2025 09 24

「火災保険に入っていなかった」――林家ペー・パー子夫妻の火災から見えるリスク

2025年9月、東京都北区赤羽エリアで起きたマンション火災が、多くの人々に衝撃を与えました。被害に遭ったのはタレントの林家ペーさん・パー子さん夫妻。報道によれば、約30平方メートルが焼失し、パー子さんは煙を吸って病院に搬送され、指にやけどを負ったといいます。自宅にいた猫が亡くなるという悲しい結果も伝えられました。

夫妻が語った「火災保険には入っていなかった」というコメントは、同じように保険未加入で生活している人たちに大きな不安を呼び起こしました。「もし自分の家が火事になったら?」と考えさせられた方も多いのではないでしょうか。


出火原因はどこに? 「重大な過失」のライン

今回の火災は、パー子さんが仏壇でろうそくに火をつけようとした際に燃え広がったとされていますが、ペーさんは寄席の舞台で「古いソケットのコードがショートしたようだ」とも語っています。
警察や消防が調査を進め、原因は徐々に明らかになるでしょう。

ここで重要なのは、「火元の住人が賠償責任を負うのか」という点です。
日本では、火災に関する損害賠償責任について特別な法律(失火責任法)が定められています。これは、火元となった人に「重大な過失」がなければ、延焼による他人の損害まで賠償する必要はない、というものです。

では、どんな場合に「重大な過失」と判断されるのでしょうか。
単なる不注意ではなく、通常であれば容易に予見できた危険を無視した行為――例えば、寝たばこ、危険物の不適切な管理、電気配線の不具合を放置したままにしていた場合などです。こうした極端な注意義務違反が認められると、火元の住人が賠償責任を負う可能性が出てきます。


火災保険に入っていなければ「自宅の損害はすべて自己負担」

今回のケースのように火災保険に加入していない場合、もっとも大きな影響を受けるのは「自分の家・財産」です。
火災保険は建物や家財の修理・再建・買い替えなどを補償しますが、未加入であれば当然ながら自己負担になります。たとえマンションでも、専有部分(自分が所有する住戸内部)は自分で加入して守る必要があるのです。

一方で、隣室や階下など他人の住居に被害が及んだ場合でも、重大な過失がなければ損害賠償責任は発生しません。消火活動による水濡れなどの二次的な被害についても、同様の扱いになります。
ただし、法律上責任を免れるとしても、近隣との関係や社会的信用に悪影響が出ることは避けられません。「迷惑をかけた」という心理的負担も無視できないでしょう。


「自分の家は自分で守る」が基本

火災保険は、建物や家財の火災被害を補償するだけでなく、風災・水害・水漏れ・盗難・破損・汚損などにも対応できるプランがあります。さらに地震保険は火災保険に加入していることが前提となっており、地震による火災は地震保険の補償対象です。
つまり、「火災保険に未加入」ということは、単に火災リスクに備えていないだけでなく、他の自然災害やトラブルにも無防備な状態であることを意味します。

また、有担保の住宅ローンを利用する場合、火災保険への加入は必須です。金融機関が担保物件の価値を守るため、保険加入を条件にするからです。現金購入やリフォームローンの場合には加入義務はありませんが、リスクを考えると加入しておくほうが安心です。


「失火見舞金」などの制度もあるが…

最近では火災保険にオプションとして「失火見舞金」制度をつけられるプランもあります。これは、火元になった際に近隣へのお見舞い金を支払うための補償で、法的な賠償義務はなくても、周囲との関係を円滑にするために活用されることがあります。

こうした制度は、金銭的負担だけでなく、心理的な安心感を得る意味でも有効です。「自分の家の損害はもちろん、近隣との付き合いにも備える」という観点が、これからの火災保険選びには求められています。


林家ペー・パー子夫妻の火災から学べること

今回のニュースは、「有名人でも火災リスクは避けられない」「保険未加入は深刻な自己負担を招く」という現実を、私たちに強く印象づけました。
法律上、重大な過失がなければ賠償責任を免れる可能性は高いものの、自分の家を再建する費用、家財を買い直す費用は全て自己負担です。さらに、近隣住民との関係や社会的信用、精神的ダメージはお金では計れません。

火災保険は「もしものための出費」と考えがちですが、実際には生活再建を守る「命綱」です。とくに都市部のマンションや戸建てでは、ひとたび火災が起これば何千万円単位の損失になりかねません。
今回のケースをきっかけに、自宅の火災保険を見直す人が増えるかもしれません。


せとうち不動産からのご案内

当社・せとうち不動産でも、物件購入やリフォームとあわせて火災保険のご案内を行っています。
保険の補償範囲はプランによって異なり、風災・水害・地震・盗難など、どこまでカバーするかを選ぶことができます。「加入して終わり」ではなく、生活スタイルや建物条件にあわせてプランを見直すことが大切です。

火災保険は、いざという時に「お金」だけでなく「暮らしそのもの」を守る仕組みです。林家ペー・パー子夫妻のニュースを、ぜひご自身の備えを考えるきっかけにしてください。

【本日の一曲】
Cassiano – Onda