2026 05 10

エネルギーのあれこれ

エネルギー密度だったり、エネルギー効率だったり

昨年から、ガソリン価格の高騰だったり、中東情勢の不安定化だったり、エネルギー関連のニュースを見ない日はない気がします。

日本は資源国ではないので、どうしても海外情勢に振り回されやすい。

さらに住宅業界でも、

「省エネ住宅」
「断熱性能」
「太陽光発電」
「蓄電池」

など、“エネルギー”が大きなテーマになっています。

そんな中で最近気になっているのが、「エネルギー密度」というところからエネルギーを考えることです。

エネルギー効率の話はよく聞きますが、「そもそもどれだけエネルギーを蓄えられるのか?」という部分は、意外と知られていない気がします。


エネルギー密度とは何か?

エネルギー密度(Energy Density)とは、

「どれだけ小さく・軽く、大きなエネルギーを持てるか」

という指標です。

単位体積(Lや㎥)あたり、あるいは単位重量(kg)あたりに、どれだけのエネルギーを蓄えられるかを示します。

つまり、この数値が高いほど、
 ・小型化できる
 ・軽量化できる
 ・長時間使える
ということになります。

スマホのバッテリーがどんどん長持ちするようになったのも、電池のエネルギー密度が向上しているからです。

自動車のように「大きくて重いものを高速で長距離動かす」には、膨大なエネルギーが必要になります。

だからこそ、エネルギー密度は非常に重要なのです。


ガソリンは実はとんでもなく優秀

まず驚くのが、ガソリンのエネルギー密度です。

重量エネルギー密度で見ると、
 ・ガソリン:約12,000Wh/kg
と言われています。

これ、実はかなりすごい数字。

一方、現在主流のリチウムイオン電池は、
 ・約150〜250Wh/kg

つまり重量あたりで比較すると、ガソリンはリチウムイオン電池の50〜80倍ものエネルギーを持っていることになります。

さらに体積あたりでも、
 ・ガソリン:約9,600Wh/L
 ・リチウムイオン電池:約400〜700Wh/L
と、圧倒的。

だからガソリン車は、数十リットルの燃料で800km以上走れたりするわけです。

しかも給油は数分。

改めて考えると、液体燃料って本当に優秀なんですよね。


「リチウムイオン電池、実は性能よくない?」

こうして数字だけを見ると、

「リチウムイオン電池って、実はそんなに性能良くなくない?」

と思ってしまいます。

もちろん、スマホやパソコンでは非常に便利です。

でも自動車のように大量のエネルギーを必要とするものには、たくさんの量が必要となるのでかなり不利にも感じます。

実際、EV車(電気自動車)が重い理由の多くは、バッテリー重量です。

例えば71.4kWhのバッテリーを積むEVの場合、現在のリチウムイオン電池性能から計算すると、電池重量は約480kgにもなります。

つまり電池だけで、大人7〜8人分くらいの重さ。

同じサイズの車でも、EVの方が300kg以上重いことは珍しくありません。

エネルギーを「電気」という形で保存するのは、それだけ難しいということなんでしょう。


でも“効率”はEVが圧倒的

エネルギー密度ではガソリンが圧勝。

でも、「エネルギー効率」ではEVが圧倒的に有利です。

ここがエネルギーの面白いところです。

ガソリン車は、燃料を燃やして熱を作り、その熱でエンジンを動かします。

しかし熱機関はロスが大きい。

実際、ガソリンのエネルギーのうち、車を動かす力になるのは30%程度。

残りは熱として失われています。

(これは家で例えるとガスコンロに近い感じ。)

火で温めるので、周囲にも熱が逃げていきます。

一方、EVのモーター効率は約90%。

つまり、電気エネルギーのほとんどを運動エネルギーに変えられる。

(これはIHコンロに近いイメージです。)

必要なところへ直接エネルギーを使えるので、無駄が少ない。

だからEVは、「少ないエネルギーでよく走る」んです。


実際どれくらい効率が違うのか?

ある比較では、
 ・EV搭載エネルギー:約260MJ
 ・ガソリン車:約2100MJ
となっていました。

つまりガソリン車は、EVの約9倍ものエネルギーを積んでいます。

しかし航続距離は、
 ・EV:約550km
 ・ガソリン車:約820km

EVは1/9のエネルギーで、2/3近い距離を走っているわけです。

これはかなり驚異的。

単純計算では、EVは同じエネルギー量で約6倍効率が良いとも言えます。


それでも長距離はまだガソリン有利?

個人的には、現時点では「長距離移動ではまだガソリン有利」だと思っています。

理由はエネルギー密度(重量)と補給方法。

高速道路を長距離走る場合、
 ・航続距離800〜1000km
 ・給油5分
 ・燃料が軽い
というメリットは非常に大きい。

特に、
 ・トラック
 ・建設機械
 ・船舶
 ・飛行機
など、「重くて長時間動くもの」は、まだ液体燃料が圧倒的に強い世界です。


エネルギーを考えると世界の見え方が変わる

さらに面白いのは、エネルギー密度を突き詰めると「原子力」が圧倒的だということ。

ウラン1gで、石油数千リットル分のエネルギーを持つとも言われています。

化学反応と核分裂では、エネルギーの桁がまるで違う。

こうして考えると、普段何気なく使っている車や電気も、とんでもない技術の上に成り立っているんだなと感じます。

住宅でも車でも、これからの時代は、『どのエネルギーをどう使うか』がますます重要になっていくのでしょう。

単純に、
「EVが正しい」
「ガソリン車が古い」
という話ではなく、

 ◻︎エネルギー密度
 ◻︎エネルギー効率
 ◻︎用途
 ◻︎インフラ
 ◻︎コスト

そういったものを総合的に考えながら、最適なエネルギーを使い分ける時代になっていくのかもしれません。


◻︎◻︎ウィキペディア「エネルギー密度」
  https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%8D%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%BC%E5%AF%86%E5%BA%A6


【本日の一曲】
Denki Groove – Hello! Mr. Monkey Magic Orchestra (Live) 

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