2025 09 02

地価高騰で相続税が払えない? 都市部で進む“相続ショック”

地方の香川県からは考えられない驚くニュースが、ここ数年、東京や大都市圏で続いています。
それは 「地価が上がりすぎて、親から相続した土地の相続税が払えない!」 という問題です。

この問題、特に 都市部や観光地 に住む方にとっては、もはや他人事ではありません。
一方で、香川県のような地方から見ると「本当にそんなことあるの?」と感じるかもしれません。
しかし、数字を見れば事態の深刻さがわかります。


◆ 地価はどれくらい上がっているのか?

国税庁が毎年発表する「相続税路線価」。これは、相続税や贈与税を計算する際の基準になるものです。
2025年の全国平均は前年比2.7%アップ。これで4年連続の上昇となりました。

東京都の平均上昇率は 全国最高の8.1%。特に港区や中央区などの都心部は、上昇が止まりません。
例えば、麻布十番駅近くの土地は 1㎡あたり152万円 という驚きの数字。
仮に150㎡(約45坪)の土地を所有していたら、土地だけで 2億円超 の評価額になります。

実勢価格ではさらに高額。東京23区の新築マンション平均価格は 2023年に1億円を突破、戸建ては8000万円台に到達しました。
これでは、「うちは普通の一戸建て」 と思っている人も、相続時に千万円を超えた税金がかかるケースが出てくるのです。


◆ 具体例:セーラームーンの家だと相続税はいくら?

話題になった記事では、人気アニメ『美少女戦士セーラームーン』の主人公・月野うさぎの家(港区麻布十番)を例に試算しています。

  • 土地:159㎡(最新路線価152万円/㎡) → 評価額 2億4168万円
  • 建物:豪邸を想定して2000万円
  • 金融資産など:8000万円
  • 合計:約3億4000万円

ここから基礎控除(4200万円)を引いて計算すると、
相続税は2人で約8600万円!

しかも、これは小規模宅地の特例などを使わなかった場合。
特例を使えば1790万円程度まで下がりますが、それでも大金です。

ちなみに2024年時点の路線価なら7300万円の税金だったので、
わずか1年で1300万円の負担増 ということになります。


◆ なぜこんなことに?

理由はシンプル。地価の上昇です。
特に以下のエリアで顕著です。

  • 都心部(港区・中央区・渋谷区など)
  • 観光地(白馬、京都など)
  • 工場進出地域(熊本・菊陽町のTSMC関連など)

白馬村では、外資系ホテルの建設ラッシュで地価が急騰。
菊陽町では、農地が「売れば数千万円」レベルに。
ただ、その分、相続税の負担も跳ね上がっています。


◆ 相続税が発生するのはどんな場合?

「うちは地方だから関係ない」と思う方も多いですが、油断は禁物。
相続税の基礎控除は『3000万円+600万円×相続人の数』 です。

たとえば、子ども2人なら基礎控除は4200万円。
家と土地、預金を合わせて5000万円を超えれば、課税対象です。
実際、国税庁の統計では 2014年→2023年で課税対象者が約3倍 に増えています。


◆ 対策はどうすればいい?

結論から言うと、「知っておくこと」「むやみに現状を変えないこと」 です。

① 小規模宅地等の特例を活用する

同居していた子どもが土地を相続する場合、評価額を 80%減額 できます。
ただし、駐車場にする・賃貸に出すなどの用途変更をしてしまうと対象外 になる場合があります。

② 生前贈与を検討する

110万円の非課税枠を活用したコツコツ贈与や、
2024年から始まった「相続時精算課税制度」も選択肢です。

③ 生命保険で現金を準備する

「相続税は現金で払う」ことが基本。
土地ばかりで現金がないと、結局、土地を売るしかなくなります。
保険を活用して納税資金を準備するのも定番の方法です。

④ 専門家に相談する

不動産鑑定士や税理士に相談すれば、
・路線価 vs 実勢価格の差
・特例の適用条件
・将来的なリスク
などを踏まえた対策ができます。


◆ 最後に:親への感謝を忘れないで

この記事で紹介した通り、都市部や観光地では「相続税が払えない」という現実的な問題が起きています。
しかし、忘れてはいけないのは、「それだけの資産を親が遺してくれた」という事実 です。

相続税が発生するということは、裏を返せば財産をしっかり受け継げるということ。
「親が残してくれたからこその悩み」だと考え、
感謝の気持ちを持ちつつ、賢く備えることが大切 です。


まとめ

  • 都市部や観光地では地価上昇で相続税負担が増加
  • 相続税は基礎控除を超えると発生し、対象者は年々増加
  • 対策は「特例活用」「生前贈与」「現金準備」「専門家相談」
  • むやみに現状を変えないことが重要

「備えあれば憂いなし」。
もし今、地価が上がっている地域に家を持っているなら
「うちは大丈夫?」と一度シミュレーションしてみることをおすすめします

■■出典:Yahoo!ニュース The PAGE
     https://news.yahoo.co.jp/articles/00c0fa3c81b9c5ada06152ff50aa3b8d9337430e

【本日の一曲】
92914 / Moonlight