64年前のSF作品が、今の時代に妙に刺さる -手塚治虫「2から2を消せば2」-
手塚治虫さんのYouTubeチャンネル「おさむーびー」で、1962年の作品『2から2を消せば2』を観ました。
1962年といえば、今から64年前。ちなみにビートルズがデビューした年でもあります。
そんな時代に描かれたSF作品なのですが、これが今のAI時代に観ると、妙にリアルで面白い。
まさに「これぞ手塚治虫」という感じの作品です。
人間の「替え玉」をつくる
物語の舞台は、2つのギャング組織が縄張り争いを繰り広げる未来の都会。
殺し屋に狙われているギャングの親分デッド・デキシイは、自分の身代わりとなるロボットを博士に作らせます。
一見すると、単純な「人間そっくりのロボット」の話。
ところが、そこには巧妙な伏線が張られていて、最後には少しゾッとするようなどんでん返しが待っています。
短い作品なのに、最後まで観ると「そういうことだったのか」となる。
このあたりの構成のうまさは、後の『ブラック・ジャック』などにも通じる、手塚作品ならではの魅力ですね。
そして何より面白いのが、人間と機械の立場が少しずつ曖昧になっていくところです。
「AIが人間を判断する」時代
そんな作品を観た直後、最近ニュースになった「AI上司が人間の解雇を勧告した」という話を思い出しました。
サンフランシスコの実験的な店舗で、AIエージェントが採用やシフト管理、勤怠管理などを担当し、ある従業員について解雇を勧告したというものです。
もちろん、ここには重要な前提があります。
AIが完全に自律して「あなたは今日でクビです」と判断したわけではありません。
人間が与えた指示や追加情報をもとにAIが判断し、その結果を人間が承認するという、人間とAIが組み合わさった仕組みでした。
つまり、まだ「AIが人間を支配する未来」という話ではありません。
でも、考えさせられるのはここからです。
これまでAIは「仕事を手伝ってくれるもの」でした。
メールを書いたり、資料を作ったり、データを分析したり。
ところが今は、その先にある「人を評価する」「仕事を割り当てる」「採用する」「解雇を勧告する」といった、権限を持つ側への利用が始まっています。
本当に怖いのは「AIが判断すること」なのか
個人的に興味深いと思ったのは、AIそのものよりも、人間との関係です。
AIが間違った判断をしたら、誰が責任を取るのか。
AIを作った会社なのか。
導入した会社なのか。
AIに指示を出した上司なのか。
それとも、AIの判断を承認した人なのか。
そして、もっと怖いのは、人間が「自分で判断する責任」をAIに預けてしまうことなのかもしれません。
「AIがそう判断しましたから」
そんな言葉が、いつか人間の責任逃れに使われるようになったら……。
そう考えると、64年前に手塚治虫さんが描いた「人間と機械の境界」というテーマが、急に現代の話に見えてきます。
不動産の世界も他人事ではない
もちろん、不動産業界も例外ではありません。
物件を探す。
価格を査定する。
住宅ローンを比較する。
市場データを分析する。
文章を書く。
問い合わせに対応する。
こうした仕事にも、すでにAIがどんどん入ってきています。
便利になる一方で、「AIがそう言ったから」という理由だけで、人の人生に関わる判断をしてしまうのは少し違う気もします。
家を買うことも、売ることも、住む場所を決めることも、単なる数字だけでは決められません。
最後に決めるのは、やっぱり人間。
AIにはAIの得意なことがあり、人間には人間にしかできないことがある。
64年前のSF作品を観ながら、そんなことを考えました。
技術はどんどん未来へ進んでいきます。
でも、未来をどう使うのかを決めるのは、結局人間なんですよね。
◻︎◻︎手塚治虫 2から2を消せば2
https://tezukaosamu.net/jp/manga/325.html
Forbus AI上司が「人間を解雇」、サンフランシスコで起きた世界初の事例
https://forbesjapan.com/articles/detail/104220#google_vignette
【本日の一曲】
The Beatles – Love me Do
◻︎◻︎せとうち不動産 https://setouchi-fudosan.com/◻︎◻︎