香川県の空き家問題と対策―現状・課題・解決策

はじめに
全国的に社会問題となっている「空き家」。少子高齢化や人口減少が進む中、香川県でもこの問題は深刻化しています。特に放置された空き家は、景観や治安の悪化、資産価値の低下など、多くのリスクを地域にもたらします。本記事では、香川県における空き家の現状と課題、そして有効な対策について詳しく解説します。
香川県の空き家の現状
総務省の「住宅・土地統計調査」によると、香川県内の空き家は年々増加しており、令和5年時点で空き家総数は約9万1,500戸に達しました。総住宅数に占める空き家率は**18.6%**で、全国平均(13.8%)を大きく上回り、全国で10番目に高い水準となっています。
さらに、内訳を見ると、「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」が9.7%と高く、全国平均(5.9%)の約1.6倍です。この割合は、管理不全や老朽化による危険性が高い空き家の多さを示しており、今後さらに深刻な問題となることが懸念されています。
空き家を放置すると何が起こる?
空き家をそのまま放置しておくと、次のような問題が発生します。
① 周囲への悪影響
老朽化が進むと、倒壊や屋根材の飛散など、近隣に被害を及ぼす可能性があります。また、雑草や庭木が道路や隣地に侵入し、害虫や小動物の発生、悪臭、景観の悪化など、地域の生活環境に悪影響を与えます。不法侵入や不審火など、防犯上のリスクも無視できません。
② 資産価値の低下
人が住まない家は換気やメンテナンスがされないため、劣化が急速に進みます。結果として資産価値が大幅に下がり、売却どころか解体しか選択肢がなくなる場合もあります。また、荒れた空き家は周囲の不動産価値にも悪影響を及ぼします。
③ 税金の問題
空き家を所有している限り、固定資産税や都市計画税が発生します。さらに、平成27年からは「特定空家等」に指定されると、固定資産税の住宅用地特例が解除され、税負担が大幅に増加します。
香川県の空き家対策のポイント
空き家を巡る問題を解決するためには、早期の対策が重要です。主な方法は次の3つに分類されます。
1. 売却または賃貸する
最も現実的な解決策は、空き家を必要とする人に活用してもらうことです。
- メリット:解体費用が不要、売却なら一時収入、賃貸なら継続収入。
- 注意点:買い手・借り手が見つかるまで維持管理が必要。築年数や状態によっては修繕が必要になる場合があります。
一般的な流れ
①将来的な利用計画と経済的負担を確認
②不動産会社を選定
③価格査定を依頼
④仲介契約を結ぶ
⑤売却・賃貸活動開始
⑥契約成立
2. 除却(解体)する
維持が困難な場合や危険性が高い場合は、解体して更地にする方法があります。
- メリット:管理不要、土地の活用が可能に。
- デメリット:解体費用が必要、住宅用地特例が外れ固定資産税が高くなる。
流れ
①家財整理→②解体業者の選定→③見積→④近隣への説明→⑤工事実施→⑥登記手続き
3. 改修して活用
近年は、空き家をリノベーションしてカフェや宿泊施設に転用する事例も増えています。ただし、初期費用や耐震補強の必要性などを考慮する必要があります。
耐震基準と空き家売買のポイント
売却や活用を検討する際に注意したいのが耐震基準です。1981年6月以前に建築された建物は「旧耐震基準」であり、そのままでは需要が低い可能性があります。ただし、耐震診断・改修を行えば安全性を確保できます。
法律面の動き:「空家等対策特別措置法」
平成26年に公布された「空家等対策の推進に関する特別措置法(空家法)」では、放置すれば危険な空き家を「特定空家等」として指定し、所有者に指導・勧告・命令を行うことが可能になりました。命令に従わない場合は50万円以下の過料、最終的には行政代執行で強制的に解体される場合もあります。
まとめ
香川県は全国的にも空き家率が高い地域であり、今後も高齢化や人口減少により、この問題はさらに深刻化する可能性があります。空き家は、所有者が早めに対応することでリスクを最小限に抑えられます。売却・賃貸・解体・リノベーションなど、自分に合った方法を選び、行政や専門家のサポートを上手に活用しましょう。
空き家を「放置する時代」は終わりました。今こそ、積極的な対応で地域と資産を守る時です。
【本日の一曲】
Bryan Ferry / Tokyo Joe