2025 10 04

10月の住宅ローン金利上昇のニュースを見て

10月に入り、Yahooニュースなどで「住宅ローン金利が上昇した」という報道を見かけるようになりました。長らく続いてきた低金利の流れに、ついに転機が訪れつつあるという印象を持つ方も多いでしょう。

たとえば、テレビ朝日の報道によれば、変動金利型の住宅ローンが1年前と比べて**“倍近い金利水準”**に跳ね上がるケースも出てきており、30代・40代の住宅ローン利用者を中心に不安の声が増えているとのことです。

このような状況下では、ローンをこれから組む人も、すでに組んでいる人も、金利変動のリスクをどう管理するかが極めて重要になります。

以下では、金利上昇の背景、変動 vs 固定の選択、四国(特に香川県)地域での影響、現実的な対応策などを順を追って考えていきます。


金利上昇の背景とメカニズム

インフレ・賃金上昇圧力と中央銀行政策

住宅ローン金利には、政策金利や長期金利(国債利回り)、物価・インフレ期待が大きく関わっています。日本国内でも近年、物価上昇圧力や賃金上昇の動きが散見されはじめており、金利を抑え続けるというか、金利を上げるべき時期が来ていることが分かります。

トランプ政権の関税政策が影響を及ぼし、金利を上げれない環境が生まれましたが、その動きは一時的で、現在は賃金上昇の流れが支えになり、再び金利上昇フェーズに入っているという見方が増えています。

実際、フラット35など住宅ローンの情報サイトでも、2025年4月以降、変動金利型・固定金利型ともに金利上昇の傾向が散見されており、貸し手側も金利リスクを織り込む動きを強めています。

また、米国の住宅ローン金利も5週間ぶりに上昇したという報道がされており、グローバルな金利上昇圧力も逆風材料となっています。

こうした背景が、10月に住宅ローン金利の上昇ニュースとして出てきた最前線と重なっていると考えられます。

変動型ローンが影響を受けやすい理由

変動金利型(半年固定)は、マーケット金利や政策金利の変動を直接的に受けます。金利が上がれば返済額にも跳ね返るという特性を持ちます。

そのため、変動型を選んでいる人ほど、金利上昇局面での影響をストレートに受けることになります。一方、固定金利や長期固定を選ぶと、変動リスクを抑えられますが、その分初期の金利水準が高くなるというトレードオフがあります。

この構造は、金利が低い時代には変動型の利便性が際立ちましたが、金利上昇時代が訪れるとリスクが浮き彫りになってしまうのです。


変動 vs 固定 ― どちらを選ぶか

金利選びはまさに「リスクとコスト」のバランスです。

香川県など四国地域では、10年以上の固定金利を選択する人が比較的多いという傾向があります。これは、変動リスクを回避し、安心感を優先する傾向が地域文化的に根づいているためだと思われます。

ただし、全期間の固定金利(35年固定のローンなど全期間を固定)を選んでいない方でも、当面は大きな混乱はない可能性があります。なぜなら、全期間の固定金利を選んでいない住宅ローンでも、固定期間の特約が終わるまでは金利変動の影響を受けないからです。ただし、その特約期間が終了し、再選択を迫られるタイミングで金利上昇の影響を強く受ける可能性があります。


四国・地方エリアでの課題:賃金上昇とのギャップ

金利が上がるというショックはいきなり訪れますが、地方ではもう一つ根深い課題があります。それは 賃金上昇がなかなか追いつかないということです。

都市部では企業の競争やインフレ圧力、労働力不足などが賃金を押し上げる力になりますが、地方・中山間地では産業規模も限られ、賃金上昇の余地が限られていることが多いのです。

つまり、金利が上昇したとしても、所得がそれに見合って上がらなければ、住宅ローン返済の負担が実質的に重くなる構図が生まれます。これは金利変動以前の構造的リスクと言えるでしょう。

こうした環境の中、地方に住む人々は返済期間を延ばす(たとえば 40年~50年ローン)などして返済額を薄く広げ、支払可能な形に調整するという工夫をするケースが現実的な選択肢として選ばれています。

