2026 11 01

兄弟姉妹が相続人になると相続税はどうなる? 東野圭吾さんのケース

先日、作家の東野圭吾さんが亡くなられたという報道がありました。数多くの名作を世に送り出してきた、日本を代表する作家の一人です。

その訃報に関連して、インターネット上で目にしたのが「推定50億円ともいわれる遺産に対して、相続税が約33億円になるのでは?」という話題。

もちろん、実際の遺産額や相続人、財産の内訳、納税額などは公表情報だけでは分かりません。あくまで仮定の話ですが、この数字をきっかけに、相続税について少し考えてみたいと思います。


兄弟姉妹が相続すると税金が高くなる?

相続では、亡くなった方に配偶者や子どもがいない場合、父母などの直系尊属が相続人となります。それらの方もいない場合には、兄弟姉妹が相続人になります。

今回の話を参考に、仮に次のような条件で考えてみます。

 ・遺産の金額:約50億円
 ・法定相続人:姉2人(配偶者・子ども・父母などはいない)
 ・2人が均等に相続する

この場合、相続税の基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。

つまり、3,000万円+600万円×2人=4,200万円。

50億円から基礎控除を差し引くと、課税遺産総額は49億5,800万円となります。

ここから相続税を計算するのですが、実は兄弟姉妹が相続人になる場合には、もう一つ大きなポイントがあります。

それが「相続税額の2割加算」です。


法定相続人でも2割加算される

相続税には、配偶者や一親等の血族以外の人が財産を取得した場合、原則として相続税額に20%を加算する制度があります。

兄弟姉妹は二親等の血族にあたるため、法定相続人であっても、この2割加算の対象になります。

先ほどの条件で試算すると、課税遺産総額を姉2人の法定相続分で分けた金額は、1人あたり24億7,900万円。

この金額に最高税率55%を適用し、税額控除7,200万円を差し引くと、1人あたりの税額は約12億9,145万円です。

2人分を合計すると約25億8,290万円。さらに2割加算すると、相続税の合計は約31億円になります。

あくまで単純な試算で、実際には財産評価や各種控除などによって金額は変わりますが、50億円の遺産に対して約31億円という数字は、決して非現実的な計算ではありません。

最高税率55%だけで考えていると、この2割加算を見落としてしまいます。


財産があっても、納税する現金があるとは限らない

私がもう一つ気になるのは、相続税を納めるための現金をどう用意するのか、という問題です。

50億円の財産があったとしても、そのすべてが預貯金というわけではありません。

不動産、株式、事業用資産、海外資産など、さまざまな形で保有している可能性があります。

相続税は原則として、相続開始を知った日の翌日から10か月以内に金銭で納付する必要があります。

不動産を多く所有していても、納税期限までに売却できなければ、現金の準備に苦労することも考えられます。

一定の要件を満たせば、分割して納める「延納」や、相続した財産そのもので納める「物納」という制度もあります。ただし、誰でも簡単に利用できるわけではありません。

つまり、財産をたくさん持っていることと、納税できる現金を持っていることは、必ずしも同じではないのです。


相続は「誰に残すか」まで考えておく

兄弟姉妹が相続人になるケースでは、税金以外にも注意したいことがあります。

例えば、兄弟姉妹には遺留分がありません。そのため、遺言書を作成しておけば、原則として自分の財産を誰にどのように残すか、希望を反映させやすくなります。

お世話になった人に財産を残したい、特定の団体に寄付したい、所有する不動産を特定の人に引き継ぎたい。そうした希望があるなら、生前に遺言書を準備しておくことが大切です。

また、不動産や株式など、すぐに現金化できない財産を多く所有している場合は、納税資金をどう確保するかも考えておく必要があります。


相続対策は、財産を持っている人だけの話ではない

不動産の仕事をしていると、相続に関するご相談をいただくことがあります。

「うちは大した財産がないから大丈夫」
「まだ元気だから、相続のことは先でいい」

そう思われる方も多いかもしれません。

しかし、相続は財産の多い少ないだけで決まるものではありません。誰が相続人になるのか、不動産をどう引き継ぐのか、納税資金をどう準備するのか。家族構成によって考えておくべきことは変わります。

今回のような大きな遺産の話は、一般の家庭には関係ないように感じるかもしれません。

でも、相続人が兄弟姉妹になることや、不動産を相続して現金が足りなくなることは、決して特別な話ではありません。

相続は、亡くなってから考えるのではなく、元気なうちに少しずつ準備しておくことが大切ですね。

「うちはどうなるんだろう?」

そんな小さな疑問を持ったときが、相続について考え始める良いタイミングなのかもしれません。


◻︎◻︎公認 不動産コンサルティングマスター 相続対策専門士
  https://www.retpc.jp/rcm/guidelines/specialist/

  国税庁 相続税額の2割加算
  https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4157.htm


【本日の一曲】
Jahari Massamba Unit – Pretty Eyes

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