2025 09 17

香川とその他四国エリア・全国との地価比較

〜33年連続下落の現実と二極化する土地需要〜

土地の価格(地価)は、その地域の経済状況や人口動態、投資マインドを映し出す“鏡”のようなものです。2025年に発表された最新の「地価調査」では、香川県の平均地価が33年連続で下落した一方で、高松市や直島町など一部地域では上昇がみられました。全国的には4年連続で平均地価が上昇していることからも、地方と都市圏、そして地域内の二極化が鮮明になっています。
今回は、香川の現状と四国各県、そして全国との比較を、せとうち不動産ならではの目線で解説します。


香川県の地価 ― 長期下落のなかに見える「光」

最新の調査によると、香川県全体の平均地価は1平方メートルあたり4万300円、平均変動率はマイナス0.3%で、33年連続の下落となりました。
用途別に見ると「住宅地」がマイナス0.3%、「商業地」がマイナス0.1%といずれも下落していますが、下落幅は縮小しています。

一方で、直島町はプラス1.8%、高松市はプラス0.3%と上昇しました。直島町では観光人気の高まりと移住希望者増加に対して住宅供給が不足していること、高松市ではサンポート地区の開発や県立アリーナのオープンなどにより需要が拡大していることが背景にあります。
香川県全域のなかでも都市部や観光地では地価が上昇する一方、人口減少や高齢化が進む地域では下落が続いており、まさに二極化が進行中です。


全国の動向 ― 東京・大阪圏は引き続き強い上昇

一方、全国平均の地価はプラス1.5%で4年連続の上昇となりました。特に東京圏・大阪圏など大都市圏の伸びが顕著です。
近年、若年層による投資用ワンルームマンション購入が増加しており、「不動産は堅実な資産形成手段」という意識が広がっています。実際、投資用マンション仲介会社では20代の顧客が約6割に達しているとのデータもあり、今後も都市部の投資需要は底堅いとみられています。

ただし、不動産専門家は「価格上昇が永続するわけではない」というリスクへの警戒も呼びかけています。特に長期ローンでの購入では金利変動や経済情勢の変化がリスク要因となるため、慎重な判断が求められます。


四国各県との比較 ― それぞれ異なる地価トレンド

香川県だけでなく、四国各県も独自の地価動向を示しています。

徳島県:平均27年連続下落、全国ワースト水準

徳島県では平均地価が3万5400円、変動率はマイナス1.1%と全国最悪の下落率でした。沿岸部の災害リスクや過疎化・高齢化が需要減少の主因とされ、構造的な課題が根深く残っています。
ただし、徳島南部自動車道の整備効果で一部の工業地は上昇しており、特定エリアへの投資は引き続き有望です。

愛媛県:松前町が県内で18年ぶりに上昇に転じる

愛媛県では全体的には下落基調が続くものの、松山市郊外や周辺自治体で需要が高まり、松前町の平均地価がプラス0.4%と上昇しました。松山市中心部の地価上昇や建築費高騰を背景に、郊外の土地に目を向ける動きが増えています。
「通勤圏内かつ土地価格が抑えられる」という立地が再評価されているのです。

高知県:高知市の商業地が34年ぶりに上昇

高知県は人口減少で下落傾向が続くものの、高知市の商業地は観光客増加やホテル進出を背景に34年ぶりに上昇に転じました。
住宅地でも利便性が高く津波浸水リスクの低い地域は需要が堅調で、都市部への回帰傾向が見られます。


香川の立ち位置 ― 「二極化の中でどう動くか」

四国4県の中では、香川県は比較的地価の安定感がある県ですが、都市部と地方部の差は拡大しつつあります。特に高松市や直島町のような再開発・観光需要を取り込める地域は今後も有望ですが、人口減少が進む内陸部や離島部では需要の低下が課題となっています。

私たちせとうち不動産でも、こうした二極化の傾向は日々の業務で実感しています。「土地を探している」とご相談いただくお客様の多くが、高松市中心部や交通利便性の高い地域を希望される一方、郊外の土地は価格が安くてもなかなか動かないケースが目立つのです。
土地の価値は「立地」だけでなく「将来性」も含めて考える必要があります。


全国と比較したときの香川の優位性

全国平均が上昇しているなか、香川県の地価はまだ割安な水準にあります。特に住宅用地については、都市部の価格に比べて手が届きやすく、今後の再開発やインフラ整備によって価値が見直される可能性があります。
「東京ではマンション一室しか買えない価格で、香川では土地付き住宅が買える」というのは、県外から移住を検討する人にとって大きな魅力です。


投資目線で見た香川の土地

若年層を中心に全国で不動産投資が広がるなか、香川でも「割安な今のうちに」と土地を探す県外投資家が増えています。直島町や高松市サンポート地区のような成長が期待できるエリア、あるいはインバウンド需要を取り込める観光地近接エリアは特に注目されています。

せとうち不動産では、そうした「投資目線の物件探し」もサポートしています。「将来の資産形成を見据えて土地を持ちたい」という方には、長期的な視点での物件選びをご提案しています。


地価の二極化時代に必要な視点

地価の動向を見ていると、過去の延長線上で判断するのではなく、未来の人口動態・インフラ整備・観光需要・防災リスクなど多面的に評価することが重要だと感じます。
香川はもちろん、四国や全国の動向を見ても「都市部回帰」と「郊外再評価」という二つの潮流が同時進行しています。どちらを選ぶにしても、自分や家族のライフスタイル、将来の計画、資産形成の目的に合わせて選択することが求められます。


まとめ ― 「いま」を知ることが「未来」をつくる

香川県は33年連続の下落という厳しい現実に直面していますが、高松市や直島町のような上昇エリアもあり、決して一枚岩ではありません。全国的には地価上昇基調が続いており、若い世代の投資マインドも高まっています。
つまり「どこでも土地を買えば安心」という時代ではなく、「どの地域にどの目的で土地を持つか」がより重要になってきたのです。

せとうち不動産では、地域に根ざした視点で、お客様に最適な土地・物件探しをお手伝いしています。香川や四国の土地に興味をお持ちの方、移住や投資を考えている方は、ぜひ一度ご相談ください。
地域の最新動向を踏まえ、皆さまの暮らしや事業にフィットするご提案をしてまいります。

◻︎◻︎出典:国土交通省 令和7年地価公示
     https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/tochi_fudousan_kensetsugyo_fr4_000001_00265.html

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【本日の一曲】
Gary Burton / Chick Corea – Senor Mouse