2025 08 28

夏休み特集⑥ 京都にある原生林「芦生の森」 大自然が息づく神秘の森を探訪

はじめに

今回ご紹介するのは、京都府北東部に広がる芦生(あしう)の森。ここは「京都大学芦生研究林」として管理される、日本でも数少ない原生的な森の一つです。

森の中には、ブナやミズナラの巨木、数百種類の植物、ツキノワグマやニホンジカなどの動物たちが暮らし、まさに「森の王国」。そして、京都市内から車で約2時間というアクセスの良さも魅力です。
この記事では、芦生の森の魅力、歴史、見どころ、そして訪れる際の注意点まで、徹底的にご紹介します!


芦生の森とは?—本州に残る貴重な自然の宝庫

芦生の森は、京都府南丹市美山町の北東部に位置し、総面積は約4,200ヘクタール。標高355mから959mにかけて広がる広大な山岳地帯で、由良川の源流域を含みます。

最大の特徴は、日本海型と太平洋型の気候帯が交わる場所にあること。この特異な条件により、暖温帯と冷温帯、両方の植物が混在する、非常に珍しい植生が見られます。

  • 木本類:273種
  • 草本類:654種
  • シダ植物:120種
    合計1,000種以上の植物が確認されており、その中には「氷河期の生き残り」とされる植物も!

さらに、ツキノワグマやカモシカ、ニホンザル、イノシシ、オオタカなど、大型哺乳類や猛禽類も生息。昆虫や爬虫類、両生類に至るまで、多様な生態系を支えています。


芦生研究林の歴史—100年以上続く森の保全

芦生の森が京都大学の研究林となったのは、大正10年(1921年)のこと。もともとは地域の共有林で、木材の伐採や炭焼きが行われていましたが、大学が地上権を設定して「芦生演習林」として管理を開始しました。

その後、伐採や林道開発なども行われましたが、昭和後期以降は天然林を保護する方針へと転換。現在では、天然林の伐採は行わず、持続的な森林管理と研究・教育活動が中心となっています。

平成28年には「京都丹波高原国定公園」に指定され、その価値はさらに高まりました。今も京都大学の学生実習や研究の場として利用されると同時に、自然体験のフィールドとしても注目されています。


見どころポイント—芦生の森で出会える景色と体験

1. 圧倒的な原生林の風景

標高600mを超えると、ブナやミズナラが優占する冷温帯林が広がります。新緑の季節には柔らかな緑のカーテン、秋には黄金色に染まる紅葉、冬には雪化粧と、四季折々の表情を楽しめます。

2. 豊かな生態系

  • ツキノワグマ:日本の森の象徴ともいえる存在。
  • オオサンショウウオ:特別天然記念物で、清流にひっそりと生息。
  • 希少なきのこ:例えば、準絶滅危惧種のミミブサタケや、かつて絶滅とされていたキイロスッポンタケが再発見されています。

3. 歴史ロマンあふれる「鯖街道」

芦生の森は、かつて京都と若狭を結ぶ重要な街道「鯖街道」の起点でもありました。日本海の鮮魚、とくに鯖が京都に運ばれたことからこの名が付きました。森を歩けば、古の人々の暮らしや文化の息吹を感じられます。


芦生の森を訪れるには—入林には許可が必要!

ここで注意!芦生の森は、誰でも自由に入れるわけではありません。森林保全のため、入林には京都大学への申請が必須です。

  • 一般利用者の場合:事前に「入林申請書」を提出する必要があります。
  • 教育・研究目的の場合:別途、詳細な手続きがあります。

また、冬季(12月~4月中旬)は入林禁止となります。積雪が深く、危険が伴うためです。


おすすめコース—初心者から健脚派まで

上谷コース(親子向け)

芦生の森を代表するコースで、由良川の源流部を目指します。天気が良ければ、日本海を望むことも可能!日帰りで十分楽しめるので、トレッキング初心者や親子にも人気です。

整備されたガイドツアー

「芦生もりびと協会」などが主催するガイドツアーでは、専門ガイドと一緒に歩けるので安心。植物や動物、森の歴史について学びながら散策できます。


訪れる前に知っておきたいこと

  • 服装と装備:長袖・長ズボン、滑りにくい靴は必須。夏でも涼しいので、防寒着もあると安心。
  • マナー:「ゴミは必ず持ち帰る」「動植物を採取しない」「指定ルートを外れない」—これが基本ルールです。
  • アクセス:京都市内から車で約2時間。公共交通機関の場合、JR日吉駅からバスで美山町へ、その後タクシーなどで移動が必要です。

芦生の森の未来を守るために

近年、シカの食害や気候変動によって森の荒廃が進んでいます。豊かな自然を次世代につなげるため、私たち一人ひとりの意識が重要です。
ガイドツアーへの参加や、森の保全活動を支援することで、この貴重な原生林を未来へ残すことができます。


まとめ

芦生の森は、京都にありながら本州でも希少な自然が残る、まさに「森の宝箱」。都会の喧騒を離れ、自然と歴史の奥深さを体感できる絶好のスポットです。
この夏休みは、芦生の森で心も体もリフレッシュしてみませんか?
訪れる際はルールを守り、森と共生する旅を楽しんでください。

■■出典:京都大学 京大の「実は!」Vol.30 「京都大学芦生研究林の実は!」
     https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/about/public/mm/jitsuha/150625

     京都美山ナビ 芦生研究林(芦生の森)
     https://miyamanavi.com/sightseeing/ashu-no-mori

     芦生もりびと協会 芦生の森とは
     https://ashiu-moribito.jp/about/

【本日の一曲】
Thelonious Monk / Solo Monk