「家を買う」って、実は「その周りも買う」ってこと

家を買おうかな、と考えはじめたとき、ついつい目が向いてしまうのは「どんな家に住みたいか?」ということですよね。
たとえば、
- 広くて天井の高いリビングがある家がいいな、とか
- お風呂から海が見えたら最高だな、とか
- ガレージ付きの平屋に憧れるな、とか
それぞれの「理想の家」って、描き出すだけでもなんだかワクワクします。人生のなかでもそう何度もない、大きな買い物ですから、理想を語るのも当然です。
でも、不動産というのは“動かせないモノ”なので、家そのものの条件だけで判断してしまうと、あとあと「こんなはずじゃなかったのに……」ということが意外と起きたりします。
だから今日は、「家と、その周りのこと」というテーマで少しお話してみたいと思います。
家は家だけで成り立たない
どんなに完璧な間取りで、日当たりもよく、築年数も浅い理想の家が見つかったとしても、その“家の周り”が自分の暮らしに合っていなければ、だんだんと違和感が出てくることがあります。
たとえばその家が、すごく素敵な場所に建っていたとしても、お隣さんが年中ゴミを外に溜めていたり、大きな音を出すような人だったらどうでしょう。
たぶん、最初は気にならないと思っていたことも、暮らしていくうちに確実にストレスになります。
逆に、そこまで新しくもなく、いわゆる“普通”の家でも、お隣さんが親切な方だったり、地域の人たちと適度な距離感で挨拶が交わせるような町だったら、「なんだかここで暮らせてよかったな」と思えるようになるかもしれません。
家って、単体で存在しているように見えて、実はまわりとの関係性のなかで価値が変わっていくものなんです。
「どこに建っているか」が家の価値を決める
不動産業界ではよく、「不動産は環境を買う」と言われます。これはつまり、「家だけではなく、どんな環境にあるのかを含めてその家の価値が決まる」という意味です。
たとえば、同じような間取り・築年数・価格の家でも、Aという地域とBという地域では、全く価値の感じ方が違ってきます。
Aは駅から徒歩5分で、通勤通学に便利。周辺にはスーパーや小児科があって、子育て世帯が多く住んでいる。
Bは自然が多く静かだけど、車がないと生活が難しく、夜は街灯も少ない。
どちらがいい・悪いではありません。大事なのは、自分や家族のライフスタイルにとって、どんな環境が“心地よい”かです。
駅までの道のりに商店街があるほうが好きな人もいれば、静かに歩ける田舎道が好きな人もいます。日々の買い物が徒歩圏内にあると便利だと感じる人もいれば、車でまとめ買いするスタイルが合っている人もいます。
つまり、「家+その周辺」がワンセットで、はじめて“暮らし”が見えてくるんですよね。
「周辺環境チェックリスト」作ってみる?
もし家を買うことを具体的に考え始めたら、物件の内見に行くときは、家そのものを見るだけでなく、ぜひその周りもぐるっと歩いてみてください。
以下のようなチェック項目を自分で作っておくと、客観的に見やすくなります。
- 駅やバス停までの距離・道の雰囲気は?
- 周囲の家並みはきれい?
- ご近所の音やにおいは気にならない?
- 夜になっても明るさは確保されている?
- コンビニやスーパー、病院、学校はどれくらいの距離?
- 自転車でどこまで行ける?(動線の確認)
- 地域のコミュニティの雰囲気はどう?(掲示板や回覧板などもチェック)
家探しって「間取り図」と「価格」だけで選びがちですが、実際に暮らし始めたら、間取りよりも日々のルーティンや周辺との関係性のほうが重要になってくるものです。
家探しの基本は、「家+そのまわり」
家選びって、どこかロマンチックな響きもあります。でもそれは同時に「どんな暮らしを送りたいか」を具体的に描く、いわば“現実の計画”でもあります。
だから、見た目の良さや設備の豪華さに心を奪われすぎず、自分と家族が日常を過ごす“まわりの環境”にも、しっかり目を向けてください。
「この家に住みたい!」と思ったら、ぜひ一歩外に出て、通りや街の空気を感じてみてください。
買うべきは、家だけじゃなくて、そのまわり全部なんです。
おまけ:そんなこと言ってる僕の理想の家
ちなみに私が将来住みたい家は、商店まで徒歩で行ける距離で、朝は鳥の声、夜は虫の音が聞こえるような場所にある平屋。ご近所さんとは適度に距離をとりつつ、顔を合わせたら「おはようございます」って言えるくらいの関係性。
家の中も大事だけど、やっぱり「暮らしやすいってなんだろう?」って考えたとき、最終的には“どんな人たちとどんな場所で暮らすか”ってところに行きつく気がしています。
「家+その周辺」――これから家を探すみなさんも、ぜひこのキーワードを頭の片隅に置いてみてくださいね。
【本日の一曲】
Hiroko Yamamura / live from Slingshot Festival, North Carolina. – Boiler Room