「ん〜〜 こんなに全分野の値上げが集中したことありましたかね?」
住宅価格はいま何が起きているのか。家づくり・リフォームを考える人が知っておきたい現実
ここ最近、住宅や建築業界のニュースを見ていると、少し頭がくらくらしてきます。
「また値上げ?」
「これも?」
「まだ上がるの?」
そんな声が現場でも増えています。
もちろん、この数年で建築費が上がってきたこと自体は珍しい話ではありません。コロナ禍以降、ウッドショック、半導体不足、物流混乱、円安、人手不足――住宅業界は何度も価格上昇の波を受けてきました。
ですが今回、少し様子が違います。
というのも、塗料・外壁・屋根・キッチン・浴室・床材・建具・サッシ・雨とい……と、住宅を構成するほぼ全分野で、大幅な価格改定が同時多発的に起きているからです。
正直なところ、ここまで一斉に、しかも10~30%クラスの値上げが集中する局面は、なかなか記憶にありません。
住宅業界を襲う「中東情勢」という遠い国の影響
今回の値上げ報道に共通しているキーワードがあります。
それが「中東情勢」です。
遠い海外の話に聞こえるかもしれませんが、住宅建材の世界では決して他人事ではありません。
なぜなら住宅建材の多くは、石油や化学製品と密接につながっているからです。
塗料、接着剤、断熱材、樹脂製品、梱包材、ビニル製品、物流燃料――。
住宅は木や鉄だけでできているわけではなく、実際には石油由来の素材が驚くほど多く使われています。
中東情勢が不安定になる
↓
原油価格が上がる
↓
石油化学製品・物流コスト・エネルギーコストが上昇
↓
建材メーカーの製造原価が上がる
↓
住宅価格へ反映される
という流れです。
つまり、ニュースで見る国際情勢が、数か月後には私たちの住宅価格に跳ね返ってくる。
そんな時代になっています。
この10日ほどで出てきた値上げニュース
ここ最近だけでも、かなりの数の価格改定が発表されています。
まず驚いたのが塗料関係。
日本ペイントは塗料類全般を値上げ。
溶剤系塗料で25~35%、水性塗料で20~30%。
さらにシンナーはすでに75%値上げ。
塗装工事や外壁メンテナンスに関わる方にはかなりインパクトの大きい数字です。
そして外壁・屋根材。
アイジー工業はサイディングや屋根材を18%以上値上げ。
住宅設備ではLIXILが大規模改定を発表。
・トイレ・浴室 約13%
・キッチン 約10%
・洗面 約12%
・サッシ・ドア 約13%
・エクステリア 約15%
……なかなかの数字です。
さらに室内側。
永大産業、朝日ウッドテック、ノダなど、床材・室内ドア・収納・階段なども10~20%クラスの値上げ。
雨とい関係ではケイミューが20~30%以上。
これらを並べてみると分かります。
住宅のどこか一部ではなく、家全体が値上がりしている。
これが今回の特徴です。
「家は待てば安くなる」は本当に正しいのか?
住宅購入やリフォーム相談の現場で、最近よく聞く言葉があります。
「落ち着くまで待った方がいいですか?」
気持ちはとてもよく分かります。
高くなっている時に買うのは勇気がいります。
ただ、ここで冷静に考えたいのは、今回の値上げは一時的な品不足だけが原因ではないということです。
背景には、
・原材料価格上昇
・物流費増加
・エネルギー高
・人件費上昇
・職人不足
・国際情勢
といった構造的な要因があります。
つまり、「数か月待てば元に戻る」というよりも、新しい価格水準に社会全体が移行している可能性が高いのです。
実際、ここ数年の住宅業界を見ても、一度上がった価格が大きく元へ戻ったケースはほとんどありません。
だからこそ、「待つ」という選択が必ずしも得になるとは限らない。
これは家づくりを考える方にとって重要な視点です。
実質賃金マイナス時代と住宅購入
昨年度の実質賃金マイナスという報道が先日ありました。(ちなみに4年連続です)
給与が上がっても、それ以上に物価が上がる。
生活の実感として「豊かになった気がしない」という声が多いのも、このためです。
そして今年度。
正直、住宅業界の値上げ状況を見ると、さらに家計負担が大きくなる可能性も感じます。
住宅は人生最大の買い物。
だからこそ不安になるのは当然です。
ですが逆に言えば、こういう時代だからこそ、
「なんとなく高そう」
「もう無理かも」
で止まるのではなく、
今の価格で何ができるか
補助金や住宅ローンをどう活用するか
新築・中古・リノベーションのどれが自分に合うか
を整理することが大切になってきます。
家づくりは「早い者勝ち」ではない。でも情報戦にはなっている
誤解してほしくないのは、
「急いで建てましょう!」
「今すぐ買わないと損!」
という話ではありません。
住宅は焦って決めるものではありません。
ただ一方で、価格改定や補助制度、金利動向など、住宅を取り巻く条件が短期間で変わる時代になっているのも事実です。
だからこそ、必要なのは焦りではなく情報収集と準備。
知らないまま後から値上げを知るのと、理解した上で判断するのでは大きく違います。
家づくりは、建物を買うことではなく、暮らしを設計すること。
だからこそ、こうした業界の動きも、できるだけ分かりやすくお伝えしていければと思っています。
……それにしても。
現場にいる感覚として、やっぱり思います。
「ん〜〜 こんなに全分野の値上げが集中したこと、ありましたかね?」
そんな時代だからこそ、住宅購入やリフォームは、より「相談しながら考える」時代になってきているのかもしれません。
◻︎◻︎Housing Tribute Online 住宅関連資材値上げ情報
https://htonline.sohjusha.co.jp/20260409-3/
【本日の一曲】
Eric B. & Rakim – Paid In Full (Seven Minutes Of Madness – The Coldcut Remix)
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