「置き配」って本当に安全?――防犯意識が問われる時代に考えたい宅配の新常識
皆さんは「置き配」、気になりませんか?
配達員さんの負担を減らし、受け取りの手間を省ける便利なサービスとして広がっている「置き配」。
不在時でも荷物を受け取れるという点ではとてもありがたい仕組みです。
しかし、その一方で「本当に安全なのか?」「トラブルが起きたときはどうなるの?」という不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
私自身、宅配ボックスを自宅に設置しており、比較的小さめの荷物であれば、鍵のかかる場所に保管してもらうようにしています。
ですが、それでも「建物外部に荷物を置いたまま」という状況には、やはり少し落ち着かないものを感じます。
最近では、宅配ボックスの設置を検討するご家庭も増えており、防犯と利便性の両立が求められる時代になっているようです。
■ 「置き配」は便利だけど… 盗難やトラブルのリスクも
「置き配」とは、玄関前やガスメーターボックス、物置の中など、あらかじめ指定した場所に荷物を置いてもらう配送方法です。
再配達を減らせることで配達員の負担を軽減でき、受取人にとっても「家にいなくても受け取れる」という利点があります。
しかし最近では、置き配中の荷物盗難トラブルが全国的に報告されています。
たとえば、玄関先に置かれた荷物を通行人がそのまま持ち去ってしまうケースや、置き場所を間違えられて紛失するトラブルも増えています。
国土交通省の調査では、2023年時点で「置き配を利用したことがある」と答えた人は全体の約40%に上りましたが、そのうち**「不安を感じたことがある」人は7割近く**にのぼっています。
この数字からも、「便利さ」と「不安」は常に表裏一体であることがうかがえます。
■ 防犯意識が高まるなか、「置き配」に不安67%
そんな中、パナソニックが2025年に実施した「全国防犯意識調査2025」では、**置き配に不安を感じる人が67%**に達したことが話題になりました。
調査は全国の20〜69歳の男女4,700人を対象に行われたもの。
「自宅で防犯対策を講じたきっかけ」を尋ねたところ、**「犯罪や事件などのニュースを見て怖くなったから」**という回答が82.3%と圧倒的多数を占めました。
ニュースを通じて犯罪が身近に感じられるようになり、自然と防犯意識が高まっている様子がうかがえます。
また、全国の62.3%が「これって詐欺かも」と感じた経験があると回答しており、詐欺の手口としては「電話」や「スマホのショートメッセージ」が上位。
つまり、私たちの生活のすぐそば――連絡手段や日常のやりとりの中に、すでにリスクが潜んでいるという現実があるのです。
防犯対策の実施状況については、「しっかり対策をしている」「少し対策をしている」を合わせると69.2%に達し、全国の約7割が何らかの防犯対策を行っているという結果に。
一方で、対策をしていない人の理由としては、「どんな対策をしてよいのかわからない」が52.2%で最多、次いで「費用がかかる」が45.7%となりました。
知識不足とコストが、防犯への一歩を踏み出せない理由になっているのです。
■ 「宅配ボックス設置」が増える理由
こうした背景の中で注目されているのが、宅配ボックスの設置です。
宅配ボックスのメリットは単に「不在でも受け取れる」という便利さだけではありません。
一番の利点は、荷物を外部の目に触れさせないという点です。
たとえ留守でも、鍵のかかるボックス内に荷物を入れてもらえれば、盗難や悪戯の心配が大幅に減ります。
私の家でも、1日に1個程度までの荷物であれば宅配ボックスを活用しています。
小さなものでもきちんと施錠されるだけで、精神的な安心感が全く違います。
特に共働き家庭や一人暮らしの方にとって、再配達の手間を省きつつ防犯性も確保できるというのは非常に大きなメリットです。
また、最近の製品はデザイン性にも優れており、玄関まわりの景観を損なわず設置できるのも嬉しいポイントです。
■ 「置き配トラブル」は誰の責任になるのか?
とはいえ、置き配に関するトラブルが発生した場合、責任の所在が曖昧になりやすいのも事実です。
たとえば、配達完了の通知が届いているのに荷物が見つからない場合、
「配達員が誤って別の家に置いたのか」「第三者に盗まれたのか」「そもそも配送されていなかったのか」――。
こうしたケースでは、配達業者・通販サイト・購入者のいずれが補償を行うかを巡ってトラブルになることもあります。
ヤマト運輸や日本郵便など大手では、置き配指定時の盗難補償を明記していますが、
「置き配=自己責任」として補償対象外とするケースも少なくありません。
一方、Amazonなどの大手通販サイトでは一定条件下で補償を受けられる制度もあり、利用サービスによって大きく異なります。
利用者としては、サービス利用前に「盗難時の補償規定」を確認しておくことが大切です。
■ 「便利さ」よりも「安心」を優先する時代へ
再配達の削減は、物流業界にとっても社会全体にとっても大きな課題です。
環境負荷の軽減や労働環境の改善を考えると、「置き配」の普及は一定の意義があります。
しかしその一方で、「安心して暮らせる社会づくり」という観点からは、
セキュリティを軽視した利便性の追求には慎重さが求められます。
つまり、これからの時代に求められるのは、
「ただ便利な配送方法」ではなく、
“防犯と共存できる宅配システム” です。
たとえば、スマート宅配ボックスや、配達完了時に映像で確認できるAIカメラ付きのシステムなど、
テクノロジーを活用した安全性の高い仕組みが今後さらに広がっていくでしょう。
■ まとめ:「置き配」は新時代の宅配スタイル。でも“安心”があってこそ。
便利なサービスほど、無意識にリスクが隠れているもの。
「置き配」は、これからも進化し続ける宅配スタイルのひとつですが、
最終的には “利用する私たちの意識” が安全を守る鍵になります。
防犯対策を「自分には関係ない」と思わず、
できる範囲から「宅配ボックスを設置する」「防犯カメラを設置する」「盗難補償を確認する」といった小さな行動を積み重ねることが大切です。
安心して荷物を受け取れる環境を整えることは、
結局のところ「自分の暮らしを守る」ことにつながります。
■ せとうち不動産からのひとこと
せとうち不動産では、宅配ボックスの設置を含む防犯性の高い住まいづくりのご相談も承っております。
住宅の設計段階から「暮らしの安全」を考えることで、長期的に安心できる住まいを実現できます。
これからお家づくりを検討される方、既存の住まいを見直したい方は、ぜひ一度ご相談ください。
【本日の一曲】
Sad Lovers And Giants – Lost in A Moment