に目を向ける時間は本当に貴重です。収穫そのものよりも、そこに至るまでの「過程」や「関わり方」にこそ、豊かさがあるのかもしれません。
これから数日は、枇杷の食べごろが続きそうです。朝食のデザートにしたり、おやつ代わりにしたり、時にはおすそわけにしたりと、短い旬を目いっぱい楽しもうと思っています。
次回は、マンゴー・枇杷以外の果物の成長記録をご報告させて頂きます。
それではまた、庭からの小さな報告でした。
【本日の一曲】
Louie Vega / Brand New Day (Original Mix)