しかし、返済期間を延ばすことには、利息総額が増える、完済年齢が後ろ倒しになる、金利上昇リスクを長く背負う可能性があるなどのデメリットもあります。


対応策と具体的選択のヒント

住宅ローン金利上昇時代において、借入者が取るべき対応策を以下に整理しておきます。

1. 金利見直し・借り換えの検討

変動型→固定型(または長期固定)への借り換えを検討する人が増えています。ただし、借り換えには諸費用(手数料・審査費用・登記費用など)がかかるため、総合コストとの比較が必須です。

また、物件の担保評価が下がっていたり、築年数が経過している建物では、銀行側が借り換えを拒否するケースも報じられています。

2. 繰上返済で元本を削る

金利が上がりそうなときには、余裕資金がある場合に繰上返済で元本を減らし、利息負担を抑える戦略も有効です。ただし、手元資金とのバランスには注意が必要です。

3. 返済期間を長くする

前述のように、返済期間を 40年・50年まで延ばすことで月々の返済額を抑える手法があります。ただし、利息総額が増えること、完済年齢が後ろにずれること、将来の金利上昇リスクを長期にわたって抱えることなどを念頭に置く必要があります。

4. 税制支援・制度改革を訴える

若年層の住宅ローン返済には、奨学金返済などの負担も重なる例が多くあります。そのため、「住宅ローン控除」ならぬ「奨学金控除」などの税制優遇の導入を求める声があります。国・自治体レベルでの制度設計の改善を訴えることも、個人ができるアプローチです。

5. 将来シミュレーションをしっかり行う

金利上昇シナリオを複数想定し、返済額、返済総額、返済期間、収支バランスなどを可視化しておくことが不可欠です。ローン契約前、契約期間中にも定期的にシミュレーションを見直す姿勢が重要です。


香川県・四国地域での現実と視点

香川県において、10年以上固定の住宅ローンを選ぶ人が多いという傾向があります。これは、変動金利の不確実性を避けたいという性向と、地域生活の安定志向が結びついたものと考えられます。

ただし、固定期間が切れる段階で再び金利を見直す必要があり、そのときの市場金利が高水準であれば、負担増のリスクが顕在化します。したがって、固定期間終了後の金利見通しも視野に入れて契約設計をしておくべきです。

また、四国地域では都市部に比べ賃金上昇が抑えられているという現実があります。そのため、金利上昇という外的ショックが、地方在住者にとっては相対的に重くのしかかる可能性があります。

こういう地域特性を踏まえると、単なる金利選びだけでなく、「地域水準の収入とのバランス」「家計余裕率」「将来見通し」を含めた総合的な判断が求められます。


まとめ:金利上昇時代にどう備えるか

10月に入って住宅ローン金利上昇のニュースが出てきたのは、低金利時代の終わりを意識させる動きとも言えます。賃金上昇の圧力と、金利上昇の圧力が拮抗しはじめたこの局面で、住宅ローンの選び方はこれまで以上に慎重さが求められます。

住宅ローンを組むというのは、「金融商品を選ぶ」という行為に等しいので、金融機関・ローン商品選び、不動産購入計画全体の資金計画などファイナンシャルプランナーがお答えしますので、お気軽にお声掛けください。

変動金利のメリット・リスク、固定金利の安心性とコスト、借り換えや繰上返済、返済期間の調整、税制支援の可能性――どれも一長一短があります。特に四国・香川県といった地域では、賃金上昇が限定的であることを踏まえ、将来的な金利負担を抑える設計をすることが肝要です。

最終的には、借り手自身が将来の予測を自分事として考え、変動・固定のバランスを取りながら、返済可能な家計設計をすることが最も重要です。金利上昇時代に向けて、堅実な住宅ローン選びを積み重ねていきましょう。

◻︎◻︎出典:Yahoo japan 「住宅ローン変動金利1年で倍に…マイホーム苦悩 30代40代の相談急増「どうなるか不安」
     https://news.yahoo.co.jp/articles/4507ae74431f7a80184beb294a8f80d3ce2251b0

【本日の一曲】
Alfa Mist – Roulette