2026 10 06

【能登半島地震】耐震改修を行った木造住宅は「倒壊ゼロ」だった――古い家ほど考えたい耐震改修

「古い家だから、地震が来たら危ない」

中古住宅を扱っていると、こうしたご相談を受けることがあります。

もちろん、築年数だけで建物の地震への強さを判断することはできません。ただ、今回公表された能登半島地震の建築物被害調査を見ると、**「耐震改修をしておくことの意味」**を改めて考えさせられる結果が出ています。

国土交通省の国土技術政策総合研究所と建築研究所がまとめた「令和6年能登半島地震建築物被害調査等報告」では、地方公共団体の補助を受けて耐震改修を行った旧耐震基準の木造住宅について調査。

被害レベルを確認できた38棟のうち、

  • 無被害……13棟
  • 軽微~中破……22棟
  • 大破……3棟
  • 倒壊・崩壊……0棟

という結果でした。

もちろん38棟という限られた調査対象ですので、「耐震改修をすれば絶対に倒壊しない」という意味ではありません。

それでも、耐震改修を行った住宅で倒壊・崩壊が確認されなかったという結果は、耐震改修によって被害が軽減されたと考えられる実証的な材料になっています。


能登では「古い木造住宅」の被害が多かった

今回の報告では、2007年の能登半島地震と2024年の能登半島地震の被害も比較されています。

2007年の地震では、全壊・倒壊・崩壊が456棟だったのに対し、2024年は1,501棟。

単純に地震の規模や揺れだけを比較することはできませんが、いずれの地震でも旧耐震基準で建てられた木造住宅に大きな被害が多かったことが報告されています。

では、そもそも「旧耐震」と「新耐震」は何が違うのでしょうか。


1981年が一つの大きな境目

1981年6月1日以降の建築確認から、いわゆる「新耐震基準」が適用されています。

それ以前の「旧耐震基準」は、現在の基準と比べると、大きな地震に対する考え方が異なります。

さらに木造住宅については、1995年の阪神・淡路大震災などを経て、2000年にも建築基準が大きく見直されました。

特に重要なのが、柱や梁、柱と土台などの接合部を金物でしっかり固定することです。

昔の木造住宅では、柱と梁を「ホゾ」と呼ばれる凸凹の加工で組み合わせる伝統的な工法が多く使われていました。

普段の生活では、それでも十分に家として成り立っています。

しかし、大きな地震で横方向から強い力が加わると、柱と梁の接合部が抜けてしまうことがあります。

地震で建物が「横に揺れる」のに対して、建物を支える部分がその力に耐えられなければ、建物全体のバランスが崩れてしまう。

そこで現在の住宅では、耐力壁や筋交いだけでなく、接合部の金物なども含めて、建物全体で地震に耐える考え方が重要になっています。


「新耐震なら絶対安心」でもない

今回の調査で興味深いのは、1981年以降の新耐震基準の住宅でも倒壊事例が確認されていることです。

その多くは、1階を車庫や倉庫などにした大開口型の建物で、壁量不足や壁の配置の偏りなど、構造計画上の課題が確認されました。

また、2000年以降の木造住宅でも全壊した事例がありました。

報告書では、壁のバランスが良くない住宅や壁量が不足していた住宅などが確認されています。

つまり、

「築年数だけで大丈夫・危険を判断する」のではなく、実際の建物の状態や構造を確認することが大切

ということです。


中古住宅だからこそ「耐震改修」という選択肢

不動産の仕事をしていると、「古い家だから壊して新築」という選択肢だけではなく、**「今ある家を直して使う」**という選択肢ももっと増えていいのではないかと思います。

もちろん、すべての住宅が耐震改修に向いているわけではありません。

建物の状態や基礎、間取り、劣化状況などを調査したうえで、どこをどの程度補強する必要があるのかを考える必要があります。

ただ、今回の能登半島地震の調査結果は、古い住宅でも、耐震改修によって地震への備えを高められる可能性があることを改めて示してくれました。

中古住宅を購入してリノベーションする場合も、キッチンやお風呂、内装をきれいにするだけではなく、

「この家は、地震に対してどうなんだろう?」

という視点を一度持ってみる。

見た目が新しくなることも大切ですが、家の中身を強くすることも同じくらい大切です。

「古いからダメ」ではなく、
「古いからこそ、調べて、必要なところを直す」。

そんな中古住宅との付き合い方も、これからますます大切になってくるのではないでしょうか。


◻︎◻︎共同通信社 『令和6年能登半島地震建築物被害調査等報告』をHPで公開しました
  https://www.kyodo.co.jp/pr/2026-09-25_4037536/

  国土交通省 住宅・建築物の耐震化について
  https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_fr_000043.html

  観音寺市 民間住宅の耐震化についてのご案内
  https://www.city.kanonji.kagawa.jp/soshiki/22/36854.html


【本日の一曲】
Joe Jackson – Steppin’ Out

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