知っておきたい「遺言書」のこと
無効にならないための書き方と、安心して残すための保管方法
「遺言書」という言葉は、テレビやニュースなどで聞いたことがある方も多いと思います。
しかし実際には、「自分にはまだ関係ない」「何となく難しそう」「書けばそれで大丈夫なんじゃない?」と思っている方も少なくないのではないでしょうか。
不動産の仕事をしていると、相続に関する相談を受ける機会もあります。特に土地や建物がある場合、相続人同士で「誰がこの家を引き継ぐのか」「売却するのか」「共有にするのか」といった話し合いが必要になることがあります。
そんな時に大きな役割を果たすのが遺言書です。
ただし、遺言書は自由に書けば何でも有効になるわけではありません。法律で定められた方式を守っていない場合、せっかく本人が残した意思があっても遺言書そのものが無効になる可能性があります。
今回は、知っておきたい遺言書の基本についてご紹介します。
遺言書にはどんな種類がある?
一般的によく利用される遺言書には、主に次の2種類があります。
自筆証書遺言
本人が自分で作成する遺言書です。
基本的には、遺言書の本文、日付、氏名を本人が自筆し、押印して作成します。
紙とペンがあれば作成できるため、費用をかけず比較的手軽に作れるのがメリットです。また、自分一人で作成できるため、遺言の内容を秘密にしておくこともできます。
一方で、形式に不備があると無効になる可能性があることや、自宅で保管すると紛失、盗難、改ざん、隠匿などのリスクがあります。
また、通常は相続開始後に家庭裁判所で「検認」という手続きが必要になるケースもあります。
公正証書遺言
公証人に遺言の内容を伝え、公正証書として作成してもらう方法です。
法律の専門家である公証人が作成に関わるため、形式上の不備によって無効になるリスクが低く、原本も公証役場で保管されます。
さらに、家庭裁判所での検認が不要という大きなメリットもあります。
その一方で、証人が必要になったり、財産の内容によって費用が発生したりするため、自筆証書遺言より手間や費用がかかります。
「自筆証書遺言書保管制度」という選択肢
個人的に、もっと知られてもいい制度だと思うのが、法務局による自筆証書遺言書保管制度です。
これは、自分で作成した自筆証書遺言書を法務局で保管してもらえる制度で、2020年7月からスタートしています。
自宅に遺言書を保管していると、
「どこに置いたか分からなくなった」
「家族が遺言書の存在を知らなかった」
「誰かによって隠されたり、書き換えられたりする可能性がある」
といった問題が起こる可能性があります。
法務局で保管してもらうことで、こうしたリスクを大幅に減らすことができます。
法務局に預けるメリット
この制度には、いくつか大きなメリットがあります。
紛失や改ざんを防げる
遺言書の原本だけでなく画像データも保管されるため、紛失や盗難、偽造・改ざんのリスクを抑えることができます。
形式面のチェックを受けられる
法務局では、自筆証書遺言として必要な形式に適合しているか、外形的な確認が行われます。
もちろん、遺言の内容そのものについて法務局が法律相談をしてくれるわけではありませんが、最低限の形式面を確認できるのは安心材料です。
検認が不要になる
法務局の保管制度を利用した自筆証書遺言書は、相続開始後の家庭裁判所での検認が不要になります。
これは、相続後の手続きをスムーズに進める上でも大きなメリットです。
自筆証書遺言で注意したいポイント
自筆証書遺言を作成する場合は、特に注意が必要です。
例えば、
- 本文を本人が自筆する
- 作成した日付を明確に記載する
- 氏名を記載する
- 押印する
といった基本的な要件があります。
また、誰に何を残すのかについても、できるだけ具体的に記載する必要があります。
「長男に家を残す」
というだけでは、状況によっては対象となる不動産の特定が難しい場合もあります。
土地なのか建物なのか、所在地や地番など、財産を明確に特定することが重要です。
財産目録については、現在ではパソコンで作成したものや、不動産の登記事項証明書、預金通帳のコピーなどを利用することもできます。ただし、その場合にも署名・押印などのルールがありますので注意が必要です。
遺言書は「財産の多い人だけ」のものではない
遺言書というと、「たくさん財産を持っている人が作るもの」というイメージがあるかもしれません。
しかし、実際には不動産が1件あるだけでも、相続の際にはさまざまな問題が起こる可能性があります。
特に、
- 特定の人に自宅を残したい
- 法定相続人以外にも財産を残したい
- 相続人同士で争いになることを避けたい
- 空き家になる可能性のある実家について方針を残しておきたい
といった場合には、遺言書が非常に重要になることがあります。
不動産は現金のように簡単に分けることができません。
だからこそ、「自分が亡くなった後、この家をどうしてほしいのか」という意思を元気なうちに考えておくことが大切だと思います。
作成前には専門家への相談もおすすめ
遺言書は、自分で作成できる便利な制度がある一方、内容や書き方を間違えるとトラブルの原因になることもあります。
特に相続人が複数いる場合や、不動産が複数ある場合、法定相続人以外に財産を残したい場合などは、弁護士や司法書士などの専門家へ相談することをおすすめします。
「まだ遺言書を書くほどではない」と思っている方でも、まずは自分の財産を整理し、
自分に何があるのか。
誰に何を残したいのか。
不動産を将来的にどうしてほしいのか。
を考えてみるだけでも、大きな一歩になります。
相続は、いつか必ず誰かが経験する問題です。
だからこそ、「その時になってから考える」のではなく、元気なうちに少しずつ準備しておくことが、家族にとっても、自分自身にとっても安心につながるのではないでしょうか。
◻︎◻︎政府広報オンライン 相続・遺言 知っておきたい遺言書のこと。無効にならないための書き方、残し方
https://www.gov-online.go.jp/article/202009/entry-7835.html
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PANTERA BLUE – Lágrima
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