2026 09 24

最近の家、なんだか似てない? 「機能を追求すると形が似てくる」住宅デザインの話 -形態は機能に従う-

街を車で走っていると、ふと思うことがあります。

「最近の新しい家って、ちょっと似てない?」

四角い箱のような外観。
白・黒・グレーなどのシンプルな色。
大きな片流れ屋根。
窓は以前より少なめ。

もちろん、全部の家がそうというわけではありません。

でも、昔の住宅街に比べると、最近の新築住宅はずいぶん「似た雰囲気」の家が増えたように感じます。

実はこれ、単純に「最近はシンプルなデザインが流行っている」というだけではなさそうです。


機能を追求すると、形は似てくる

住宅に求められるものが、昔とはかなり変わってきました。

以前は「南向きの明るい家」「和室がある家」「立派な瓦屋根」など、住宅の見た目や間取りにもさまざまな選択肢がありました。

一方、現在は、

・高気密・高断熱
・省エネ性能
・耐震性能
・太陽光発電
・メンテナンス性
・建築コスト

など、住宅に求められる「性能」が非常に多くなっています。

特に太陽光発電を搭載する住宅では、できるだけ効率よく太陽光を受けられる屋根をつくることが重要になります。

そこで登場するのが、大きな片流れ屋根です。

太陽の方向に向かって広い屋根面をつくれば、太陽光パネルをまとまって配置しやすい。

さらに、屋根の形をシンプルにすれば、構造や施工の面でも合理的になります。

結果として、

「太陽光発電パネルを載せやすい」
→「大きな屋根が必要」
→「片流れ屋根になる」
→「家の形もシンプルになる」

という流れが生まれます。


スマホも……

これって、スマートフォンにも少し似ています。

昔の携帯電話には、折りたたみ式、スライド式、回転式など、本当にいろいろな形がありました。

ところが現在のスマートフォンは、メーカーが違っても、

「薄い長方形の板」

という形にかなり収斂しています。

画面を大きくしたい。
バッテリーを入れたい。
持ちやすくしたい。
大量生産したい。

こうした機能や条件を一つずつ突き詰めていくと、結局たどり着く形が似てくる。

家も、これと少し似ているのではないでしょうか。


「形態は機能に従う」

建築やデザインの世界には、

「Form follows function(形態は機能に従う)」

という有名な考え方があります。

使いやすさや性能を追求していくと、その機能に適した形が自然と決まってくる、という考え方です。

住宅もまさにそう。

高断熱・高気密を考える。
太陽光発電を考える。
耐震性を考える。
建築コストを考える。
限られた土地を有効に使う。

これらを全部考えていくと、凹凸の少ない四角い家や、大きな片流れ屋根の家に行き着きやすくなります。

つまり、最近の家が似ているのは、

「みんな同じデザインが好きだから」

というより、

「求められる機能に対する合理的な答えが似てきたから」

とも考えられるわけです。


でも、個性がなくなったわけではない

とはいえ、個人的には「似た家ばかりでつまらない」とも思いません。

外観がシンプルでも、家の中には住む人それぞれの暮らし方があります。

キッチンの使い方。
リビングの過ごし方。
収納の考え方。
庭とのつながり。
素材や家具の選び方。

同じような四角い家でも、住み始めれば全然違う家になります。

どんな土地に建っているのか。
どんな方向を向いているのか。
周りに何があるのか。
そして、そこでどんな暮らしをするのか。

外観が似ていても、その家で始まる暮らしは一軒一軒違います。

「最近の家、似てない?」

そんなところから住宅を眺めてみると、単なるデザインの流行ではなく、今の時代が住宅に何を求めているのかが見えてきます。

家の形には、その時代の「答え」が意外と詰まっているのかもしれません。


◻︎◻︎ウィキペディア 機能主義 (建築)
  https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A9%9F%E8%83%BD%E4%B8%BB%E7%BE%A9_(%E5%BB%BA%E7%AF%89)


【本日の一曲】
LTJ Bukem – Watercolours

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