2025 10 19

大谷翔平選手の原動力 ― 座右の書『運命を拓く』に込められた哲学

いやー、昨日の大谷翔平さんは本当に凄かったですね。
仕事の打ち合わせ前にニュースを見て、「先発登板で初回3者連続三振のあと、自ら先頭打者ホームラン!」という文字を目にしました。
これだけでも十分にニュースになる出来事なのに、その後の結果を見て、思わず声が出ました。

――投手として「7回途中まで無失点、10個の三振」
――打者として「3本のホームラン」

まさに“異次元”。
二刀流どころか、もう一人でチームを背負うような存在感。
野球を普段そこまで観ない僕のような人間にも、その偉業はすぐに伝わってきます。
「本当に凄い人」というのは、専門知識の有無を超えて人の心を動かすんだな、と改めて感じました。


彼の強さの根っこにある「心のあり方」

これだけ結果を出していても、常に謙虚で、淡々としているのが大谷選手のすごいところ。
試合後のインタビューでも、チームの仲間を立て、自分を誇らない。
その姿勢には、技術や才能を超えた「心の鍛え方」が感じられます。

そんな彼が座右の書として挙げているのが――
中村天風の『運命を拓く』 です。

「運命を拓く」は、実業家や経営者にも多くの愛読者がいる名著。
成功哲学や精神論の枠を超え、「どう生きるか」「心をどう整えるか」を説いた本です。
大谷選手は、メジャー挑戦の前から中村天風の思想に触れ、心の支えとしてきたといいます。


中村天風とは ―「心を整えることがすべての出発点」

中村天風(1876~1968)は、日本の思想家であり実業家。
若い頃は軍人として日露戦争に参加しましたが、結核を患い、余命わずかと宣告されます。
その後、インドのヨガ行者と出会い、心の持ち方ひとつで体も人生も変わることを悟り、
帰国後に「心身統一法」を提唱しました。

彼の教えの根幹はシンプルです。

「運命は心が拓く。心が曇れば運命も曇る。」

つまり、外の世界を変える前に、自分の“心の在り方”を整えること。
どんな困難な状況でも、心の状態が前向きであれば、人は再び立ち上がることができる――。

大谷選手がどんなに結果を出しても浮かれず、スランプに陥っても崩れない理由。
そこには、この「心の整え方」が根づいているのかもしれません。


“結果”よりも“心の姿勢”

中村天風の哲学には、次のような一節があります。

「人間の真の成功とは、いかなる境遇にあっても明るく生きることだ。」

大谷翔平選手を見ていると、まさにこの言葉を体現しているように感じます。
勝ったときも負けたときも、彼の表情はほとんど変わらない。
ホームランを打っても、無表情のままベースを一周する姿。
あれは、喜びを抑えているのではなく、**「感情に支配されない心の鍛錬」**なのだと思います。

結果を出す人ほど、そこに執着しない。
むしろ過程や準備を淡々と積み上げる。
そうした生き方が、「結果は後からついてくる」という信念を支えているのです。


「運命を拓く」は、スポーツ選手だけの本ではない

『運命を拓く』は、ビジネスや人生の指針として読む人も多い本です。
中村天風は「積極心」という言葉を使って、人間の生き方を語ります。

「どんなことも積極的に考えなさい。
消極的な心には、幸運も寄ってこない。」

この言葉、スポーツの世界だけでなく、私たちの日常にも通じるものがあります。

仕事でうまくいかないとき、人間関係で悩むとき、
「もうだめだ」と思うか、「ここから何かを学ぼう」と思うかで、その後の展開は大きく変わります。

同じ出来事でも、心の持ち方ひとつで世界の見え方が変わる。
大谷選手がバッターボックスに立つ姿は、まさにその“積極心”を体現しているように見えます。


大谷翔平という「静かな炎」

華やかなスター選手とは違い、大谷翔平選手には派手さがありません。
むしろ静かで、淡々としている。
でもその内側には、確固たる信念と、燃えるような意志が感じられます。

中村天風の教えの中で、もうひとつ印象的な言葉があります。

「心に炎を持て。ただし、その炎は静かに燃やせ。」

この言葉は、大谷選手そのものだと思います。
燃えているのに、決して燃え上がらない。
他人を圧倒することなく、自分の内側で静かに情熱を保ち続ける。
それが結果的に、あれほどの集中力とパフォーマンスにつながっているのではないでしょうか。


“野球”を超えて伝わるメッセージ

大谷選手のプレーを見ていると、単に「すごい」だけでは終わらない何かがあります。
彼の行動からは、どこか「生き方の指針」のようなものを感じる。

・どんなときも誠実に努力を重ねる
・チームやファンへの感謝を忘れない
・浮かれず、腐らず、自分を律する

この姿勢こそが、彼の本当の魅力だと思います。
そして、その根っこにあるのが『運命を拓く』に描かれた「心の哲学」なのでしょう。

スポーツの世界は結果がすべて、と言われます。
でも大谷選手を見ていると、「結果よりも生き方」が人を感動させるのだと気づかされます。


日常の中で、私たちにもできること

中村天風はこうも言っています。

「どんな状況であっても、まず“感謝”を探しなさい。」

失敗や苦境の中でも、「学びがあった」と思える人は、次のステージへ進める。
これは仕事でも、人間関係でも、まったく同じことです。

私たちはプロ野球選手のように観客の前で戦うわけではありませんが、
それぞれの仕事や生活の中で、“自分の舞台”を生きています。
大谷選手のように、日々の小さな積み重ねを淡々と続ける。
それが、どんな環境でも「自分らしく運命を拓く」第一歩なのかもしれません。


結びに ― 運命を拓くのは「自分の心」

昨日の試合後、ニュースを見ながら思いました。
あれだけの結果を出しても、彼はおごらず、笑顔でチームメイトとハイタッチしている。
「まだまだ通過点です」と語るその姿に、彼の哲学がすべて詰まっている気がしました。

大谷翔平選手のすごさは、記録や数字の凄さではなく、
**「どんなときも心を整え、前を向く強さ」**にあると思います。

それは中村天風が説いた「積極的な心」「明るい生き方」を、まさに現代で体現している姿。
そしてそれこそが、私たちが日常の中で見習うべき“生き方の美しさ”なのではないでしょうか。


「運命を拓く」とは、

努力の結果を信じ、どんな時も心を明るく保つこと。

大谷翔平選手の姿を見ていると、まさにその言葉の意味がよくわかります。
運命を拓くのは、他でもない“自分の心”なのです。

※余談ですが、「令和」の次は「大谷」で良いと思いますw

【本日の一曲】
Tony Allen Plays With Afrika 70 ‎- No Accommodation For Lagos