エネルギーのあれこれ
エネルギー密度だったり、エネルギー効率だったり
昨年から、ガソリン価格の高騰だったり、中東情勢の不安定化だったり、エネルギー関連のニュースを見ない日はない気がします。
日本は資源国ではないので、どうしても海外情勢に振り回されやすい。
さらに住宅業界でも、
「省エネ住宅」
「断熱性能」
「太陽光発電」
「蓄電池」
など、“エネルギー”が大きなテーマになっています。
そんな中で最近気になっているのが、「エネルギー密度」というところからエネルギーを考えることです。
エネルギー効率の話はよく聞きますが、「そもそもどれだけエネルギーを蓄えられるのか?」という部分は、意外と知られていない気がします。
エネルギー密度とは何か?
エネルギー密度(Energy Density)とは、
「どれだけ小さく・軽く、大きなエネルギーを持てるか」
という指標です。
単位体積(Lや㎥)あたり、あるいは単位重量(kg)あたりに、どれだけのエネルギーを蓄えられるかを示します。
つまり、この数値が高いほど、
・小型化できる
・軽量化できる
・長時間使える
ということになります。
スマホのバッテリーがどんどん長持ちするようになったのも、電池のエネルギー密度が向上しているからです。
自動車のように「大きくて重いものを高速で長距離動かす」には、膨大なエネルギーが必要になります。
だからこそ、エネルギー密度は非常に重要なのです。
ガソリンは実はとんでもなく優秀
まず驚くのが、ガソリンのエネルギー密度です。
重量エネルギー密度で見ると、
・ガソリン:約12,000Wh/kg
と言われています。
これ、実はかなりすごい数字。
一方、現在主流のリチウムイオン電池は、
・約150〜250Wh/kg
つまり重量あたりで比較すると、ガソリンはリチウムイオン電池の50〜80倍ものエネルギーを持っていることになります。
さらに体積あたりでも、
・ガソリン:約9,600Wh/L
・リチウムイオン電池:約400〜700Wh/L
と、圧倒的。
だからガソリン車は、数十リットルの燃料で800km以上走れたりするわけです。
しかも給油は数分。
改めて考えると、液体燃料って本当に優秀なんですよね。
「リチウムイオン電池、実は性能よくない?」
こうして数字だけを見ると、
「リチウムイオン電池って、実はそんなに性能良くなくない?」
と思ってしまいます。
もちろん、スマホやパソコンでは非常に便利です。
でも自動車のように大量のエネルギーを必要とするものには、たくさんの量が必要となるのでかなり不利にも感じます。
実際、EV車(電気自動車)が重い理由の多くは、バッテリー重量です。
例えば71.4kWhのバッテリーを積むEVの場合、現在のリチウムイオン電池性能から計算すると、電池重量は約480kgにもなります。
つまり電池だけで、大人7〜8人分くらいの重さ。
同じサイズの車でも、EVの方が300kg以上重いことは珍しくありません。
エネルギーを「電気」という形で保存するのは、それだけ難しいということなんでしょう。
でも“効率”はEVが圧倒的
エネルギー密度ではガソリンが圧勝。
でも、「エネルギー効率」ではEVが圧倒的に有利です。
ここがエネルギーの面白いところです。
ガソリン車は、燃料を燃やして熱を作り、その熱でエンジンを動かします。
しかし熱機関はロスが大きい。
実際、ガソリンのエネルギーのうち、車を動かす力になるのは30%程度。
残りは熱として失われています。
(これは家で例えるとガスコンロに近い感じ。)
火で温めるので、周囲にも熱が逃げていきます。
一方、EVのモーター効率は約90%。
つまり、電気エネルギーのほとんどを運動エネルギーに変えられる。
(これはIHコンロに近いイメージです。)
必要なところへ直接エネルギーを使えるので、無駄が少ない。
だからEVは、「少ないエネルギーでよく走る」んです。
実際どれくらい効率が違うのか?
ある比較では、
・EV搭載エネルギー:約260MJ
・ガソリン車:約2100MJ
となっていました。
つまりガソリン車は、EVの約9倍ものエネルギーを積んでいます。
しかし航続距離は、
・EV:約550km
・ガソリン車:約820km
EVは1/9のエネルギーで、2/3近い距離を走っているわけです。
これはかなり驚異的。
単純計算では、EVは同じエネルギー量で約6倍効率が良いとも言えます。
それでも長距離はまだガソリン有利?
個人的には、現時点では「長距離移動ではまだガソリン有利」だと思っています。
理由はエネルギー密度(重量)と補給方法。
高速道路を長距離走る場合、
・航続距離800〜1000km
・給油5分
・燃料が軽い
というメリットは非常に大きい。
特に、
・トラック
・建設機械
・船舶
・飛行機
など、「重くて長時間動くもの」は、まだ液体燃料が圧倒的に強い世界です。
エネルギーを考えると世界の見え方が変わる
さらに面白いのは、エネルギー密度を突き詰めると「原子力」が圧倒的だということ。
ウラン1gで、石油数千リットル分のエネルギーを持つとも言われています。
化学反応と核分裂では、エネルギーの桁がまるで違う。
こうして考えると、普段何気なく使っている車や電気も、とんでもない技術の上に成り立っているんだなと感じます。
住宅でも車でも、これからの時代は、『どのエネルギーをどう使うか』がますます重要になっていくのでしょう。
単純に、
「EVが正しい」
「ガソリン車が古い」
という話ではなく、
◻︎エネルギー密度
◻︎エネルギー効率
◻︎用途
◻︎インフラ
◻︎コスト
そういったものを総合的に考えながら、最適なエネルギーを使い分ける時代になっていくのかもしれません。
◻︎◻︎ウィキペディア「エネルギー密度」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%8D%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%BC%E5%AF%86%E5%BA%A6
【本日の一曲】
Denki Groove – Hello! Mr. Monkey Magic Orchestra (Live)
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