2026 08 25

老人ホームに入っていたら「小規模宅地等の特例」は使えない?空き家になった自宅と相続税のポイント

相続のご相談を受けていると、意外と多いのが「亡くなった方が老人ホームに入っていて、自宅が空き家になっていた場合、その土地に小規模宅地等の特例は使えるのでしょうか?」というご質問です。

小規模宅地等の特例は、相続税を考えるうえで非常に重要な制度です。

簡単にいうと、亡くなった方が自宅として使っていた土地を一定の親族が相続した場合、330㎡までの部分について、相続税の課税価格に算入する土地の価額を80%減額できるというものです。

例えば、土地の評価額が3,000万円だった場合、要件を満たせば、特例の対象となる部分については評価額を600万円として計算することができます。

ただし、誰が相続しても使えるわけではなく、いくつかの要件があります。

今回は、特にご相談の多い「老人ホームに入居していたケース」や「二世帯住宅」などについて整理してみます。


老人ホームに入居していた場合、自宅は「空き家」?

まず気になるのが、亡くなった方が老人ホームに入居したことで、それまで住んでいた自宅が空き家になっていたケースです。

通常であれば、相続開始時に被相続人がその家に住んでいないため、「亡くなった方の居住用の土地ではないのでは?」と考えてしまいます。

しかし、一定の要件を満たせば、老人ホームへの入所によって自宅が空き家になっていても、小規模宅地等の特例を適用できる場合があります。

ポイントは、老人ホームへの入所が、介護などのために必要となったものであること。

そして、入所後に、その自宅を他人の居住用や事業用などに利用していないことです。

つまり、

  • 介護が必要となり、一定の老人ホーム等へ入所していた
  • 老人ホームへ入所した後、自宅を他の人の居住用などにしていない

といった要件を満たす場合には、相続開始直前まで被相続人の居住用だったものとして扱われる可能性があります。

そのため、「老人ホームに入った=自宅が空き家になった=特例が使えない」と単純に判断するのは危険です。

実際には、どの施設に、どのような理由で入所していたのか、自宅を入所後にどう利用していたのかなどを確認する必要があります。


病院に入院していて自宅が空き家だった場合は?

老人ホームだけではありません。

例えば、亡くなった方が病院に長期間入院していたため、自宅が空き家になっていたケースもあります。

この場合も、入院したことによって生活の拠点まで完全に病院へ移ったと考えるのではなく、特段の事情がなければ、生活の拠点は従来の自宅に置かれていたと考えることができます。

そのため、入院後に自宅が他の用途に使われるなどの特段の事情がなければ、空き家になっていた期間の長さにかかわらず、居住用宅地として小規模宅地等の特例の対象となる場合があります。

ここでも重要なのは、「空き家だった」という事実だけで判断しないことです。


二世帯住宅でも「同居」と認められる?

もう一つ、相続の相談でよく出てくるのが二世帯住宅です。

例えば、

「1階に親、2階に子が住んでいる」

という住宅です。

さらに、二世帯住宅の中には、1階と2階を完全に分離し、内部では行き来できないタイプもあります。

このような場合でも、一定の要件のもとでは、親と子は同居していた親族として扱われます。

つまり、「家の中で行き来できないから別居」という単純な判断にはなりません。

親と子が一棟の建物に居住しており、その建物が構造上区分されていたとしても、小規模宅地等の特例を適用できるケースがあります。

また、親と子が二世帯住宅を共有している場合も、同居親族として取り扱われることがあります。

二世帯住宅については、建物の登記状況や所有関係などによって取り扱いが変わる場合もあるため、事前に確認しておくことが大切です。


そもそも「小規模宅地等の特例」とは?

小規模宅地等の特例には、居住用だけでなく、事業用や貸付事業用など、いくつかの種類があります。

代表的なものを挙げると、

特定居住用宅地等
330㎡まで、80%減額

特定事業用宅地等
400㎡まで、80%減額

貸付事業用宅地等
200㎡まで、50%減額

などがあります。

今回ご紹介した「自宅」のケースでは、主に特定居住用宅地等について考えることになります。

ただし、「330㎡までなら誰が相続しても80%減額」という制度ではありません。

配偶者、同居親族、一定の要件を満たす別居親族、いわゆる「家なき子」など、取得する人によって要件が異なります。


特例を使うなら「相続税が0円でも申告」が必要

ここも非常に重要なポイントです。

小規模宅地等の特例を適用した結果、相続税の納税額が0円になったとしても、原則として相続税の申告が必要です。

「計算したら税金が0円だったから、申告しなくてもいい」というわけではありません。

特例を利用するためには、相続税の申告書に特例を適用する旨を記載し、必要な書類を添付するなど、所定の手続きを行う必要があります。

また、相続人が複数いる場合には、どの土地について特例を適用するのかという選択や、遺産分割についても注意が必要です。


「空き家だから使えない」と決めつけないこと

今回のご相談のように、

「老人ホームに入っていたから、自宅は空き家だった」

というケースでは、そこだけを見ると小規模宅地等の特例は使えないように思えます。

しかし、一定の要件を満たせば、老人ホーム入所前の自宅を「居住用」として扱える場合があります。

同様に、入院によって自宅が空き家になっていた場合や、二世帯住宅で親子が別々の区画に住んでいた場合なども、単純なイメージだけでは判断できません。

小規模宅地等の特例は、土地の評価額を大きく減額できる可能性がある一方、適用できるかどうかによって相続税の負担が大きく変わることがあります。

「老人ホームに入っていたから無理だろう」「二世帯住宅だから同居ではないだろう」と自己判断せず、相続が発生した際には、相続税に詳しい税理士などの専門家に確認することをおすすめします。

せとうち不動産でも、不動産の相続や空き家についてのご相談をお受けしています。

「この土地はどうなる?」「実家をどうすればいい?」など、相続に伴う不動産のお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。


香川県では?

都市部に比べ地価が比較的低いため相続税の負担がない場合がありますが、基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人)を超える財産がある場合は課税されます。

自宅の土地建物の相続だけではない賃貸大家さんなど、マンションやアパートなどの広い敷地の土地を所有されているケースは香川県でも「小規模宅地の特例」の『貸付事業用宅地等』適応により土地の評価額を軽減できる可能性あります。


◻︎◻︎国税庁 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)
  https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4124.htm


【本日の一曲】
Cults – Always Forever

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