住宅ローンの基本 「仕組み」と「考え方」を知る
住宅購入を考え始めると、多くの人が最初に直面するのが「住宅ローン」の問題です。
家は人生で最も高額な買い物と言われます。そして住宅ローンは、その大きな買い物を何十年にもわたって支えていく仕組みです。
最近は住宅価格の上昇もあり、5,000万円以上のローンを組むケースも珍しくなくなりました。一方で、低金利や100%ローンなど、「借りやすい時代」になっているのも事実です。
ただ、住宅ローンは“借りられるから借りる”ものではありません。
今回は、住宅ローンの基本的な仕組みと、家づくり・不動産購入を考える上で知っておきたいポイントについて書いてみようと思います。
住宅ローンとは何か?
住宅ローンとは、自宅を購入したり建築したりするために、金融機関から借りるお金のことです。
戸建て住宅やマンション購入のほか、
・中古住宅購入
・リフォーム
・住宅ローンの借り換え
などにも利用されます。
基本的には「自分や家族が住む家」が対象で、投資用不動産や店舗物件には使えません。
住宅ローンでは、購入する住宅そのものを「担保」として金融機関に提供します。
もし返済できなくなった場合、金融機関はその不動産を売却して貸したお金を回収します。
そのため住宅ローンは、車のローンなどと比べても非常に大きな金額を、長期間で借りられる仕組みになっています。
一般的には35年返済が多いですね。
家を買う時に必要なのは「物件価格」だけではない
住宅購入では、建物や土地の価格だけでなく、さまざまな「諸費用」が必要になります。
例えば、
・仲介手数料
・登記費用
・火災保険
・住宅ローン保証料
・印紙代
・不動産取得税
・引越費用
など。
新築でも中古でも、購入価格以外に数十万〜数百万円の費用が必要になるケースは普通です。
そのため昔は、
「物件価格の2割程度を自己資金として用意する」
というのが一般的でした。
昔の住宅ローンは「8割まで」だった
私がこの業界に入った20数年前。
住宅ローンは、物件価格の80%までしか貸してくれない時代でした。
なぜかというと、金融機関は
「販売価格=担保価値ではない」
と考えていたからです。
販売価格には、不動産会社や建築会社の利益も含まれています。
つまり、
“もし売却になった時、本当にその価格で売れるのか?”
という視点で見ていたわけです。
そのため、
「自己資金2割を入れてください」
という考え方が基本でした。
例えば3,000万円の家なら、600万円程度の頭金が必要だったのです。
時代は「100%ローン」へ
しかし時代とともに変化していきます。
自己資金を十分に準備できる人が減り、
80%ローン → 90%ローン → 100%ローン
へと変わっていきました。
さらに現在では、
・諸費用込み
・家具家電込み
・カーポートや外構込み
といった「100%+α」のローンも珍しくありません。
つまり、
「貯金ゼロでも家が買える時代」
になったとも言えます。
これは住宅購入のハードルを下げた一方で、少し怖い部分もあります。
なぜなら、“借りやすい”と“返しやすい”は全く別だからです。
一方で、最近は逆の考え方をする人も増えてきました。
昔は、
「自己資金をできるだけ入れて、住宅ローンを減らす」
という考え方が一般的でした。
実際、私がこの業界に入った頃は、頭金をしっかり準備して購入する方が多かった印象です。
しかし現在は、住宅取得費用だけでなく諸費用まで含めたフルローンが可能になり、さらに住宅ローン金利も非常に低い時代になりました。
最近では、
「現金で家を買える資金があっても、あえて住宅ローンを利用する」
というファイナンシャルプランを組む方も増えています。
例えば、
・住宅は超低金利の住宅ローンで購入
・手元の自己資金はNISAなどで長期投資
・住宅ローン控除も活用
という考え方です。
住宅ローンの金利よりも、投資で期待できる運用利回りの方が高ければ、理論上は“お金を借りながら資産を増やす”ことも可能になります。
昔は、
「借金は少ない方が良い」
という価値観が強かったですが、今は
「低金利のお金はうまく活用する」
という時代になってきたとも感じます。
