2026 01 17

お金を考える

「日銀が政策金利を引き上げ、30年ぶりの高水準に」そんなニュースが流れる今日この頃。
物価は上がり、円の価値は揺れ、貯金しているだけでは不安が消えない。改めて「お金」について考えさせられる一冊の BRUTUS No.1046「お金、はじめる。」


特集タイトルは、どこか軽やかで、それでいて覚悟を感じさせる言葉。

貯めるだけじゃない、使って、増やして、動かして。
2026年にこのテーマを掲げてきたのは、とても象徴的に感じた。


お金は、その人の人生を映す鏡

この号の冒頭に書かれている言葉が、とても印象的。

お金の稼ぎ方や使い方って、その人の時間の使い方や考え方を表して、人生をまるで鏡のように映し出す。

たしかに、お金は単なる「数字」や「道具」ではない。
どこに時間を使い、何を大切にし、どんな未来を描いているかが、そのまま表れてしまう存在。

忙しさに流されて使ったお金。
不安から貯め込んだお金。
誰かのために、思い切って使ったお金。

振り返ってみると、お金の履歴は、そのまま自分の生き方の履歴でもある。


「お金のセンス」とは、増やす技術ではない

今回の特集で一貫して語られているのは、
「お金のセンス=投資がうまいこと」ではない、という視点だ。

むしろ、

  • 自分にとって十分な豊かさを知っている
  • お金を目的化しない
  • お金を通じて、人生をどうデザインするかを考えている

そんな姿勢こそが、「お金のセンス」なのだと。

特集では、さまざまなジャンルで活躍する人たちが登場する。
彼らの共通点は、派手な成功談よりも、「自分なりの軸」をしっかり持っていることだった。


「賢者のお金哲学。」――みうらじゅん×服部昌孝

特に印象的だったのが、「賢者のお金哲学。」の章。
登場するのは、イラストレーターなどで知られるみうらじゅんさんと、スタイリストの服部昌孝さん など。

この二人の話から感じたのは、「お金を増やすために仕事をしているわけではない」という一貫した姿勢だ。

面白いと思ったことを続ける。
違和感を大切にする。
流行や効率よりも、自分の感覚を信じる。

結果としてお金は後からついてくるけれど、決して先頭には置かない。
この距離感こそが、長く活動を続ける秘訣なのかもしれない。


「お金のセンスがいい友。」という問いの鋭さ

リレー形式で続いていく「お金のセンスがいい友。」という企画も秀逸だ。

「あなたにとって、お金のセンスがいい人とは誰ですか?」

この問い、意外と答えるのが難しい。
年収が高い人?投資で成功している人?それとも堅実な人?

登場するクリエイターたちの答えは実に多様で、
共通しているのは「その人らしく生きているかどうか」という点だった。

お金を持っているかどうかよりも、
お金に振り回されていないかどうか。

この視点は、今の時代だからこそ、より重みを持つ。


なぜ、人は「お金」を描くのか

漫画家・ひうらさとるさんと、現代美術家・青山悟さんによる
「なぜ、お金を描くのか。」という対談も。

お金は誰にとっても身近で、同時にタブーにもなりやすいテーマ。
それをあえて作品として描くことで、社会の歪みや人間の欲望が浮き彫りになる。

お金はきれいなものでも、汚いものでもない。
ただ、人の本音を強烈に映し出してしまう存在なのだ。


マネーインフルエンサーたちの「一問即答」

近年注目を集めるマネーインフルエンサー8名による
「一問即答!私のお金観。」も、テンポよく読めて面白い。

エミン・ユルマズさん、テスタさん、馬渕磨理子さんなど、
それぞれ立場も考え方も異なるが、共通しているのは冷静さだ。

不安を煽らない。
過度な成功幻想を語らない。
長期的な視点を忘れない。

これは、情報が溢れすぎた今の時代において、とても大切な態度だと思う。


前澤友作さんが語る「お金の先」

そして、この特集の一つの象徴とも言えるのが
前澤友作さんへのインタビューだろう。

「株配り」という一見奇抜な取り組みの先に、彼が見ているもの。
それは、お金そのものではなく、「仕組み」や「循環」だった。

お金は持つことよりも、どう流すか。
個人が豊かになるだけでなく、社会にどう還元できるか。

この視点は、これからの資本主義を考える上でも重要だ。


金利が上がる時代に、「お金をはじめる」

日銀の金利引き上げというニュースは、
単なる経済の話ではなく、私たち一人ひとりの生活に直結している。

住宅ローン、預金、投資、老後。
「今まで通り」で済まない時代が、静かに始まっている。

だからこそ、「お金、はじめる。」という言葉が刺さる。

それは、
投資を始めよう、という意味だけではない。
お金について考えることを、後回しにしない、という宣言なのだと思う。


お金観は、一度作ったら終わりじゃない

この特集を読んで一番感じたのは、
お金観は更新していいし、更新すべきものだということ。

20代の頃のお金観。
家族を持った後のお金観。
老後を意識し始めた時のお金観。

人生のフェーズが変われば、お金との付き合い方も変わって当然だ。

大切なのは、「今の自分」に合ったお金観を持てているかどうか。


おわりに――今年は、お金とちゃんと向き合う

2026年のはじまりに、このBRUTUSを手に取れてよかったと思う。

不安を煽られるでもなく、
成功を押し付けられるでもなく、
静かに、しかし確実に「考えるきっかけ」をくれる一冊だった。

お金を怖がりすぎず、
でも軽く扱いすぎず。

今年は、お金ともう少し丁寧に向き合ってみようと思う。

「お金、はじめる。」
それはきっと、人生を見つめ直すことと、ほとんど同義なのだから。

◻︎◻︎BRUTUS No.1046「お金、はじめる。」
  https://brutus.jp/magazine/issue/1046/

【本日の一曲】
Jill Scott – Pressha

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