2025 10 03

2025年版「世界の持続可能な観光地TOP100選」

四国から丸亀市・三豊市・黒潮町が選出!

四国から3地域が快挙達成 (香川県は2地域!!)

2025年、オランダに本部を置く国際的な認証団体 Green Destinations(グリーン・デスティネーションズ、以下GD) が発表した「世界の持続可能な観光地TOP100選」において、日本から10地域が選ばれました。そのうち実に3地域が四国から。

  • 香川県 丸亀市(2度目の選出)
  • 香川県 三豊市(初選出)
  • 高知県 黒潮町(初選出)

この結果は、四国の観光における持続可能性への取り組みが国際的に認められた証と言えます。特に、丸亀市は2023年に続いて2回目の受賞であり、継続的な活動の積み重ねが世界基準で高く評価されました。

小さな四国から3地域が同時に名を連ねたことは、「四国ブランドの確立」を目指してきた地域の努力が形になった瞬間でもあります。


「世界の持続可能な観光地TOP100選」とは

TOP100選は、国際認証機関であるGDが毎年発表する表彰制度です。観光による経済効果を重視するだけでなく、自然環境や文化的資源を守りながら地域を発展させるという観点で評価が行われます。

評価の流れは以下の二段階。

  1. アセスメントレポート
    GDが定める84の観光指標のうち、特に重要な30項目について評価。初年度は15項目、2年目以降は30項目が対象となります。評価軸は以下の4本柱です。
    • 持続可能なマネジメント
    • 社会経済的サステナビリティ
    • 文化的サステナビリティ
    • 環境へのサステナビリティ
  2. グッド・プラクティス・ストーリー
    地域での優良事例を「歴史文化」「自然環境保護」などの6カテゴリーで提出し、審査を受けます。

これらを通じて、単なる観光地の魅力ではなく、未来に残す観光のあり方が問われるのです。


丸亀市 ― 学びから始まる循環型観光

丸亀市は2023年に続き、2025年もTOP100選に選ばれました。評価されたのは、観光を通じて「学び」と「循環」を生み出す取り組みです。

学生と地域の連携

丸亀市は2022年、地域内外の観光関連事業者とともに横断型ワーキンググループを設立。地域の課題を洗い出し、学生と一緒に解決策を模索しました。

例えば、

  • 丸亀うちわの伝統産業を再解釈
  • 中津万象園を舞台にした文化体験プログラム
  • レモン農家との協働による食文化循環の可視化
  • レオマリゾートにおける食品ロス削減

これらを通じて「観光が学びの場になる」というユニークな循環型観光のモデルを構築。テーマパークでの食品ロス削減を観光客に学んでもらう取り組みは特に高く評価されました。

松永恭二市長は、

「この評価をいかに活用していくかを検討しながら、観光を切り口とした地域振興に一層取り組んでいきます」
とコメント。2度目の選出は、丸亀市の取り組みが一過性ではなく、持続的に深化していることを示しています。


三豊市 ― 父母ヶ浜から世界へ

香川県西部に位置する三豊市は、今回初めてTOP100選に選ばれました。その評価の中心となったのが、「日本のウユニ塩湖」と呼ばれる父母ヶ浜です。

25年以上続く清掃活動

父母ヶ浜は近年SNSで爆発的に人気を集めた観光地ですが、その背景には地元住民による地道な努力があります。実に25年以上にわたり、地域住民やボランティアが清掃活動を継続し、美しい砂浜を守ってきました。

単に「きれいな海岸」で終わらず、地域の人々の「守りたい」という気持ちが観光資源として昇華したことが、国際的に評価されたのです。

山下昭史市長は、

「さまざまな人の努力や(砂浜を)守ろうという気持ちがあったということを、世界に知ってもらうことはありがたい」
と語っています。

三豊市の受賞は、観光と環境保全が両立し得ることを示す好例といえるでしょう。


黒潮町 ― 高知から世界へ

高知県黒潮町も初のTOP100選入りを果たしました。太平洋に面した黒潮町は、クジラや海の恵みを生かした観光で知られますが、その取り組みは単なる観光資源の利用にとどまりません。

黒潮町は、地域の文化や自然環境を未来に残すべく、漁業資源の持続的活用や地域住民との協働を重視。今回の評価では、自然との共生を軸にした観光の在り方が高く評価されました。


「持続可能な観光」の意義

持続可能な観光とは、単なる「旅行を楽しむための場所づくり」ではなく、

  • 自然
  • 文化
  • 伝統
  • そこに暮らす人々

を守りながら発展していくことを意味します。

つまり、観光客の満足度と地域の未来が同時に守られる仕組みが求められるのです。

GDの評価基準が示すように、観光は「経済効果」だけでなく「社会」「文化」「環境」のバランスを考えなければなりません。今回の四国3地域の受賞は、この理念を体現した結果だといえるでしょう。


四国ブランドの確立に向けて

今回の快挙は、地域の努力だけでなく、「四国『持続可能な観光』推進ネットワーク」という広域的な取り組みの成果でもあります。自治体やDMO(観光地域づくり法人)が連携し、「四国ブランド」としての持続可能な観光を確立する動きが進んできました。

国際的な認知度の向上は、海外からの観光客誘致にも直結します。TOP100選の受賞ロゴの使用やGD公式サイトでの紹介は、丸亀市・三豊市・黒潮町を「世界が認めた観光地」として強力にアピールすることになるでしょう。


まとめ

2025年版「世界の持続可能な観光地TOP100選」に、四国から 丸亀市・三豊市・黒潮町 が選ばれました。

  • 丸亀市は、学びと循環を組み合わせた先進的な観光モデルが評価され、2度目の選出。
  • 三豊市は、父母ヶ浜を守る地域の努力が世界的に認められ、初の選出。
  • 黒潮町は、自然と共生する観光のあり方が評価され、同じく初の選出。

小さな四国から3地域が選ばれたことは大きな誇りであり、これからの「四国ブランド」を支える原動力となるでしょう。

持続可能な観光は、観光客の笑顔だけでなく、地域の未来を守る取り組み。今回の受賞をきっかけに、四国は「世界に誇れる観光地」としてますます注目を集めていくに違いありません。

【本日の一曲】
山中千尋 – Life Goes On