さようなら、マルナカ観音寺店

~町の風景が、またひとつ変わる日~
先日、何とも寂しいニュースが飛び込んできました。
せとうち不動産の事務所からほど近い「マルナカ観音寺店」が、2025年7月16日をもって閉店するそうです。
観音寺にお住まいの方にはもうおなじみの場所。
1985年の開店以来、約40年――。
この町で暮らす多くの人たちにとって、毎日のように足を運んでいた場所であり、買い物という日常の中にごく自然に溶け込んでいた場所でした。
私自身、小さいころからよく通っていたお店のひとつです。
マルナカさんの建物は、観音寺駅からも比較的近く、ちょっとした買い物はもちろん、夕飯のおかずを買いに行ったり、お惣菜を手に取って「今日は何にしようかな?」と迷ったり。
そんな日常の風景が、思い返せばいくつもあります。
お店のすぐ隣には、あの「志満秀(しまひで)」さんの観音寺本店もあって、県外から来られたお客さまにお土産としてご案内したことも何度もありました。
また、お店と駐車場の間にある小さな祠(ほこら)も、なぜか心に残る存在です。子どものころからあそこにあるのが当たり前で、特に大人になっても気にとめることもなかったのですが、閉店と聞いて改めて思い返すと、あの祠もマルナカの風景の一部だったのだなと感じます。
閉店の理由は、建物の老朽化と、周辺環境の変化だそうです。
ここ数年、観音寺市内にも新しいスーパーやドラッグストアが次々とオープンしており、競争も激しくなってきました。車でのアクセスを前提とした郊外型の大型店舗も増え、価格競争も進んでいます。
けれど、だからといって「地元のスーパー」が不要かというと、そんなことはないと思うのです。
特にマルナカ観音寺店は、徒歩や自転車で来られる方がとても多かった印象があります。
高齢の方や、車を運転されない方にとっては、「毎日使う生活の足」と言ってもいいようなお店だったと思います。
私たちも、事務所からすぐの距離にあるこの店舗を何度も利用してきました。
ちょっと買い忘れたものを取りに行ったり、お昼ご飯をさっと調達したり。
暮らしに寄り添ってくれる、本当にありがたい存在でした。
閉店後は、近隣の系列店舗(たとえば、豊浜の店舗など)での利用を勧める案内も出ていますが、やはり“その場所にあったからこそ”の便利さ、安心感というものは、なかなか代えがたいものがありますよね。
このニュースが出てから、お客さまとの何気ない会話でも「マルナカなくなるんやねぇ」「不便になるなぁ」という声をたくさん耳にしました。
「長年お世話になったお店やし、寂しいなぁ」と、ぽつりと話してくださる方も。
私たちは不動産という仕事を通じて「暮らしの場」に関わらせてもらっていますが、こうして身近なお店や風景が消えていくたびに、その町の一部が失われるような、そんな不思議な感覚に包まれます。
地域の景色というのは、ただの建物の集まりではありません。
そこにどんなお店があって、どんな人が働いていて、どんなふうに人々が行き交っていたのか。
そうした“空気感”こそが、町をつくっているのだと思います。
閉店まであとわずか。
マルナカ観音寺店には、きっと最後のご挨拶に来られる方がたくさんいらっしゃることでしょう。
感謝の気持ちを伝える人、懐かしさに浸る人、名残惜しさに立ち尽くす人――
私もその一人として、この場所にお礼を言いに行こうと思っています。
ありがとう、マルナカ観音寺店さん。
私たちの暮らしを、ずっと支えてくれてありがとうございました。
【本日の一曲】
GoGo Penguin / Umbra