もちろん投資にはリスクがありますし、全員に当てはまる考え方ではありません。
ただ、住宅ローンは単なる“借金”ではなく、資産形成やライフプラン全体の中で考える時代になったのは間違いないでしょう。
「借りられる額」と「借りていい額」は違う
ここが住宅ローンで最も重要なポイントかもしれません。
金融機関は、年収や勤務先、勤続年数などを見て、
「この人にはこれくらい貸せる」
という審査をします。
最近は年収の7倍前後まで借りられるケースも珍しくありません。
しかし実際には、
“借りられる額”と
“安心して返済できる額”
は全く違います。
例えば年収600万円なら、
金融機関的には4,000万円以上借りられることもあります。
でも、
・子どもの教育費
・車の買い替え
・老後資金
・転職や病気
・金利上昇
などを考えると、本当にその金額が安全なのかは別問題です。
一般的には、
「年収の5倍以内」
くらいが、比較的無理の少ないラインと言われています。
もちろん家族構成や生活スタイルによって違いますが、“借りられるだけ借りる”のは危険です。
住宅ローンの金利タイプ
住宅ローンには、大きく分けて2種類あります。
①変動金利
半年ごとに金利が見直されます。
現在は非常に低金利で、0.4〜0.7%前後の商品も多く、人気があります。
ただし将来的に金利が上昇すると、返済額も増える可能性があります。
②固定金利
10年間固定、35年間固定など、一定期間金利が変わりません。
安心感がありますが、変動金利よりは金利が高めです。
これは、
「安心を取るか」
「低金利を取るか」
という考え方に近いですね。
最近は金利上昇の話題も増えているので、今後は固定金利を選ぶ人も増えるかもしれません。
住宅ローン控除という制度
住宅ローンには「住宅ローン控除」という制度があります。
年末時点のローン残高に応じて、所得税や住民税が一定額控除される仕組みです。
そのため最近は、
「手元資金を残すために、あえて多めに借りる」
という考え方もあります。
確かに理屈としては合理的な面もあります。
ただし重要なのは、
“いつでも返せる余力を持っているか”
だと思います。
住宅ローンは長い付き合いです。
景気も、働き方も、家族構成も変わります。
余裕があることは、本当に大切です。
団体信用生命保険(団信)
住宅ローンを組むとき、多くの場合「団体信用生命保険(団信)」に加入します。
これは、
契約者が死亡したり高度障害になった場合、保険金で住宅ローンが完済される
という仕組みです。
つまり、万が一があっても家族に家を残せる。
住宅ローンは“借金”というイメージが強いですが、実は保険的な側面も持っています。
最近では、
・がん保障
・三大疾病保障
・就業不能保障
などを付けられる商品も増えています。
共働き世帯で増える「ペアローン」
最近増えているのが「ペアローン」です。
夫婦それぞれが住宅ローンを組み、借入額を増やす方法です。
都市部の住宅価格高騰もあり、利用者はかなり増えています。
ただし、
・どちらかが仕事を辞めたら?
・育休に入ったら?
・離婚したら?
というリスクもあります。
特に不動産は簡単に分けられないので、慎重な検討が必要です。
家は「人生を豊かにする道具」
住宅ローンは、人生で最も大きな借り入れになる人がほとんどです。
だからこそ、
・いくら借りるか
・どんな返済計画にするか
・どんな暮らしをしたいか
をしっかり考える必要があります。
家は、見栄のために買うものではありません。
人生を豊かにするための「器」だと思っています。
無理なローンで生活が苦しくなってしまうと、本末転倒です。
旅行も行けない。
趣味もできない。
子どものやりたいことを我慢する。
それでは家が“幸せの箱”ではなく、“重荷”になってしまいます。
だからこそ、
「借りられる額」ではなく、
「安心して暮らせる額」
を基準に考えることが、これからの住宅購入ではとても大切なのではないでしょうか。
【本日の一曲】
2Pac – California Love (Original Version)
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