木材には「JASマーク」―住まいの安心を支える見えない基準とは
家づくりを考えるとき、多くの方が気にするのは間取りやデザイン、設備の性能ではないでしょうか。しかし、本当に大切なのは「建物を支える材料の品質」です。とくに木造住宅では、構造に使われる木材の品質が住まいの安全性や耐久性に大きく関わってきます。
その木材の品質を見極める大きな目安となるのが、「JASマーク」です。今回は、住宅に関わるJASとJISという規格の違い、そして木材におけるJASの重要性について解説します。
JISとJASの違いとは?
まず、住宅に関係する代表的な規格として「JIS」と「JAS」があります。
JIS(日本産業規格)とは
JIS(ジス)は、日本産業規格(Japanese Industrial Standards)の略称です。1949年に制定された産業標準化法に基づき、工業製品やサービスなどの品質や寸法、性能などを標準化するための規格です。
例えば、蛍光灯のサイズや電圧、ネジの規格などはJISで定められています。こうした規格があることで、メーカーが違っても同じ製品を安心して使うことができます。
建築分野では、次のような材料がJIS規格の対象です。
- コンクリートやモルタルの材料
- 窓ガラス
- 屋根材
- 外装材
- 断熱材
- 下地ボードなど
つまり、主に「工業製品」に対する品質基準がJISです。
JAS(日本農林規格)とは
一方、JAS(ジャス)は日本農林規格(Japanese Agricultural Standard)の略称で、1950年に制定されたJAS法に基づく規格です。
こちらは農林水産物やその加工品の品質を保証するための制度で、住宅分野では主に「木質建材」が対象となります。
具体的には次のようなものです。
- 製材(柱・梁など)
- 集成材
- 合板
- フローリング
- 畳表 など
これらの製品は、JAS規格に合格した場合のみ「JASマーク」を表示して出荷・販売することが認められています。
なぜ木材にはJASマークが必要なのか
木材は、鉄やコンクリートと違い「自然素材」です。
同じ樹種、同じ寸法であっても、
- 産地
- 気候
- 成長環境
によって、強度や含水率などにばらつきが生じます。
そのため、品質が明確でない木材を構造に使用すると、
- 強度不足
- 変形や割れ
- 長期的な耐久性の低下
といったリスクが生じる可能性があります。
そこでJAS規格では、木材を厳格な基準で分類し、
- 強度
- 含水率
- 寸法精度
- 等級
などを明確に表示することで、安心して使える木材として流通させています。
JAS構造材のメリット
JAS規格に適合した木材は「JAS構造材」と呼ばれ、建築分野では多くのメリットがあります。
① 構造計算が可能
JAS構造材では、樹種や等級ごとにヤング係数(弾性係数)が定められています。
また、国土交通省の告示で「木材の基準強度」が設定されており、これらの数値をもとに構造計算が可能です。
つまり、「どれくらいの強さがある木材か」が数値で明確になっているのです。
② 含水率が管理されている
木材は水分量によって、
- 収縮
- 反り
- 割れ
などの変形が起こります。
JAS規格では、用途ごとに含水率の基準が定められており、表示された数値以下の品質が保証されています。これにより、施工後の変形リスクを抑えることができます。
③ 寸法精度が明確
JASでは、表示寸法と実寸の誤差範囲も規定されています。
そのため、現場での加工や組み立てがスムーズに進み、施工精度の向上にもつながります。
④ 燃え代設計に対応できる
JAS構造材は、準耐火構造などで採用される「燃え代設計」にも対応可能です。
これは、火災時に表面が燃えても内部の構造強度を保つ設計方法で、木造建築の安全性向上に寄与します。
⑤ 安定した品質の確保
JAS認証を受けた製材工場や事業者だけが、JAS製品を製造できます。
そのため、入手場所が違っても同じ規格・同じ品質の木材を確保できるという大きなメリットがあります。
集成材もJAS規格
近年、住宅で多く使われている「集成材」もJAS規格の対象です。
集成材は、
- 木材を一定サイズに切断
- 乾燥させる
- 節や割れなどの欠点を除去
- 接着剤で貼り合わせる
という工程で作られます。
天然木の欠点を取り除き、良い部分だけを組み合わせて作るため、
- 強度が安定している
- 反りや割れが少ない
- 大断面の部材が作れる
といった特徴があります。
このような性能も、JAS規格によって品質が保証されています。
JAS材は「森の循環」にも貢献
JAS制度は単に品質を保証するだけではありません。
適切に木材を使うことは、森林の健全な循環にもつながります。
森林は、
- 伐る
- 使う
- 植える
- 育てる
というサイクルを繰り返すことで、健全な状態が保たれます。
木材を適切に利用することは、森林資源の維持や環境保全にも貢献する行為なのです。
住宅選びで「見えない部分」をどう判断するか
住宅は完成してしまうと、構造部分はほとんど見えません。
しかし、家の寿命や安全性を左右するのは、まさにその「見えない部分」です。
その品質を判断する一つの目安が、
- JASマーク付きの木材
- JIS規格の建材
といった「規格に基づく材料」が使われているかどうかです。
見た目や設備だけでなく、こうした基準を満たした材料で建てられているかを確認することが、安心できる住まい選びにつながります。
まとめ
木造住宅において、木材の品質は住まいの安全性を支える重要な要素です。
- 工業製品の品質基準が「JIS」
- 木材など農林製品の品質基準が「JAS」
- JASマーク付き木材は強度や含水率などが明確
- 構造計算にも使用できる信頼性の高い材料
という点が、大きな特徴です。
住宅を検討する際は、間取りや価格だけでなく、「どんな材料が使われているか」にも目を向けてみてください。
その一つの目安が、木材に付いている「JASマーク」です。
見えない部分にこそ、住まいの本当の価値が隠れているのです。
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