2025 08 23

街の紹介vol.6 三豊市編 昭和も、平成も、令和も、(江戸時代もw) 人気の鳥坂まんじゅう

香川県西部、瀬戸内の穏やかな海と讃岐山脈に囲まれた三豊市。
この街を語るとき、地元の人なら誰もが思い浮かべる名物があります。
それが「鳥坂まんじゅう(とっさかまんじゅう)」。

物心ついた頃から変わらずそこにある、懐かしくて、ちょっと特別なおやつ。
毎日食べたいわけじゃないけれど、ふと無性に恋しくなる瞬間があります。
車を走らせ、峠を越えるとき――。
その場所に行けば、きっとあの香りが待っている。


■ 鳥坂峠にある老舗のまんじゅう屋

鳥坂まんじゅうがあるのは、善通寺市と三豊市の境、国道11号線沿いの鳥坂峠(とっさかとうげ)
標高わずか69mの小さな峠ですが、その昔、鳥のように飛ばなければ越えられないほどの難所だったといわれ、この名が付いたそうです。

今は車でスイスイ通れるゆるやかな2車線道路ですが、峠のてっぺんに、江戸時代から続く一軒のお店がぽつんと佇んでいます。
それが、150年以上の歴史を持つ「鳥坂まんじゅう」さん。
昔は峠の茶屋として旅人を癒す場所であり、今では地元民から観光客まで、多くの人を惹きつける甘味処です。


■ 変わらないシンプルな姿と製法

お店に入ると、まず目に飛び込んでくるのは蒸し器から立ちのぼるもくもくの湯気。
厨房では職人さんが木の型を使い、手際よくまんじゅうを並べて蒸し上げています。
その光景は、まさに“昭和レトロ”そのもの。

そして、メニューは潔く一択。
まんじゅう、ただ一種類。
10個入り、15個入り、20個入りのセット販売もあるし、単品でも購入OK。(希望の個数で)
値段は10個で500円、15個で750円、20個で1000円と、とにかく計算しやすく良心的。(昔に比べると何度か値上げされたそうですが、それでもこの価格は嬉しい限り。)

包み方も昔ながら。
木の皮で包んだものを緑の包装紙で、さらに新聞紙でくるりと包む――。
「昭和のおみやげ屋さん」そのままのスタイルで、思わずニヤリとしてしまいます。


■ 味の秘密は“甘酒入りの皮”

いよいよ、ふっくら丸いまんじゅうとご対面。
直径4cmほどの小ぶりな酒まんじゅうで、見た目は素朴そのもの。
でも、一口かじると…これがクセになる味!

皮は、まんじゅう専用の自家製甘酒を練り込んで作られており、ほんのりと甘くて、蒸したてはふわっふわ。
中のこしあんは甘すぎず、絶妙な塩気がアクセントになっています。
このバランスが本当に見事で、「あと一個だけ…」が止まらなくなる魔力を持っています。


■ 個人的おすすめの食べ方

実は僕、蒸したてを食べるのはもちろん大好きなのですが、時間が経って皮がちょっと固くなった頃の鳥坂まんじゅうも推しなんです。
買ってすぐには食べきらず、あえて数時間置いてみる。
そうすると、違う食感が楽しめるんですよ。
ある意味、二度美味しい――。
鳥坂まんじゅうは「買ったら一気に食べず、時間を空けて味変」するのもアリです。
(出来立ての味が希望でしたら、水を垂らしてレンジでチンです)


■ ドライブと一緒に楽しみたい理由

お店のすぐ近くには、四国霊場第71番札所「弥谷寺」への入り口もあり、遍路道としても歴史の深い場所。
ドライブやツーリングで訪れる人も多く、国道11号を走っていると、つい寄りたくなるロケーションです。
しかも、香川西部を横断する国道沿いにあるので、善通寺や観音寺方面へのお出かけ途中の立ち寄りにもぴったり。

そして何より、あの湯気立つ光景と甘い香りは、車窓から見えるだけで「ちょっと買って帰ろうか」という気持ちにさせてくれます。


■ 幅広い世代に愛される“理由”

鳥坂まんじゅうがこれほど長く愛され続ける理由は、その変わらない味にあります。
時代が移り変わっても、昭和も、平成も、令和も、同じ場所で同じ味を守り続ける――それがどれだけ尊いことか。
便利で新しいものが次々と生まれる今だからこそ、こういう“変わらない安心感”に人は惹かれるのかもしれません。


■ 三豊市とセットで楽しむ旅プラン

最後に、三豊市を訪れるなら、ぜひ鳥坂まんじゅうをスタート地点に。
そのあと、瀬戸内海に沈む夕日で有名な「父母ヶ浜」や、紫雲出山の絶景もおすすめです。
甘いまんじゅうを頬張って、海と山の絶景に癒される――そんな一日を過ごせば、心もお腹も満たされること間違いなしです。


まとめ
「鳥坂まんじゅう」は、ただのおやつじゃない。
そこには、歴史と文化と、人々の思い出がぎゅっと詰まっています。
あなたも三豊市を訪れる際は、ぜひ立ち寄ってみてください。
一度食べれば、その素朴な甘さとふんわり食感の虜になるはずです。

【本日の一曲】
Tom Tom Club / Wordy Rappinghood