2026 11 07

なぜ最近の家には「軒(のき)」がない? 昔の家と今の家、屋根の形が変わった理由

新しい分譲地を歩いていると、屋根が外壁からほとんど突き出していない、四角い箱のような家をよく見かけます。

一方、少し古い住宅街に入ると、昭和に建てられた家の屋根は壁の外まで大きく張り出しています。

この屋根の張り出した部分を「軒(のき)」といいます。

昔の日本の住宅では当たり前のようにあった軒ですが、最近の住宅ではずいぶん少なくなりました。

なぜ、家の軒は短くなったのでしょうか?

実は、そこには建築費用やデザインの流行だけでなく、屋根の形や住宅の性能の変化も関係しています。


そもそも軒にはどんな役割がある?

軒の大切な役割は、雨や日差しから建物を守ることです。

屋根が外壁よりも外側に出ていることで、雨が壁に直接当たりにくくなります。特に、風の弱い雨が長く降る梅雨や秋雨の時期には、外壁の上部が濡れるのを抑えてくれます。

また、夏の強い日差しを遮る役割もあります。

夏は太陽の位置が高いため、軒があれば窓に直射日光が入りにくくなります。反対に、冬は太陽の位置が低くなるので、日差しを室内に取り込みやすくなります。

つまり軒は、雨を防ぐだけでなく、季節に応じて日差しを調整する自然の装置でもあったわけです。





なぜ軒のない家が増えたのか?

大きな理由は、敷地条件と建築コスト、そしてデザインの変化です。

都市部の狭い敷地では、隣地との距離や北側斜線制限などの関係で、屋根の端の高さが制限されることがあります。軒を出すことで建物の設計に制約が生まれるため、軒を短くする選択が出てきます。

ただし、軒が出ている部分がすべて建築面積に算入されるわけではありません。一般的には、外壁から1mを超えて出た部分について、超えた分が建築面積に算入されます。軒をなくせば必ず室内を広くできる、という単純な話ではないんですね。

そして、もうひとつ大きいのが屋根の形の変化です。

昔は四方向に屋根が下がる「寄棟屋根」が多く見られましたが、最近は一方向に傾斜する「片流れ屋根」が増えています。

片流れ屋根は、すっきりとした外観に仕上げやすく、南向きの大きな屋根面を確保できるため、太陽光パネルとの相性も良い形です。

さらに、軒を出すと屋根材や下地材、軒裏の施工などが必要になり、その分費用もかかります。

シンプルな外観が好まれるようになったことも重なり、軒の短い住宅が増えてきたと考えられます。


軒がなくても大丈夫? 気をつけたいこと

では、軒がなくなったことで、家は雨や日差しに弱くなってしまったのでしょうか。

もちろん、現在の住宅は昔と比べて性能が向上しています。

アルミサッシなどの普及によって窓の耐久性や気密性が高まり、外壁の内側には防水シートや通気層が設けられるようになりました。壁の中に入った水分を排出し、建物を守る仕組みも整っています。

夏の日差しについても、エアコンや窓の性能、日よけなどで対応できるようになりました。

ただし、軒がなくなることで雨が直接当たりやすくなる場所があります。

特に注意したいのが、屋根と外壁の継ぎ目、窓の周囲、換気口などの部分です。

軒がある家では屋根と壁の接合部分が軒の陰に隠れていましたが、軒のない家では雨が直接当たりやすくなります。

そのため、防水処理や施工の正確さがより重要になります。外壁のシーリング材のひび割れや剥がれ、室内の天井・壁のシミなどにも気を配りたいところです。

軒のない家が必ず雨漏りするわけではありませんが、定期的な点検と適切なメンテナンスは欠かせません。


香川県ではどう考える?

香川県の場合、都市部と比べると敷地にゆとりがあり、隣地との距離をしっかり確保できるケースが多いです。

また、北側斜線制限が適用される地域も限られています。そのため、軒を短くする理由が、必ずしも敷地の狭さや法規制だけとはいえないでしょう。

太陽光パネルを設置する住宅では、南側から北側に向かって屋根が高くなる片流れ屋根もよく見られます。こうした屋根の形や、建築費用、デザインの好みなどが複合的に影響していると考えられます。


これから家を建てるなら、軒にも注目してみよう

軒のない家には、建築費用を抑えやすい、すっきりとした外観にできるといったメリットがあります。

一方で、雨や紫外線が外壁に直接当たりやすく、屋根と壁の継ぎ目などの防水性能が重要になります。

大切なのは、軒があるか、ないかだけで住宅の良し悪しを判断しないことです。

軒の長さや屋根の形、窓の位置、日差しの入り方、外壁の防水・通気の仕組みまで含めて考える必要があります。

昔の家では、深い軒が雨の日の暮らしを守ってくれていました。

今の家では、その役割を窓や壁の構造、設備、そして施工技術が引き継いでいます。

次に新しい分譲地を歩く機会があれば、ぜひ屋根の端を見上げてみてください。

昔の家と今の家を比べてみると、住宅のデザインだけでなく、家づくりそのものが時代とともに変わってきたことが見えてくるかもしれません。


◻︎◻︎at home 軒のない家は10年後どうなる?メリット・デメリットや対策法を紹介
  https://www.athome.co.jp/contents/custom/build-design/without-eaves/


【本日の一曲】
Justice – Flower In A Hurricane (ft Tame Impala, SZA, King Gizzard & the Lizard Wizard) [from GTAVI]

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