アメリカで爆売れ中!TOTOウォシュレットの快進撃

日本人にとって当たり前の存在となっているTOTOの温水洗浄便座「ウォシュレット」。その快適さと高い衛生機能が、いまや海を越えてアメリカでも大きな注目を集めています。コロナ禍でのトイレットペーパー不足を背景や映画『パーフェクト・デイ』の影響に、日本の“お尻を洗う文化”がアメリカの家庭にもじわじわと浸透し始めているのです。
コロナ禍が変えたアメリカ人の意識
ウォシュレットの米国での売上が急増したのは2020年、コロナ禍の影響によるトイレットペーパーの品薄がきっかけでした。30年以上もアメリカ市場で地道にプロモーションを行ってきたTOTOは、この危機をチャンスに変え、前年の2倍以上の売上を記録。LIXILも同様に大幅増となり、温水洗浄便座が“必需品”として見直される流れが生まれました。
トイレットペーパーでは取りきれない雑菌への懸念や、水で洗う方が衛生的で環境にも優しいという認識が広まり、アメリカの医療専門家やメディアもウォシュレットを推奨するようになっています。
映画がきっかけ?日本のトイレ文化が脚光を浴びる
2023年、アカデミー賞にノミネートされた映画『パーフェクト・デイズ』は、渋谷の公共トイレ清掃員の日常を描いた異色の作品。作品に登場する独創的なデザインのトイレは、「THE TOKYO TOILET」プロジェクトの一環として設計され、TOTOがその機器提供やレイアウト設計を担当しました。
映画の影響で日本の公共トイレが“聖地”として観光スポット化し、その美しさと機能性の象徴ともいえるTOTOのウォシュレットが再び注目されています。
セレブも虜に!SNSが広げる“魔法の日本製トイレ”
アメリカのセレブリティたちの間でも、ウォシュレットのファンは急増中。マドンナやレオナルド・ディカプリオに始まり、ラッパーのドレイクはDJキャレドにTOTO製品を4台もプレゼント。Netflix番組でコメディアンのアリ・ウォンが「魔法の日本製トイレ」と紹介すれば、SNSを通じてあっという間に話題に。
現在ではリフォーム市場でも、家庭の約4割がビデ機能付きトイレを選ぶまでに拡大し、TOTOのアメリカ事業は過去5年で利益が8倍にも膨らみました。
文化の壁を越える挑戦
それでも、欧米には長年の“文化的障壁”がありました。バスルームに電源がない設計や、ビデ文化への抵抗感、インテリア重視の風潮などが、ウォシュレットの普及を難しくしてきました。
さらに、アメリカ進出当初は広告出稿を断られたり、タイムズスクエアに出した広告が物議を醸すなど、TOTOは多くの苦難を乗り越えてきました。1980年の初代ウォシュレット発売から、最初の1000万台を売るまでに18年。それでも改良を重ね、今では累計6000万台を突破しています。
未来への展望
ウォシュレットのアメリカ市場でのシェアはまだ全体の2.5%にとどまりますが、TOTOは2027年までに販売台数を倍増させる目標を掲げています。懸念されるのは貿易政策による関税の影響ですが、田村真也社長は「アメリカは最大の成長市場」と意気込みを語ります。
「もう一度、タイムズスクエアに広告を出したい」というのが、田村社長のささやかな夢。ウォシュレットがアメリカの“新たな常識”になる日は、もうすぐそこかもしれません。
■■出典:TOTO
【本日の一曲】
Lou Reed / Paranola Key of E